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塩。~拳精、思い付きを行く(仮)~  作者: 天爛
チュートリアル的な
32/33

(32)アウト。

開き直った結果、読み飛ばしても問題ないぐらい意味のない話になってしまった……

 ナイト達と別れ僕は1人町を歩く。いうか飛ぶ。


 目的地は言うまでもなく露店なんだけど、実は当初の目的だった薬はナイト達に押しつけられてかなりの量になってしまった。

 初心者ポーションをレベル的に効果が低くなったからと大量に押しつけてきたけど、それならそれで売れば済む話なのだから十中八九、僕にプレゼントするために用意してくれたんだと思う。

 だから無碍に断ることはせず、有り難く受け取っておいた。

 まあ、この借りはいつか返す。倍返しだ。


 と言うことで薬は十分。格闘メインだから武器もいらない。

 なら何を買うか。防具でしょ。


 個人的には回避すればいいと思うんだけど、ナイト達に買えと念押しされてしまった。

 次会ったときに買い替えてなかったきっと何か言われるね。



 それにしても……


「ここはどこだろ」


 べ、別に迷子じゃないから。ナイト達に露店の場所を聞かずに適当にふらふらと飛んでたらいつの間にか門まで来てしまってただけだからっ。

 当然の事ながらこの門が何門なのか分からないっていう些細な事実は置いといてさ。

 ここかどこかはそこいらにいる人に訊けばいいと思うんだ。


「あの、ここってどこですか」


 ぱっと目に付いた冒険者風のおそらくプレイヤーだろう男の人に声を掛けてみた。


「ようこそ、ここは始まりの町。多くの冒険者が旅立つ町」


 ……はい?


「いや、それは知っているけど具体的にどこ?」

「ようこそ、ここは始まりの町。多くの冒険者が旅立つ町」


 ……訊き方が悪かったのかな?


「えっと、じゃあこの門は何門ですか?」


 目の前のこの門が西門か東門か、それとも他の門か分かれば今どこにいるか分かるはず。


「ようこそ、ここは始まりの町。多くの冒険者が旅立つ町」


 ……えっと?


「もしかしてNPCだったり?」


 AIを使用していないRPGだったら何を訊いて同じ事しか言わないNPCっていたけど、もしかしてね?


「ようこそ、ここは始まりの町。多くの冒険者が旅立つ町」


 そう言いつつ首を横に振る目の前の男性。


「じゃあやっぱりプレイヤーなんだ?」


 そう訪ねると首を縦には振るんだけど、その口から出るのは……


「ようこそ、ここは始まりの町。多くの冒険者が旅立つ町」


 いやプレイヤーだったらちゃんと話してよ。それとももしかして


「バカにされてる?」


 今度はさっきより激しく首を横に振るけども口から出るのはやっぱりこの言葉。


「ようこそ、ここは始まりの町。多くの冒険者が旅立つ町」


 うん。はっきり言って意味不明。わけが分からないよ。


「うん? 君、どうしたんだい」


 そんな僕を見かねたのか別のプレイヤーが声を掛けてくれた。


「この、プレイヤーさん。なんか変なんです」

「変?」

「さっきから同じ言葉しか言わなくて……」

「ほう。試しになんか話しかけてくれないか?」


 そう促されて改めてさっきの人に話しかけてみた。


「えっと、元気ですか?」


 結果がこちら。


「ようこそ、ここは始まりの町。多くの冒険者が旅立つ町」


 同じである。何回やっても同じ答え。

 うん。これだけは言える。こんなのって絶対おかしいよ。


「なるほどね。これはクエストの一種だよ。通称『絶対に「ようこそ、ここは始まりの町。多くの冒険者が旅立つ町」としか言ってはいけない町先案内人24時』っていうやつ」


 とは言っても実際に拘束されるのは3時間だけだけどね。

 言葉を続ける助けに入ってくれたプレイヤーさん。

 ……微妙に分かりづらいから、町先案内人さんと解説さんでいいか。


「と言うことでふざけたくてふざけている訳じゃないから許してやってくれ。な?」

「それは別にいいですけど。なんでこんなクエを?」

「ようこそ、ここは始まりの町。多くの冒険者が旅立つ町」


 うん、知ってた。


「確か報酬が良かったはず。出来高性で話しかけた人数で額が上がる。同じ人間と話した場合も2回目以降は10回で1人分だったけか」

「へぇ、そうなんですか」


 ならどうせならキリがいい所まで話しかけた方がいいのかな?


「えっと、ぼくって何回話しかけましたっけ?」

「いや俺に訊かれても……」

「ですよね~」


 ついさっき来たばっかの解説さんが分かる訳ないか。


「お前は覚えてるか?」


 そう解説さんが町先案内人さんに訊く。


「えっと、確か……ひぃふぅ」

「……あっ」

「……あっ」

「最初の抜いて7回だな。だからあと3回話しかけてくれればって、しまっ」


 うん、気づいたときは既に遅し。話しかけたのが僕じゃなかったから油断したんだね。きっと。


 ―― ホセイウ、アウトー。セレクト C オア D


 「ディ、Dで」


 どこかから聞こえたシステムチックな声に町先案内人さんがおそるおそる答える。


「C?D?」

「ダメージだよ。CがクリアでDがダメージ。Cを選ぶとそれまでのカウントがなかったことになって、Dを選ぶと……」


「ぬんっ!」


 近くにいた住民《NPC》(たぶん門番)がどこからともなくハリセンを取り出して町先案内人の尻を叩く。


「ああなる」


 ちなみに叩き役は門番に限らず近くにいる住民《NPC》がランダムにするらしく、老若男女誰であろうともダメージは一律。いなくともどこからともなく現れるらしい。


「え、え~と、大丈夫ですか?」

「よ、うこそ、ここはっ、始まりの町。多くの冒険者が旅立つ町」

「だ、大丈夫そうですね?」

「ようこ、そ、ここは、始まりの町。多くの冒険者が旅立つ町」

「大変でしょうが、頑張ってください」

「ようこそ、ここは始まりの町。多くの冒険者が旅立つ町!」



 よし、これで10回。


「じゃあ、キリがよくなったと思うんで僕もう行きますね。あっ、ちなみに露店ってどっちにあります?」

「それなら中央広場まで戻って右だよ」

「あっ」


 解説さんに訊いたつもりだったんだけど、答えてくれたのは町先案内人さんで、つまり……


 ―― ホセイウ、アウトー。セレクト C オア D


「のぉぉぅ!!!」

どーしてこうなったorz


ちなみに書き始めは「ようこそ、ここは始まりの町。多くの冒険者が旅立つ町」ではなく

「らら~ ここは始まりの町~ 多くの冒険者が旅立つ町~」だったりした。(どーでもいい)

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