#11
同じ頃、タブレット端末を見ている男性も同じ場面にぶつかった。
「……っつ……!?」
彼はその場面を見て言葉を失う。
男性が「瞬間移動」で友梨奈が通っている学校に監視カメラを設置してからあまり時間が経っていないのにも関わらず、悲劇はすぐに起きてしまったのだ。
「な、何これ!?」
「これは酷い……明らかに酷すぎるよ……」
彼女と柚葉はその光景を見て同時に声を上げる。
「だから、あたしが「ヤバいよ」って言ったのはこのことだよ」
まひろが教室に入ることを戸惑ったのはこのことだということがはっきりと友梨奈には察していたのだ。
彼女の机の中にはゴミが大量に詰め込まれ、その上は黒板消しで拭いたのかは分からないが、木製の茶色から真っ白に。
その上から色とりどりのチョークで『死ね!』や『学校に来るな!』などと男子生徒が書いたとされる文字がつづられており、おまけにご丁寧に菊の花が添えられていた。
さらには、椅子の上には無数の画鋲がびっしりと敷き詰められている。
「木野、お前はゴミ集めが趣味なんかよ!」
「汚ねぇー!」
「こっちにくんなよ、ゴミ女!」
「木野 友梨奈はばっちっち!」
「「ばっちっち! ばっちっち!」」
友梨奈と同じクラスの男子生徒の一部が彼女に向かって言い放ってきた。
一方の女子生徒は彼らに注意をするが、相変わらず聞く耳を持たず、消しゴムをちぎったものはもちろんのこと、机の中に入れられたゴミも一緒に彼女に向かって投げつける。
「……止めてよ……!」
「あん!? なんか言ったか、ゴミ女」
友梨奈は涙をこぼしながら叫んだが、聞いていないふりをされた。
「だから、「止めてよ!」って言ってるじゃん!」
「ああ。ようやく聞こえたわ」
「ところで、お前が教室にゴミを集めてくるから迷惑なんだよ!」
「お前なんか消えろ!」
「一回死んでこい! まぁ、一回死んでもそのままだったら爆笑ものだけどな!」
「なんなら、俺達であの女を殺す?」
男子生徒達は徐々に物騒な言葉を彼女に向かって言い放つ。
彼らの言動は言葉の刃となり、友梨奈の心へ突き刺さる。
「それで、荒川と白鳥は木野 友梨奈とよく仲良くできるな?」
「俺達ならすぐに絶交するのに!」
「僕も!」
男子生徒達は彼女を指さしてゲラゲラ笑い始めた。
ここまで必死に耐えてきた友梨奈は精神的に耐えられなくなったせいもあり、教室から飛び出した。
「友梨奈!」
「木野さん!」
「あーあ。君達の大切なお友達が教室から飛び出しちゃったねー」
柚葉とまひろがそれに気づき、彼女のあとを追おうとするが、クラスの主犯格とされる男子生徒がそう言った。
「木野さんは「ゴミ女」じゃないし」
「あんた達は友梨奈のことをどう思っているか知らないけど、わたしは許さないから! まひろ、行こう!」
「うん」
彼女らは友梨奈に続くかのように、教室から出て行き、彼女を探し始めた。
前半部は「スピンオフ」の「#8」の前半部をベースに改稿。
後半部は「【原作版】」の「#8」の後半部をベースに改稿。
2017/09/26 本投稿
2017/09/26 後書き欄追記