(21)組合。
章題を追加しましたけど、実際はチュートリアルじゃないですね。
初戦闘とか初生産とかの初○○をこの章で回収予定です
「金を稼ぎたいなら、まずは組合だな」
「組合?」
「いわゆる冒険者ギルドだよ」
組合と言われてパッと思いつかなかったけど、それに気づいたアルスがすぐにフォローを入れてくれた。
「えっと、ギルドって確かプレイヤー同士が集まってチームを組む……」
「それはプレイヤーズギルドの方ですね。塩ではそちらはクランと言いますけど」
そういうチィサちゃんのツッコミに、わかってるよ? ボケだよ。本気でボケただけだからと自分に言い訳をしてみたけど、多分意味はない。
「組合の方はクエストギルドだな。要するにぶっちゃけいろんなクエストの受注ができる所だ。クエストを達成するとお金とか報酬が貰える。ドロップや採取した物を売るだけより稼げるぞ」
なるほど確かに小説とかで出てくる冒険者ギルドだね。
「一応、塩だと冒険者組合とか生産者組合になるんだけど殆どのプレイヤーはギルドって呼んでるよ」
「兄さんみたいに組合って呼ぶ人の方が少ないぐらいですね」
ふーん、そこら辺、運営側になんか拘りあったりしないのかな。わざわざ組合ってしてる辺り変な拘りありそうだけど。
そんなどうでもいい疑問が頭に浮かび、何となくソルトちゃんの方に視線を送る。
[オフコース。何となくの雰囲気で決めたって言ってたからあんま気にしていない]
そ、そうなんだ。
「じゃあ、そのギルドの場所を教えてよ。生産は材料とかないし今は意味ないから、冒険者の方」
「わかった。ついでこい」
そう言って先導してくれるナイト達について行く。とはいえ道中なにもしゃべらない、なんて事はなく、その為の適当な話題はナイトからもたらされた。
「そうそう、初クエの受注なんだけどトルテ1人でやってみるか?」
「ん、まあ別にいいけどなんで?」
「初クエストを1人で受けるとイベントが発生するんだが……ってこれ禁則事項か?」
いつの間にか禁則事項云々の話をソルトちゃんから聞いていたらしい。ナイトに尋ねられたソルトちゃんはふるふると首を横に振る。
[大丈夫。プレイヤー間の情報のやりとりは問題ないし、制限する権限もない。こっちからの一部情報提供が禁止されているだけ]
「なら大丈夫か」
ソルトちゃんの了承を得てナイトが小さくうなずく。
「まあ具体的な内容は避けるけど、そのイベントってのが突発クエスト扱いで、クリア方法によって報酬が変わるんだ」
「へぇ」
「と言うことで、暇つぶしにお前がどういう風にそのイベントをクリアするか見せろ。と言うか賭けさせろ」
「んー、別にいいよ。減るものでもないし」
にしても、突発クエストか。どんなのだろう。クリア方法で報酬が変わってくるんなら他の人がやってない方法でクリアしたいかな。
「と、着いたぞ」
とか、考えている内にギルドに着いたらしい。
ギルドの扉を開けると、そこには予想していたファンタジー世界のザ・冒険者ギルドからはほんのちょっとだけ違った光景が広がっていた。
行列が見当たらない閑散とした受付カウンターや、それとは逆にNPCやプレイヤーが入り乱れて騒いでいる酒場が併設されてたりや、ロビーを挟んで酒場の対面にある依頼が張り出されているらしい掲示板だったりは雰囲気が出ている。
気になるのはロビーの中央にいくつか置かれた水晶玉のようなオブジェクトと受付カウンターの上に浮かぶ板に書かれた数字だ。
飛び飛びな上に順不同だから窓口番号とかじゃないと思う。っていうかその数字の左側にアルファベットが順番通りに書かれているから、そっちの方が窓口番号っぽいね。
「54番の方、窓口Cへどうぞ」
そう受付から声がかかると、酒場から1人の男性が立ち上がりCの窓口へ向かう。
やっぱりそう言うシステムか。整理番号的なのを受け取って呼び出しまで待つシステム。これだと、行列でいらいらする必要がなくなるし、待ってる間は酒場で時間つぶせるしね。
ちなみに後で聞いた話、待っている間はアルコール類を頼むことはできないらしい。ま、学生の僕たちには関係ないけど。
でだ、そうすると受付の番号はどこで受け取るかと言えば、怪しいのはあの水晶玉?だよね。
そう思って水晶玉?に近づくと案の定、「ご用の方はこの水晶に触れ、発行された整理番号でお待ちください」とあった。
やっぱり。
水晶玉に触れると手の甲に「67」と数字が浮かんだ。さっき呼ばれた数字から考えると13人待ち。これは酒場で時間つぶさないと、かな。
この章でやりたい事。
初クエ、初採取、初バトル(vs獣型)、初生産。
初買い物については迷い中。




