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塩。~拳精、思い付きを行く(仮)~  作者: 天爛
チュートリアル的な
15/33

(15)初戦。

 目の前に現れたのはゴブリン。緑の肌に尖った耳、髪はなく身長は人間の子供サイズ。ファンタジーの経験がある人が見たら誰もがゴブリンと認めるそんなテンプレ的な姿をしている。

 手には棍棒。上位の種になると弓や剣と行った武器に持ち替えるそうだけどハーディ草原にでるゴブリンはゴブリンの中でも最弱種になるそうで武器は棍棒の一択だ。

 ちなみにこのゴブリン、ハーディ草原にでる唯一の人型。知能は低いけど対人(型)戦のチュートリアルとも言われる。チュートリアルさんに例えるなんて失礼だ謝れとも言われているようだけども。


 ともかく僕はゴブリンの方へふよふよと近づいていく。とりあえず現状でどれぐらいのダメージを受けるのか。それを知りたい。

 ……流石に一撃死とかはないよね?


 程なくして接敵。横に振られた棍棒を僕はそのまま目をつぶって受ける。結果、当然として吹き飛ばされた。


「いったぁ」


 かなり痛い。HPを確認すると約3分の2ぐらい削られている。つまりあと1回、最大まで回復しても2回までしか耐えられないってことか。

 ま、後になって考えたけどさっきの攻撃が振り下ろしじゃなくてよかった。振り下ろしだったら下手したら潰されていたかも知れない。


「大丈夫? お兄ちゃん。アクアヒール」


 駆け寄ってきたアルスが回復してくれる。

 全身が淡い光に包まれたかと思うと、HPは最大値まで回復していた。


「ありがと。でも大丈夫。要するに喰らわなければいい話だよね」


 そう言って浮き上がるとさっきのゴブリンを見る。

 ナイトがあっさりと片づけていた。


「ちょっ、何してくれてるのさ!」

「何してって、さっきので分かっただろ? おまえじゃゴブリンには勝てないって」

「はぁ?」


 何言ってくれてるんだよ。


「現にさっきの一撃で半分以上HP減ってたじゃないか」

「さっきのはわざとだよ。いまの状態でどれぐらいのダメージ受けるか確かめてみただけだから」

「だからと言ってだな……」

「まあ、見てて。逆にわくわくしてきた所だから」


 小さな体で怪物に挑む(妖精視点)。これでわくわくしない男はいないよね。


「勝手にしろ。せいぜい痛い目を見るんだな」

「それはないよ。だって……すべて避けるからねっ!」


 そんな台詞を吐き捨て、新たにPOPしたゴブリンに向かって僕は立ち向かって行く。

 兵は神速を貴ぶ。

 ゴブリンに向かって突っ込んでいく僕。【浮遊】のレベルはまだ1だけどSPD特化にしている影響か、そこそこのスピードが出ている。

 そもそも【浮遊】の単位辺りの移動距離は人間のそれと同じ。体が小さい妖精から見れば歩く何倍も速い。

 僕はそのままゴブリンの腹、鳩尾へと突っ込み、その体をくの字に曲げさせる。ダメージ判定はないためHPは減っていないけど隙を作るには十分だ。

 反転し地面に降り立つと、その隙を使って【採手:SPD】を使用する。胸の前で左手の手のひらに右拳を付けてお辞儀をしたけど、これに意味はない。でも雰囲気は大事だと思う。

 拳が薄緑に光り、甲に20と言う数字が浮かぶ。これが1回の戦闘で奪える回数。【採手Lv1】だと1回の戦闘で20回、対象ステータスの0.5%、自分か相手の低い方の数値分奪えるらしい。


 構えを解くと既にゴブリンは振りかぶっていた。振り下ろされる棍棒を軽くステップでかわす。そして直ぐに浮き上がりゴブリンの顎へ。拳ではないけど、アッパーカットの形で決まりゴブリンは仰け反った。

 そのまま首元にパンチを入れると数字は20から19へと変わる。思った通り手で触れると言っても、必ずしもタッチである必要はないみたいだ。

 僕はそのままパンチを繰り出す。数字も18、17……と順調に減っていく。

 ゴブリンもただ攻撃されている訳はない。一旦体を引くと、棍棒を振るい一撃を狙ってくる。

 もちろんそれを避け、ゴブリンの懐に飛び込み再びパンチ。今回は途中キックを組み込んでみる。が、流石にキックでは数字は減らない。

 まあ【採”手”】だし、手以外効果がないのは当たり前か。


 それをしばらく繰り返していると、とうとう数字は0となった。もうステータスは奪えない。

 ならばとゴブリンが体を引いたのに併せて再度鳩尾へダイブを決めてから少し離れる。

 ゴブリンのライフを確認すると残り5分の1。殴った回数や掛かった時間で考えると減りが少ない。もしかして【採手】の効果というか副作用で攻撃力にマイナス補正があるのかも知れない。


 兎にも角にもどうにか隙を作った僕は、ゴブリンの胸辺りの高さに浮いたままとある構えをとる。左手左脚を前に右手右脚を引く。イメージは抜刀術。

 確か相手の攻撃に合わせてカウンターを決めればダメージにボーナスがついた筈。だから、それを狙う。

 カウンターでの一撃、それでどこまで削れるか分からないけどやってみる。


 鳩尾攻撃から立ち直ったゴブリンが棍棒を大きく振りかぶる。それに気づいているけど僕はまだ動かない。

 そして振り下ろされる棍棒。だか、その動きに最初の時ほどのスピードはない。【採手】でSPDを奪ったのが地味に効いているみたいだ。

 僕はその動きを見て、構えを解く事なくゴブリンの顔前へ移動して見せた。もちろん普通なら出来ないけど僕には妖精には【浮遊】がある。

 そのままの体勢で空中移動なんて朝飯前だ。


 突如として眼前に移動した僕に驚きつつも振り下ろされた棍棒は止まらない。もう誰もいない空間を薙ぐのは明らかだ。

 だけどそれを待たずして僕は右手を振り抜き、その勢いのまま体を回転させ、繰り出した回し蹴りに【魔撃】を乗せてゴブリンの顔を蹴り飛ばした。

敢えて言おう。キャラクリ時にソルトちゃんが言っていたゴブリンとは別人であると。

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