#50
【作者より】
今回は更新時刻が遅くなってしまい申し訳ありません。
「……うーん……」
友梨奈はペンを持ったまま固まっている。
彼女は先ほどジャスパーから受け取った「転生手術のための要望書」を見て、現時点で自分が望むものはなんだろうかと考えていた。
「ジャスパー先生から「私の要望に添った人物にする」って言われたからなぁ……」
彼は友梨奈の要望を元に別の人間にするということになる。
例えば、少年になりたいと記入したら本当になれるのかもしれないのだ。
しかし、彼女は「やり直し」と選択したのだから、今と同じ少女でやり直したいと望んでいる。
「どういう質問があるんだろう?」
友梨奈はその用紙を再度見た。
そこには容姿や性格、職業などの基本的なものやそれ以外にも質問がいくつかある。
「まずは容姿か……」
最初の項目は容姿。
その項目には身長や髪型、外見などに細かく分かれている。
彼女は今現在の身長が百五十センチメートルあるため、そのままにし、髪型は友梨香のように長いストレート、今と同様にクリクリとした二重瞼は外せないと書き込んだ。
「とにかく清楚な女の子みたいな外見になりたいな」
最後に、友梨奈がそのようなことを言ったことも合わせて書き込む。
容姿の項目をすべて埋め終え、性格の項目に切り替わった。
「今度は性格かぁ……一番悩むところだなぁ……」
彼女は内気な性格なので、それをどうしようか悩んでいる。
数分間くらい悩んだ末、清楚な容姿に対し、自分の意見をはっきり言えるようになりたいと書き込んだ。
よって、友梨奈にとっては正反対の少女となる。
次の項目は住みたいところ。
彼女は木野家と書き込み、理由を書く欄には親戚の少女という設定にしてほしいと書く。
職業の欄は学生で中学三年生、通う学校は友梨奈が通っていた私立花咲大学付属中等学校。
転校前の学校を設定できるため、そこは私立白川大学付属中学校と書き込んだ。
彼女は他の項目をすべて埋め、最後の項目に移ろうとしている。
その項目は「今回の目的はなんですか?」という質問だった。
それを見た友梨奈はジャスパー先生はなんという質問をしているのかと思い、苦笑するが、よくぞ訊いてくれたと――――。
彼女の今回の目的は「クラス全員に対する復讐」ではない。
友梨奈は他の人物になって、なぜ自分は「特に目立ったことを何もした覚えがないにも関わらずにいじめられたのか」を客観的に知りたいと思っていることを書き記した。
*
その日のお昼を回った時にジャスパーは彼女の病室を訪れた。
「用紙は書けましたか?」
「はい」
「ありがとうございます。大まかに拝見させていただきますね?」
「お願いします」
彼女はその紙とペンを手渡し、彼はそれを大まかに見る。
「――なるほど。では、明日が手術ですね。ゆっくり休んで明日の手術に備えましょう」
「はい!」
ジャスパーは友梨奈の病室から診察室に戻り、先ほど彼女が書いていた紙をじっくり読んでいた。
彼は徐々に読み進めていき、その紙の最後の項目である「今回の目的はなんですか?」という質問に対する回答――。
「友梨奈さん、あなたは面白い方ですね……」
ジャスパーは友梨奈の前では言えないが、その回答が面白く、冷ややかな笑みを浮かべながら笑っていた。
「【原作版】」の「#18」をベースに改稿。
2018/11/08 本投稿
※ Next 2018/11/09 0時頃更新予定。