#14
「早紀と凪まで!」
「本当だ! 三人揃ってどうしたの?」
柚葉とまひろがクラスメイトの視線を浴びながら、慌ただしく教室の入口に向かう。
彼女らはなぜ早紀達が教室にいるのかが気になったからだ。
「さっき、柚葉ちゃん達が慌ただしく通り過ぎたところを見たからさー」
「なんか心配しちゃって……秋桜寺があたしと早紀を呼び出してくれたんだよ」
二人はここまでの経緯を柚葉達に話す。
まひろは無言で俯き、柚葉は「……そうなんだ……」と呟いた。
その話を聞いた彼女らはやはり自分達の行動により、他のクラスに属している聡達に友梨奈のことで心配をさせてしまったのではないかと――――。
「ところで、友梨奈はまだ教室に戻ってないのか?」
「さっきまで、あたしと荒川さんで探し回って戻ってきたんだけど、木野さんはどこにもいなかった」
聡はまひろに問いかける。
先ほどまでは俯いていた彼女はゆっくり顔を上げ、首を横に振りながら答えた。
「もしかして、わたし達が行かなかった屋上とかかなぁ……」
「可能性があるとは限らないけど……」
「もしかしたら、自殺したはないよね!?」
「朝の学活が始まるまでに見つかるといいんだけどねー」
「みんなで手分けして探しに行こう。柚葉と白鳥は二回探すことになってしまって申し訳ないけど」
「そうだね」
「わたしとまひろにとっては友梨奈はクラスメイトの一人だもん」
「うん」
「さて、行こうか!」
彼の一言で大切な友人及びクラスメイトである友梨奈を探すべく、彼女らは動き始めた。
一方のエリカはその様子を見てニヤリとほくそ笑んでいる。
彼女はまるで、彼女らを嘲笑うかのように――――。
書きおろしエピソード。
2017/10/24 本投稿