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夏休みが始まって2週間ぐらい。

夏休みの三分の一が終わったってところ。

もう三分の一終わったって思えるし、まだ三分の二も残ってるとも思える。

でも私はどっちかというとネガティブな方に考えてしまう。

なんだかあっという間に夏休みは終わってしまいそう。

今年はだらだらと過ごしていないから、余計にそう思う。

私とカナは週に4日ぐらいは部室に行っている。

もちろんやることは文化祭の準備。

部誌を作るために私が文章を書いて、カナが絵をかいてる。

改めて天体観測のことについて調べてみると、意外と知らなかったことなどがあって驚くことが多い。

特にカメラとか撮影関係は知らないことばかり。

天体観測については私は見る専門。

写真を撮ったりはしたことがなかった。

だからどうやったら綺麗に星を撮影できるかとかを調べるのはとても楽しい。

でも調べてるとカメラが欲しくなってくるのが難しいところ。

星を綺麗に撮影できるカメラって高いし……。

カナは部誌にかくキャラクターを考えてる感じ。

そういうのは初めてだから思ったより難しいって悩んでいた。

私もすらすらとかけてるわけじゃない。

2週間経過してるけど、思ったより書けてない。

おまけに最近は書いてて

これ面白いの?

って思ってしまって書いては消して、書いては消しての繰り返し。

作文得意だし夏休みの終わりまでに全部書けそう!

って最初は思ってたけど、とても難しい。

作文は原稿用紙2枚ぐらい。

そんな短さだから書けてたんだなって思う。

長い文章を書くのは思ったよりも難しい……。

文化祭本番まではまだ時間がある。

でも部室の準備とかクラスの方を考えたらそこまで時間はないかもしれない。

今日はちょっとでも書けれるように頑張ろうっ!

