#22
中間テスト二日目――。
一限目の社会のテストを終えた友梨奈達は休む間もなく、今回の中間テストの最終教科である英語の最終確認に取りかかる。
「やっと、自分が担任をしている教室だー!」
二限目開始を告げるチャイムがなる前に三年六組の担任である早川が無邪気に姿を現した。
彼女らは彼女の声にビクッと身体が動き、おそるおそる教壇の方に視線を移す。
「先生。突然、大声を出さないでくださいよ」
「せっかく覚えたきたことがほとんどすっ飛んじゃいましたよー」
「悪い点数を取ったらどうしてくれるんですか?」
「みんな、ごめんね。今まで他のクラスを転々と回ってたから、私が受け持っているクラスに着いたら、なんだか嬉しくなっちゃってね!」
生徒達は早川に向かってブーイングがわき起こった。
しかし、彼女はそのようなことは全く気にせずに、そのままのテンションで問題用紙と回答用紙を分ける準備に取りかかる。
「もうそろそろチャイムが鳴るので、教科書や問題集をしまってください! テスト最終教科、頑張っていこう!」
早川が教室の壁時計を見て、生徒達にこう言い、「はい!」と元気よく返事をし、教科書などを通学鞄にしまった。
*
あれから、一分くらい経過しただろうか――。
校内にチャイムが鳴り響く。
「問題用紙と回答用紙を配っていきます。両方受け取った人は速やかに始めてください」
彼女は問題用紙と回答用紙を一番前の席に座っている生徒に渡した。
生徒達はそれらを前から後ろへ回し、シャープペンシルを走らせ始める。
「途中でリスニング問題が始まるから、心の準備をしておいてねー」
早川は生徒達が不正行為をしていないかどうかを見て回っていた。
テスト開始から約十分くらい経った時、スピーカーからプーッという音が彼女らの耳に入ってくる。
「これより、第三学年中間テストリスニング問題を始めます。問題文は二度読み上げていきます。もう一度、繰り返します――――」
校内放送を通じて男性の声でアナウンスが流れ始めた。
友梨奈達は慌てて問題用紙を一番最後のページまで捲ると、絵や問題文が何問か視界に入ってくる。
彼女らは英語の点数を左右するリスニング問題に挑もうと身を構えた。
書き下ろしエピソード。
2017/12/12 本投稿




