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塩。~拳精、思い付きを行く(仮)~  作者: 天爛
チュートリアル的な
25/33

(25)賭け。

ナイト達の賭けの顛末というかなんというか

 状況を把握できずにいる僕は、説明を求めて受付に目を移す。するとそこに座っていたお姉さんがプラカードを高々と掲げていた。


[びっくり大成功!!]


「……はい?」


<条件を満たしたため、スキル【殺陣】が解放されました>


 そして、それと同時に個人向けアナウンスが新スキルの解放を知らせたのだった。



「……と言うわけで、先ほどの茶番(クエスト)はあなたの資質を見極める物だったのです」


 そう受付のお姉さんが説明してくれたけど、どう考えても茶番と書いてクエストと読んでるよね?


「資質?」

「はい。登録記念品として渡す報酬と二つ名の判断に使用します」


 報酬はともかく、二つ名?


「二つ名は、同名のプレイヤーを区別するのに使われる物で特に効果はありません」


 なるほどね。


「ただ、今回は初めてのパターンでしたので報酬等の選定に時間がかかってます。申し訳ありませんが、酒場の方でしばらく待って貰えますでしょうか」

「了解しました」

「では終わりましたら、お呼びしますのでこちらの水晶で採番をお願いします」


 差し出された水晶に手を触れさせてから、番号が振られたことを確認し僕はナイト達の元へ戻る事にした。

 そういや、賭けをするとか言ってたけどどうなったんだろ。その事を忘れてやりたいようにやったけど大丈夫かな?


「ただいま。しばらく待たないといけないみたいなんだけど、賭けはどうなった?」


 ナイト達のいる席に戻り声をかける。するとナイトから不満の声が返ってくる。


「いや、引き分けなんて当たる訳ないだろ」


 あはは。そーだよねー。


「ちなみに何に賭けたの?」

「んー、俺は判定負けだな。流石に1回はダメージを食らうんじゃないかと思ってな。で、攻撃力は低いからその分のダメージは回収しきれないと思った」


 いや、せめて親友なら勝ちに入れようよ。


「ボクは判定勝ち。一発入れて逃げ回っとけば十分だしね」


 まともに勝ちを狙って戦うなら、そうするのが一番だって事は僕にも分かるけどさ。


「いや、こいつの性格上攻撃をするなら一発のみとかはないだろ。可能な限り攻撃をするはず」

「あー、それもそうだね」


 確かに攻撃する以上は1撃だけ入れて逃げ回るとか性にあわないかな。やるからには徹底的にしないと。


「だから攻撃しにいこうとした所を叩かれると思ったんだが、まさか1度もダメージを与えずに終わらせるとはな」


 ナイトは苦笑いしながらそう言った。言っておくけど、攻撃っぽい事はしたよ? ただダメージが発生しないだけでさ。


「わ、私はトルテさんの完勝に一口いれました。だって、トルテさんならなんかしでかしてくれそうでしたから」


 あぁ。うん。それは期待を裏切ってごめん。


「しでかしたつうたらしでかしたけどな」

「あはは」


 視線を逸らしてから笑いで誤魔化してみる。


[私はちょっとズルした]


 ズル?

 ソルトちゃんの言葉に首を捻る。ズルってどう言うことだろう。


[どうしようとしてるのか、トルテの思考を読んだ。で、そのまんま賭けた]


 えっと、と言うことは?


[1人勝ち。ぶい]


 スケッチを片手にピースサインをするトルテちゃん。ちょっと誇らしげでもある。


「うぅ。心読むなんてずるい。チートだ。公式がチート。公式チ……」

「いやそれはもういいから」


 それにいくら心を読んだからって、それを実現できるとは限らないわけでそれを信じてくれたって事だからね?

 そう言う意味ではアルスもチィサちゃんも勝つと信じてくれてありがとうかな。

 ナイト? そんな裏切り者は知らないよ?


[と、言うわけで賭けの報酬で注文してくる]

「注文?」

「あぁ、この賭けはぶっちゃけお遊びなんだ。一口ドリング1杯分、賭けに勝ったらその取り金で奢るのが慣例になっているんだ」


 へー。確かにそれならあと腐りはないのかな。


「まあ、注文できるのは勝った奴だけどな」

「えっと、それはどういう……」


 続きを聞こうとしたそのとき、酒場のマスターが声を張り上げた。


「おい。お前らっ。今から配る飲み物は今回の賭けの勝者となったこのお嬢ちゃんからの奢りだ。一滴残らず、心して飲む様に!」


 その言葉を皮切りに給仕の皆さんが一斉に飲み物を配り始めた。


[トルテはこっち。特製ミックスジュース。変なのは入ってないから安心していい]


 いつの間にか戻って来たソルトちゃんからジュースと受け取る。……スケッチブックとジュース2本よく両立できたなって思ったけど、よく考えればアイテムボックスを使ったという結論に行き着いた。


「では、かんぱいっ!」

「「「「「乾杯っ!」」」」


 マスターの号令に併せて参加者全員がグラスをあげ、一気にそれを飲み干していく。


「「「「「ぐふっ」」」」


 そして一気に咽せる周囲の声。


「えっと、なに飲ませたの」


 受け取ったミックスジュースに口を付けつつソルトちゃんに尋ねる。

 あっ、これおいし。


[特製青汁センブリ茶ソーダ・プリン風味。体にいい青汁とセンブリ茶を混ぜた物をソーダで割って飲みやすいようにプリン風味を加えた隠しメニュー]


 うん。多分だけど最後のプリン風味って明らかに蛇足というか止めを刺しに行ってるよね?


[効果はHP/MP/AP全回復かつ短時間の状態変化軽減]

 

 効果はすごくいい?!


「うぐぅ。俺ちょっと狩りに行ってくる」

「ま、待て俺も行く。このまま寝るの勿体な、うぐ」


 そう言い残し酒場を出ていく冒険者達。

 いや全快が勿体ないのは分からなくもないけど、そんなグロッキーな状態で大丈夫なの?


[大丈夫だ。問題ない]


 いや別にソルトチャンに聞いた訳じゃないけど。……でも、そっか大丈夫だよね。やり始めたばかりの僕と違ってみんな経験積んでるんだもんね。


「えっと、ナイト達は大丈夫?」

「あ゛ぁ゛……」

「だ、だいじょばない……」

「……」


 ナイトは言葉にならない声で答え、アルスはちょっと余裕有りげ。チィサちゃんは……声も出せないっぽい。


「大丈夫そうだね」

[そう?]

「うん」


 だって、僕の手料理(見た目だけはいいカレー)を食べた時の反応より大分マシだし。

 ……泣いてもいい?

【殺陣】については次回以降。


二つ名はどうしましょうかね。何個か候補あるけど、しっくり来るのがない感じ。

どうするべ


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