って私は少し気合を入れる。


「お弁当できたわよ」


「ありがとう」


私はお母さんからお弁当を受け取った。

夏休みに入ってからのお弁当は、いつもよりちょっと豪華。

お母さんからの頑張れっ!っていう応援に思えてとても嬉しい。

それに本当は今日、学校に行く予定じゃなかった。

でも少しでも進めたくて、カナに連絡して行くことにした。

急にお弁当がいるっていってもお母さんは文句一つ言わなかった。

本当にありがたいなって思う。


「夏休みなのによく学校に行ってるわね」


「文化祭の準備があるからね」


「天文部?」


「うん」


「去年からは考えられない熱心さね」


「学校に行くって言っても部活してるだけだからね」


去年までの私は基本的に家でだらだらと過ごすのがいつものことだった。

たまに天体観測には行ってたけど、夏休みだから何かをしようっていう気持ちにはなれなかった。


「部活に入ってよかったでしょ?」


「そうだね」


「文化祭で何をするの?」


「それは……」


言おうか、言わないでおこうか。

ちょっと迷ったけど……


「秘密」


って私は言った。

特に意味は無いけど。


「当日のお楽しみってことね」


お母さんは楽しそうな感じで言った。


「お父さんと一緒に見に行くわね」


「うん。楽しみにしといて」


なんて私は無駄にハードルを上げることを言った。

もしこれで書けなくて何も出せませんでしたとなったら、とっても恥ずかしい。

だからいっそう頑張らないとって思う。


「そろそろ行くね」


「帰りにマヨネーズ買ってきて!」


「分かった」


……

…………

………………


「……暑いね」


「そうだね……」


部室にはエアコンなんて便利なものはなかった。

だから私とカナは暑い、暑いって言いながら部室で作業とかしている。

あんまり暑いとエアコンがついてる図書室に移動する。

でも図書室では本を読んだりとかする感じ。

作業は部室だけでしようっていうのが2人で決めたこと。

図書室で文章書くのって何か恥ずかしいし……。

それにやっぱり暑くても部室が1番居心地がよかった。


「こんな感じはどうかな?」


言いながらカナはコピー用紙に書いた絵を見せる。

カナは絵を紙にかいて、私はノートパソコンで文章を書く。

必要だって申請したら学校から貸してくれた。


「すっごくかわいいねっ!」


絵を見てすぐに出た感想。

小さな女の子が2人書いてある。

1人は短い髪、もう1人は長い髪。

短い髪の方に犬耳、長い髪の方に猫耳がついてる。

ちょっと折れ曲がった耳がすっごく可愛いって思った。


「どんなのがいいかすっごく悩んだんだ」


カナは1つため息をつきながら言った。

納得がいくものが書けたんだなって思う。

私はカナがうんうんと悩んでいるのを知ってる。

最初は動物の絵を書いてた。

何の動物がいいかをすっごく悩んでた。

猫と犬にしようっ!

悩んでオーソドックスって感じで決めた後も、カナはなんだかしっくり来てないみたいだった。

そして4日前ぐらいに、


「やっぱり人がいいよねっ!」


って宣言して今まで書いたのを自分でボツにしていた。

私はそれまで書いた小さな動物キャラも可愛いって思ってた。

だからなんだか勿体無い気がした。

でも今見せてくれた絵を見て、カナはこういうのが書きたかったんだなって納得できた。


「私、この絵すっごく好き」


「ありがとうっ! いっちゃんにそう言ってもらえて嬉しいっ!」


カナは新しい紙を取り出した。


「このキャラで表紙とか挿絵書くねっ!」


「うんっ! どんな風になるかすっごく楽しみっ!」


カナはきっととっても素敵な絵を書いてくれる。

だから私もそれに負けないようなものを書かないといけない。

でもこれで大丈夫なのかな?


「うーん」


なんて小さく唸りながら私は自分で書いた文章を見ていく。

天体観測に必要なものとか、いつ行けばいいとか書いてる。

だいたい原稿用紙100枚ぐらいを目標に書いてる。

そして今は20枚ぐらい。

計算すると1日1.5枚ぐらい?

このペースだと文化祭に間に合わないような気がする。

だから本当はもっとがりがりって書かないといけないと思う。

でも、どうしても何か違うような、もやもやを感じてしまう。


「カナ……」


「どうかしたの?」


「ちょっと見てもらっていい?」


「もちろんっ!」


私はカナにノートパソコンを渡す。

そして真剣な目で私が書いた文章を読んでいく。

なんだかすごくドキドキする……。

何度か書いたものを見せたことはある。

でもその度にドキドキしてしまう。

恥ずかしいさにいつまでたっても慣れないって思う。

その点、カナは堂々としてる。

私が絵を見てるときも恥ずかしそうにしてない。

むしろ反応を知りたいのかじっと私の顔を見ている。

私はそんな風にできない。

今だって部室のあちらこちらを意味もなく見回している。


「面白いって思うよっ!」


読み終えたカナが私に言う。


「それにすっごく勉強になるし、いいと思うっ!」


「ありがとう」


言いつつ私はノートパソコンを受け取った。

カナが言ってることは多分、正しい。

天体観測を学ぶ。っていう意味ではそんなに悪くないって思う。

じゃ私は何が不満なのか……。

って思うと自分でも分からない。

だから悩んで、あんまり書けない。

あんまり書けないと、それで悩んで……。

っていう悪循環になってると思う。

今日も頑張って書こうっ!って意気込んで来たのに全く進んでない。

部室に来て3時間が経過してるのに1枚どころか1行も……。

せっかくお母さんにお弁当作ってもらったのに。

ぐるぐると悩んでいると、夏の熱さがとてもきつく感じた。


「ちょっと休憩しようっ!」


「そうだね。お腹すいたしね」


私はお弁当を取り出した。

ちらっと見えた紙には絵のラフが書いてある。

ラフでも私からみたらとっても上手で、凄いって思う。


「いくつか表紙の絵を考えるからどれがいいか決めてねっ!」


「うん。分かった」


カナはトンネルを抜けたってみたいな表情。

私も早く同じようになりないなって思った。

私は少し急ぐ感じで弁当を食べて、図書室でも休憩せずにノートパソコンに向かった。

でも結局、1枚分も書けなかった。


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