タネまみれの猫たち
チューブのおやつを引き出しから取り出す。
するとどこからともなくシマシマシッポが現れて、「まだですか? まだですか?」という顔をする。
シマシマシッポはチューブのおやつが大好きだ。
たまらない顔をして食べてくれる。
一方、うちの猫は「仕方ないわね」という顔をして食べる。
喜んではくれているみたいだが……。
***
ということで、チューブのおやつを取り出した。
シマシマシッポが駆け寄ってくる。
そこへうちの猫が現れた。
シマシマシッポがわかりやすくビクッと反応する。
うちの猫があくびをしながら「ミーイ」と鳴く。
最近するようになった行動だ。
とてもかわいい。
そして、シマシマシッポに近づいて、「ニャオウ」と鳴く。
シマシマシッポは悲しそうな顔で逃げて行った。
「え……逃げちゃいましたよ……? 脅しましたか……?」
うちの猫は僕の取り出したチューブのおやつを「仕方ないわねえ」という顔で食べるのだった。
***
草が伸びてきたので草むしりをする。
むしった草を集めて山にする。
乾かしてから、まとめて捨ててしまおうという考えだ。
「ふう、まあこんなところですかね」
と満足していると、シマシマシッポがやってきた。
草の山にのそのそと登って、丸くなる。
「あ、日向ぼっこにちょうどいいですね。天然のクッションですね」
シマシマシッポは目を細めて気持ちよさそうだ。
くねくねと身体を動かして草の山にこすりつけている。
「……うーん」
最近気になることがあった。
シマシマシッポを触ると植物のタネがたくさんついているのだ。
本人は気にならないようだが、タネまみれの猫を放っておくのも落ち着かない。
「こういうところでゴロゴロするからタネがつくんじゃないでしょうか……」
気になってシマシマシッポを触ってみると、案の定、毛皮の中にたくさんのタネの手触りがあるのだった。
「もー、本当にもー!」
と毛皮をつまんでタネを取るのだった。
***
「あなたは賢いですよねー。シマシマちゃんみたいにタネまみれになることはないですもんねー」
うちの猫はことあるごとに毛づくろいをするきれい好きな猫だ。
タネまみれでウロウロしている姿は想像もつかない。
実際背中を撫でてみても、滑らかな手触りで、タネの感触などひとつもない。
「シマシマちゃんは本当にも―!」
と愚痴を言っていると、うちの猫はなんだか微妙な顔をして離れていこうとする。
その歩き方がどこか不自然な気がして呼び止めた。
「ちょっと待ってください。その感じは……もしかして……」
捕まえてひっくり返してお腹を見ると、びっしりとタネがついているのだった。




