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#2

 友梨奈は一人で学校に向かっている。

 様々な学校の制服を身にまとった同世代の学生達に紛れ、彼女も桜並木をゆっくりと歩いていた。

 その時、友梨奈の右肩に桜の花びらがひらりと舞い落ちた。

 彼女は左手でそっと摘んだところで、誰かが走ってくる音が徐々に近づいてくる。

 その音に気になり、後ろを振り向く友梨奈。

 そこには彼女と同じ学校の通学鞄の他にラケットを持った少年が近づいてきたのだ。


「友梨奈、おはよう!」

「おはよう、(さとし)。久しぶりだね」

「ああ! 友梨奈も元気そうだな!」

「うん!」

「ところで、友梨奈……」

「ん?」

「今年も同じクラスになれるといいな」

「うん」


 友梨奈は聡と呼ばれた少年に「たとえ違うクラスになったとしても会える時に……」と言ったやさき、「「いたっ!」」と今度は後ろから元気な少女達の声が彼女の耳に飛び込んでくる。

 彼女は彼に「――会おうね」と言おうとしたら途切れてしまったのだ。


「友梨奈っ! お・は・よっ!」

「友梨奈ちゃんと秋桜寺(しゅうおうじ)くん、おはよう」

(なぎ)早紀(さき)、おはよう」

「おっ、おはよう」


 友梨奈は少し苛立ちを覚えながら、凪と早紀と呼ばれた少女はすでに彼女らの後ろに立っており、互いに挨拶を交わす。


「友梨奈、今日も秋桜寺とベストショットだねぇ」

「そうだねー」

「2人とも、からかってるのー? しかも、今日もって……」

「違うもん! 冗談だよ!」

「あれー? じゃあ、2人は春休みの間、一緒じゃなかったの?」

「もう! 私達はいつも一緒じゃないよ?」

「確かに!」

「うん。残念ながら、僕達はご覧の通り入ってる部活も違うし……」


 友梨奈を手慣れたようにからかう凪達。

 一方の聡は少し呆れながら、彼が持っているラケットと彼女が持っているクラリネットが入った楽器ケースを指さしながら言う。


「確かに違うね」

「そういえば、新井(あらい)工藤(くどう)も友梨奈と同じ吹奏楽だろ?」

「うん!」

「そうだよー」

「そう答えるなら、いつも友梨奈と一緒だろ?」

「そう言われてみれば」

「ボク達は一緒にいたね」


 友梨奈達は三人は吹奏楽部に所属している。

 彼女らの担当しているパートはそれぞれ異なり、友梨奈はクラリネツト、凪はトランペット、早紀はサックス(アルトサックスとは別にソプラノサックスも兼任していることがある)。

 一方の聡はバドミントン部に所属している。

 よって、友梨奈と聡は春休みの間、いつも一緒ではなかったのだ。


「あっ、そうだ!」

「ん?」

「何?」

「凪ちゃん、どうしたの?」


 凪は何かを思いついた模様。

 他の三人はそれぞれの反応を示した。


「みんなで何組になったか報告しよう?」

「それって、僕も入ってる?」

「もちろん!」

「分かった」


 どうやら彼女はクラス替えの欠陥が気になっていたらしい。

 友梨奈は最初はみんなそう思うんだと察した。


「じゃあ、あたしと早紀は先に学校行ってるから!」

「また、学校でね」


 凪達はこういい残して桜吹雪の中に入っていき、姿が見えなくなった。


「友梨奈の友達はいつも元気だな」

「そうだね」

「僕達もそろそろ行こうか?」

「うん!」


 一方の友梨奈達は彼女らのあとを追うように学校に向かって歩を進める。


 友梨奈は聡、凪、早紀の四人で同じクラスになることを望んでいる。


 しかし、現実は――。

「【原作版】」の「#2」をベースに改稿。


2017/08/26 本投稿

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