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塩。~拳精、思い付きを行く(仮)~  作者: 天爛
チュートリアル的な
22/33

(22)受付。

(2016/08/28)システムメッセージの括弧を<>に変更

 ギルドの酒場でジュースを飲みつつ、ナイト達とだべっている内に僕の番が来たらしい。


「67番の方、窓口Aへどうぞ」


 飲みかけののジュースを一気に飲み干して、かわいらしいと言う表現が似合いそうなお姉さんの待つ窓口Aへと向かった。


「ようこそ、冒険者組合へ。初めての方、ですよね?」

「あっ、はい」


 別にそれと分かる行動をしたつもりはないんだけどなんで分かったんだろう。


「やっぱり。あなたみたいな可愛い子は見たこと無いのですぐに分かりました」

「なるほど」

「……冗談ですよ? 受付の際に魔力測定してそれで判定してるんです」

「あはは。でも一応言っておくと僕、リアルでは男なんで可愛いとかはちょっと遠慮しときたいです」


 まあ、「可愛い」レベルならリアルでも言われ慣れているし、それほど気にするつもりはないけど、なんかこのお姉さんとは長いつきあいになりそうだし、勘違いされたままだとどんなハプニングが起こるか分かったものじゃないし。


「それは失礼しました」

「いえいえ。本当は男だと分かって頂ければ、扱いがどっちでも気にしないようにしてるんで」


 というか、気にしすぎると逆にからかわれる事になるのは経験上明らかだし。だから、男だと明言するのは1回だけ、それも長いつきあいになりそうな人だけと決めている。


「わかりました。でも、リアルの方なのですね。……珍しい」

「えっ、そうなんです?」


 さっと、酒場の方に目をやってみたけどNPCとプレイヤーで半々ぐらい。それほど珍しくもない気がするけど。


「あぁ、そういう事じゃないです。女性の依代(アバター)を使っていてリアルは男だと宣言する人が珍しいって意味です。リアルの性別を公開希望の方は、依代(アバター)の男女関係なくリアルが女性の人の方が多いので。女性の依代(アバター)でどう考えても中身男でしょと言う方でも宣言しない人も多いですし」

「あぁ、なるほど。って、リアルって普通に通じるんですね」


 無意識に使っていたけど、NPCにとっては塩がリアルだから意味が通じないんじゃないかって思うんだけど。


「あぁ、それはあなた方が私たちの世界をソルティアとか塩と呼ぶ様に私たちもあなた方の世界の事を異世界(リアル)異世界(リアル)から来た人々を来訪者(プレイヤー)って呼んでいるだけですよ」


 そっか、ソルティアはプレイヤー(僕たち)現実(住む世界)とは異世界という設定だから、NPC(お姉さん)たちにとって僕の住む世界(リアル)は異世界ってことになるのか。


「っと、そろそろ登録を済ませてしまいましょう。この水晶玉に触れてください」


 そう言ってお姉さんはロビーにあった物より2周りほど小さい水晶玉を指した。


異世界(リアル)の方でしたら、この水晶に振れるだけで登録に必要な情報を取得できます。登録情報(アカシック・レコード)を読みとっているので嘘はつけませんし、とっても便利なんです」


 促されるままに水晶玉に手を乗せると、一瞬だけ水晶玉が光った。


「はい、これで必要な情報をから取得することができるました。ちなみに異世界(リアル)での性別を組合カードに掲載する事も可能ですがどうなさいますか?」

「えっと、それは何か意味が……」

「基本的にはありませんが、異世界(リアル)での性別を疑われた時の証明になります。少し前に、ネカマ、でしたっけ?と疑われたプレイヤーがキレて暴走し、大惨事になったことが有ったんです。だからそれ以後、その対策としてこのシステムが導入されたんです」


 あの、すみません。それは多分うちの妹です。


「もちろん疑われても大丈夫という方は掲載しなくても問題有りません。ただ同じようなことが発生したときに保証できる割合が変わってきます」


 つまりは完全なりきりでロールプレイできるけど、それで発生する問題は自己責任でことか。


「それでどう致しますか?」

「じゃあ、お願いします」


 なんか有ってからじゃ遅いし、とりあえず掲載しておこう。うん。


「はい、わかりました。ではしばらくお待ちください」


 そう言い残して登録作業をし始めたお姉さんを手持ち無沙汰に眺めていたら、突然背後からイスを蹴り上げられた。

 その衝撃に驚き後ろを振り返る。と、そこには見るからにちゃらい男が1人いた。


「おい、何ちんたらしてんだよ。さっさと済ませやこら」


 そう言って再度蹴り上げる。


「あの、いま登録中なんでもう少し待って貰います? ってか、受付番号で開いてる窓口へ自動的に割り振られますよね。きっとすぐに他が開きますよ」

「俺はここがいいんだよ。お前みたいな雑魚、どうせすぐに死んでしまうんだから冒険者なんて諦めてママのおっぱいでも吸ってな」

「はぁ」


 あまりの言いぐさに大きなため息が漏れてしまった。えっとどうすればいいの?


「あの、お姉さん。これどうすればいいんですか?」

「一応警備の物を呼びましたが、いま手が放せないんで適当にお相手願いますか。なんでしたら伸してしまっても構いませんので」


 伸してって……。そう思った矢先、どこからともなくピコンという音がして視界に妙な吹き出しが表示された。


<突発クエスト《いちゃもん冒険者》発生!>


 どうやらこれが、ナイトの言っていたイベントらしい。不良冒険者にいちゃもん付けられる初心者冒険者って確かにテンプレだね。

次回、PvPもどき(対NPCイベント戦)

そして始まるナイト達の賭け。彼らは一体どれに賭けたのか!

 A.完勝(被ダメ0でNPCを倒す)    B.完敗(与ダメ0で倒される)

 C.勝利(被ダメ1以上でNPCを倒す)  D.敗北(与ダメ1以上で倒される)

 E.判定勝利(被ダメ<与ダメで時間切れ) F.判定敗北(被ダメ>与ダメで時間切れ)

さぁ、読者のみんなも賭けてみよう!


次回、『(23)対人。』 こうご期待。


トルテ「時がッ、過ぎ去るまで避けるのを止めないツ!」

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