プロローグ 日常の終わり②
「俺はもう学校なんて卒業してる。
おかしなことを言うな。」
「寝ぼけてんの?
今日は高校の入学式でしょう!」
俺は耳を疑った。俺が高校の生徒で、今日が入学式だと・・。
そんなはずはない。俺はとっくに。
「もう!ぼさっとしてないで、学校行くよ。
遅刻しちゃう!」
「分かった。分かったから。」
俺はこの受け入れられない現実はとりあえず保留し、
学校に行くことにした。
それにしても、この女は本当に誰なんだ?
俺になれなれしく話しかけてきて。
何か自分と関わりのある女なのか?
いや、だが、こんな女に会った心当たりはない。
とりあえず、様子をうかがいながら、
話を切り出すとしよう。
「ねぇ。あんた今日なんかおかしくない?
俺は学校なんて卒業したとか言って。」
「・・。あれは中学を卒業したのを、高校を卒業したのと勘違いしたんだ。
朝っぱらで寝ぼけてただけだ。」
とりあえず、俺はこの女に話を合わしておくことにする。
この世界を受け入れるかどうかは別として、俺は今日、高校に入学するらしい。
いや、当然、俺の記憶の中では、高校なんてもう何年も前に卒業した。
だが、この世界の俺は今日、高校生になるようだ。
何はともあれ、この女から何か情報を聞き出すまでは、
高校生としての自分の役割を演じたほうがよさそうだ。
「朝が弱いのは相変わらずなのね。
あんたらしいわ。」