#43
友梨奈は涙を堪えながら教室に向かっていた。
最近の彼女のクラスメイトは友梨奈に対して陰口を叩いていたり、脚をわざとかけたりし、彼女が何をやったとしても笑ったりしている。
友梨奈は気にしていないふりををして「ごめんね」とか「またやっちゃったね」と言い、笑ってごまかしていたが、教室や部活動などで愛想よく、いい子を演じなければならないと思うことによって、徐々にストレスになっていたようだ。
校舎にはチャイムが鳴り響き、早川が教室に入ってくる。
「みんな、席に着いてー! 朝の学活を始めるよ!」
いつものように朝の学活が始まった――――。
*
「――――これで連絡事項は終わりね」
「起立! 礼! ありがとうございました!」
「「ありがとうございました!」」
朝の学活が終わり、彼女は教室から出て行く。
そのあと、友梨奈は早川のあとを追うように職員室に向かって歩いていた。
彼女はいじめのことについて相談したいことがあったが、そのことをしたことによってさらにエスカレートするのではないかと――。
友梨奈は首を横に振り、職員室に行くことを止め、歩く速度を速めながら、そこを通り過ぎ、屋上の入口付近に着いていた。
「いつの間にか屋上の入口に着いちゃった……私はやっと自由になれる……」
彼女は薄暗い階段の踊り場で制服の内ポケットからペンとメモ帳を取り出し、勢いに乗って今までの苦悩やお礼等を書き出す。
それは友梨奈なりの遺書だ。
遺書がある程度書き終えたら、それらを内ポケットに戻している。
普段は開いていないであろう屋上の扉は本日はたまたま開いていた。
彼女はその扉を開き、心地よい風を肌で感じ、澄み切った蒼い空が私の視界に飛び込んでくる広い空間を一歩ずつ脚をがくがくと振るわせながら手すりに向かって歩き始める。
その姿はまるで、すでに「屋上から飛び降りる」覚悟ができているかのように――。
「……もしかしたら、彼女は限界かもしれない……!」
その場面をタブレット端末で見ていたジャスパーは彼女が自ら命を絶とうしていると察したやさき、友梨奈は瞳を閉じ、屋上から飛び降りた。
彼は至急、瞬間移動を発動させるが、ジャスパーの瞬間移動はそこから飛び降りた彼女より遅かった――。
「【原作版】」の「#15」の前半部(後半部は大幅にカット)、「スピンオフ」の「#18」の後半部をベースに改稿。
2018/11/03 本投稿
※ Next 2018/11/04 0時頃更新予定。




