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プリンセス・イア 中

マークスが投獄されてしまったという報告を受けたイア。

そのうえ、捉えるように命令を出したのはやはりカエシムでした。

おそらくマークスは濡れ衣を着せられてしまったのでしょう。

心配したイアは、マークスが監禁されている牢屋へ会いに行こうとしました。

しかし、その途中にカエシムと出くわしてしまいました。

イアのその不安げな顔を見るなり、カエシムは不敵な笑みを浮かべました。

「どちらへ行かれるのです、そんなに息を荒くして。」

急ぐイアは手短に答えます。

「マークスの所へ。」

するとカエシムは、嫌味っぽく返します。

「犯罪者だらけの危険な牢獄へ王族を行かせられる訳がないでしょう。」

イアは、自室に戻されてしまいしました。

イアは、王族なのに言いなりな自分が恥ずかしく、そして、あらぬ罪を着せられたマークスを思うと悔しくてたまりませんでした。



そして、翌日。

マークスは、裁判にかけられました。

そこにはイアも出席しました。

判決は、王国に対する反逆の罪は何よりも思いとされ、2週間後に絞首刑と裁判長はマークスに言い渡しました。

マークスは、じっとイアを見つめています。

そして、裁判所から連れ出される時にこう叫びました。

「手紙返せなくてごめん。でも、君の顔を見れてよかった。」

マークスは、笑顔でした。

それはそれは優しく、強い笑顔でした。

イアはその場で泣き崩れました。

マークスの死刑判決に、自分の無力さに、理由のわからない胸の苦しさに、そして少しの嬉しさに泣きました。

それと誓いました。

必ずマークスを救ってみせると。



それから3日ほど忙しい日々が続きました。

助ける手立ても浮かばず、刻々と迫っている処刑に焦り始めます。

苛立つイアは、とうとう仕事に手がつけられないほど精神が不安定になってしまいました。

それを見計らった侍女のメリーシアが少し寝て休むように言いました。

昼過ぎでしたが疲れが溜まっていたイアはすぐに眠りにつくことができました。



眼が覚めると夜の10時を回った頃でした。

昼から何も食べていなかったのでお腹が空いたなんて考えていると、メリーシアが夜食を運んできてくれました。

食べ終え食器を片付けると、どういう訳かメリーシアは侍女の着る服を持ってきました。

そして、メリーシアはイアにそれを着るように言いました。

代わりにメリーシアはイアのドレスを着ました。

メリーシアは、裁判からの3日間にマークスの牢屋の位置を調べていました。

地図をイアに渡すとメリーシアはベッドに入りました。

「イア様、行ってください。あなたの代わりにここで私が寝ておきます。」

イアは、嬉しさと感謝の気持ちを込め、メリーシアを強く強く抱きしめました。

そして静かに自室を出ました。



もう夜も遅いので城内に人はあまりいません。

すんなりと地図どおりに、マークスの牢屋の近くまで来れました。

「待ってて、マークス。今行くわ。」

独り言を呟いたその時でした。

イアは、肩を叩かれました。

背筋が凍りつきます。

振り向くとそこには大きな看守の男が立っていました。


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