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#9

「確か少女が所属しているクラスは三年六組だったはず……」


 彼は瞬間移動(テレポート)を使用して友梨奈が通っている私立花咲大学付属中等学校の校舎内にいた。

 まずは彼女のクラスである三年六組に脚を運ぶ。

 教室の電気をつけ、カメラのようなものを設置した。


「教室はこのくらいで大丈夫だろう……あとは授業でよく使われる音楽室や美術室とかに監視カメラ(・・・・・)を設置しておこう」


 しかし、彼はどこにどの部屋があるか分からないため、迷いながら懐中電灯の灯りを頼りに監視カメラを設置していく。


「校舎内には誰もいないから次々と設置していくことができるな……」


 すべての場所に監視カメラを設置した彼は悪どい笑みを浮かべながら、「これなら彼女の様子が分かるだろう」と呟き、先ほどいた部屋に戻るのであった。



 *



 翌日――。


 友梨奈は朝練のため、昇降口で靴を履き替え、音楽室へ向かおうとしていた時だった。


「あっ、友梨奈ちゃんだ。おはよう」

「友梨奈ー! おはよー!」

「凪、早紀、おはよう」


 早紀と凪が彼女に気づき、友梨奈のところへ駆けつける。

 彼女は二人を見て安堵の表情を浮かべていた。


「友梨奈ちゃん、どうしたの?」

「え、いや、どうもしないよ」


 友梨奈の目をしっかり見て、首を傾げながら問いかけてくる早紀(彼女)

 友梨奈(彼女)はいつも通りに早紀の質問に答えた。


「二人とも、早く朝練に行こうよ!」


 凪が音楽室へ行こうと促してくる。

 友梨奈と早紀は「うん」「そうだね」と相槌(あいづち)をうち、早歩きで音楽室(そこ)に向かって歩を進めるのであった。


 *



 彼女らは楽器倉庫で自分の楽器の準備を始める。

 友梨奈と早紀はリード(注・アイスのスプーンのようなもの。木管楽器奏者はそれがないと話にならない)を口に加えながら、凪はマウスピースを温めながら楽器倉庫をあとにした。


 音楽室には柚葉しかおらず、彼女が演奏するホルンの音色が響いている。

 柚葉は友梨奈達に気づき、一旦演奏を止める。


「おはよう!」

「柚葉、おはよう」

「おはよう、柚葉ちゃん!」

「三人とも、おはよう。ところで、友梨奈の目が最近すっごく腫れぼったかったけど……」

「ボクも思ってた。最近目が充血してる時があったから眠れないのかなぁって心配してたんだ」


 彼女らは挨拶を交わしたが、柚葉と早紀は彼女の腫れぼったくなった目を見てこういった。

 友梨奈は自分の目が充血していることは自覚していたため、たとえ言われたとしても気にしないようにしていたため二人の観察力の鋭さが窺える。


「実は私、家に帰ったあと、泣いたんだ……」

「「えっ!?」」


 彼女は思い切って三人に打ち明けると、彼女らは目を丸くしながら驚いている。


「そ、そんなに辛かったんだね」

「嫌だったね……辛かったね……」

「まさか、友梨奈が……?」

「うん……今まで経験したことがなかったからね……」


 三人はそれぞれ思ったことを口にした。

 友梨奈も今まででそのような経験は全くなく、はじめてである。


「この流れでみんなは気がついたと思うけど、友梨奈ちゃんはもしかして……いじめられている(・・・・・・・・)のかな?」


 その時、彼女は早紀に言われハッとしたような表情を浮かべた。

 友梨奈は自分自身で察していた。

 私はいじめられているかもしれないと――――。


 彼女は中等部三年に進級し、今のクラスでは目立ったことをした記憶はない。

 友梨奈は「なぜ自分がそのようなことをされなければならないのか」と、何度も自問自答をしていた。


「ところで、話を変えるけど、友梨奈は「大丈夫じゃないのに大丈夫」って言うタイプ?」

「う、うん」

「やっぱり? そうだろうなぁと思ったんだ」


 柚葉は彼女の性格を見破っていた模様。

 友梨奈は彼女と同じクラスになってからまだ数週間くらいしか経っていないため驚きを隠せない。

「その話はもう止めて、朝練始めようか?」

「部員が集まり始めたしね」

「うん」

「そうだね」


 徐々に部員が音楽室に集い始め、様々な楽器が奏でられている。

 今まで話していた彼女らもそれぞれのパートに散り、各自で練習を始めるのであった。

前半部は「闇医者の僕と悩める彼女(以下・スピンオフ)」の「#7」の後半部をベースに改稿。

後半部は「【原作版】」の「#6」の後半部と「#7」の前半部をベースに改稿。


2017/09/18 本投稿


※ Next 2017/09/19 0時頃更新予定。

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