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#37

 チャイムが完全に鳴り終え、数分が経ったあと、担任の早川が「遅くなってごめんね!」と息を切らせながら教室に駆けつけた。

 生徒達は慌ただしく自席に着き始める。


「起立! 礼! おはようございます!」

「「おはようございます!」」

「着席!」


 勇人が全員自席に着いたかどうか確認し、号令をかけた。

 友梨奈達はそれに(なら)う。


「みんな、おはよう。えっと……今日の六限目の学活だけど、私は午後から急遽、出張に行かないとならないので、代わりに学年主任の田口先生がくるから、何かあったら言ってね」


 早川が申し訳なさそうに生徒達に告げた。

 彼女らは「はーい」「分かりました」と素直に返事をする。


「……本当かなぁ……?」


 友梨奈は誰にも聞こえないくらいの小声で呟いた。

 彼女は早川の話に素直に返事をしているクラスメイトの裏の顔を知っているため、全く信用できない。

 しかし、その一方で彼女や学年主任である田口はこのクラスの生徒が裏で何をしているのかどうか分かっていないと思われる。


「何も問題が起こらないことを願っているからね!」


 早川がこう言った時、彼女はおそらくこのクラス全員のことを心配してくれているのだろうと友梨奈は思っていた。

 そして、早川はふと思い出したかのように口を開く。


「……どの先生からも言われているけど、授業中の態度がよくない人がいると聞いているから、授業は()()()()受けるようにしてね。分かった?」


 彼女がその言葉を口にした瞬間、友梨奈は気になってしまい、後ろの席を振り向いた。

 彼女の視界に飛び込んできたのはエリカと一部の男子生徒の表情を歪ませているところである。

 それに関しては友梨奈や他のクラスメイトはもうすでにバレていた。


「うんうん。本人達は気づいているみたいだね? この学校は中高一貫校だから、エスカレーターで引き続き高校に進学する人が多いと思うけど、都立に進学する人は校内推薦とかに影響されるから気をつけてね」

「わ、分かりました」

「は、はい」


 彼らは早川にその表情を見られてしまい、焦りながら戻そうとする。

 しかし、エリカは友梨奈にその表情を見られてしまい、苛立ちを覚えたが、自業自得だと捉えているようだった。


「あとは……連絡事項はないので、()()()()()問題なく過ごしてね」


 早川は最後に生徒達にこのように告げ、教室から出て行った。

前半部は「【原作版】」の「#13」の中間部、「スピンオフ」#16の前半部をベースに改稿。

後半部は書き下ろしエピソード。


2018/10/30 本投稿


※ Next 2018/10/30 19時頃更新予定。

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