(5)スキル。
(2016/07/04)章題追加。
実際はチュートリアルじゃないけど、初戦闘とか初生産とかの初○○をこの章で回収予定です
魔法陣から溢れた光が収まると、そこは見知らぬ噴水の前だった。
たぶん、ここがナイト達がいっていた噴水前かな。
ピロリン♪
なにやら音がしたと思ったら目の前にメールらしきアイコンが表示された。
何だろうと疑問に思い、指でつんつんしてみると目の前に文章が展開される。
どうやらナイトからのメールで、内容は「到着確認。今から向かう。その場で待て」との事。
なので僕も「了解。スキル選びながら待っている」と返しておく。
で、さて、早速スキル選びなのだけども、その前にこのままのサイズだと気づかれない可能性もあるよね。
うん。ソルトちゃんがくれたっていう人間サイズになるアクセサリを装備しておこう。性別は違うけどほかは髪と目以外はイジってないからすぐ分かるはず。
腰に下げた鞄からヒュムリングというシンプルな指輪を取り出し、指にはめる。メニューから選んでコマンド形式で装備することも出来るけど、僕的には実際に身体を動かして装備するこっちの方がしっくりくるな。
と、装備すると同時に身体大きくなり、そして尻餅をついてしまった。そっか、人間サイズになる時に自分を中心に大きくなるから、頭ぐらいの高さの位置ではめちゃうと宙に浮いた状態になっちゃうのか。
って、あれ? 【浮遊】あるから落ちるはずないんじゃ、スキル説明を確認してみよう。
……そっか重さ制限があるんだ。Lv1だと妖精サイズの重さなら全然問題ないけど人間サイズだと耐えれないみたいだ。つまりソルトちゃんが言っていた死にスキルって【浮遊】の事なんだね。
妖精専用スキルっぽいし、相対的に広く感じる周りの風景や浮いてる感じなんかも面白かったからナイト達と合流するまではこのままだとしても、普段は妖精のままでいようかな。うん。
ちなみにこの時は気づいていなかったけどヒュムリングの本当の効果は人間サイズになるではなく人化、つまり妖精の翅も消えてしまっていた。
尻を軽くはたいて立ち上がり、スキル習得画面を開く。
えっと、今の合計スキルポイントが100で種族別の初期スキルで既に使われている分の引いて残り70。現時点で選べるスキルはすべて10ポイントだから、残り7個まで選べるのか。
んじゃ、まず攻撃用スキルを選ばないと戦えないね。んー、ファンタジーの王道と言えば剣だけど、銃もある意味王道だよね。けど、やっぱり僕はやりたいバトルスタイルはこれかな。
格闘。
武器には頼らず我が身1つで敵を倒す。うん。かっこいい。体を動かすにも最適だろうし、やっぱりこれだね。と言うことで【手技】と【脚技】を習得。習得しないとパンチやキックに攻撃判定が入らないらしい。
次に忘れちゃいけないソルトちゃんのおすすめ【軽装】と【SPD強化・微】。
【SPD強化・微】は文字通り速度に僅かなから補正が入るスキル。育てていけば微→小→中→大→極と進化していくらしい。
【軽装】は装備している装備が軽いほど速度に補正がかかるスキル。【浮遊】の関係で重装備しづらい妖精とは相性がいいかも。
で、残り枠は3つ。
回復枠が欲しいけど、【回復魔法】は詠唱とかに時間がかかりそうだし、呪文一つでお手軽ってのもなんか違う気がする。なら発動に時間が掛からないアイテムに頼りたいかな。でもいちいち買うのも勿体ないし自分で作れる【調合】にしよう。で、材料も自分で集めたいから【採手】と。
最後、残り1個だけどどうしよう。……【調理】ってあるのか。これ取ればケーキとか簡単に作れるのかな?
ならこれに……「ちょ~っと、まったぁ~~!!」
最後の1個に【調理】を選ぼうとした所に声が掛かり、その操作を一時中断した。
いきなり飛び込んできた悪魔な女の子が僕に問う。
「お兄ちゃん、もうスキル取っちゃった?」
「今取っている途中だけど、えっと?」
軽く混乱していると別の小さな女の子、と言っても妖精の僕よりは比べる必要もなく大きい、おそらくホビット族の少女が続いて確認してくる。
「まだ【調理】取ってませんよね」
「今取ろうとしてたところだけど……?」
次にどっかで見覚えのある、というか前の2人にも見覚えはあるけど、それ以上に見覚えのある人間族の男性が声を掛けてきた。
「やめとけ、不遇だ」
「そうなの?」
とりあえずこれだけ揃えば僕だって、この3人組が誰なのかは予想は出来る。
だから、確認は後にして今はこのまま会話を続けることにした。さすがにこれだけそっくりなのに赤の他人と言うことはないでしょ。
「というか、お前が取ると【調理】が不遇になる」
「それどういう意味だよ」
「お兄ちゃん……、塩はリアルプレイヤースキルが少なからず影響するんだよ?」
「つまり?」
えっとどういうことだ?
「お兄ちゃんが【調理】取っても見た目が悪くて味が普通の料理か見た目が普通で味が……ノーコメントな料理が出来やすいってこと」
「いやいやそこはスキル育てれば補正で……」
「どうにかなる前に【殺人料理】とかに進化しちゃうかも知れませんね」
後で聞いた話、逆の【活人料理】と言うのはあるらしい。
「そんなに酷いのか。僕の料理は……」
「うん」「はい」「いうまでもないな」
「3人とも酷いよ」
間髪入れずに肯定の返事を入れた3人を恨みがましく見る僕であった。
VRMMOの主人公が料理上手だと誰が決めた?