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うちの風邪ひき猫

 カリカリカリ……。


 ドアをひっかく音で目が覚める。

 放っておくと、「フウーン」と悲しげな声でいつまでも鳴いている。

 ドアを開けると当たり前みたいな顔をして、部屋の中をウロウロ歩き回る。


「もう……僕は寝ますからね……」


 うちの猫は外を見たいようだ。

 カーテンをくるりと回り込んで、窓のそばに座っている。


「まだ暗いから何も見えないでしょう……」


 と寝ようとすると鳴き声とは違う音がした。


 クシュン、クシュン、クシュン。


「ええ!? 風邪ですか?」


 僕が駆け寄ると、うちの猫は迷惑そうな顔をしている。


「とりあえず……そこは寒いでしょう……こっちはあったかいですよ」


 布団の中に押し込むと、うちの猫はさらに迷惑そうな顔をするのだった。


***


 くしゃみは治まったようだ。


「でも心配ですねえ……」


 とうちの猫を眺める。


 うちの猫はストーブの前に、前足を思い切り伸ばしてペタリと座っていた。

 特等席だ。

 ストーブの熱を全身に受けている。


 人間はその後ろ。

 シマシマシッポは遠くからびっくりした顔でストーブを眺めている。


「いつも暖かくしているんですけどね……」


 毛皮を触るとビックリするくらい熱い。

 もっと離れたほうがいいような気もする。


「でも動かそうとすると怒るし……いまはしっかり暖まったほうがいいですかね……」


 僕はストーブから少し離れたところで悩むのだった。


***


「うーん、どうしたものですかね……」


 うちの猫が移動するので悩みながらついていく。

 今度はご飯を食べるようだ。

 うちの猫の横に寝転んで、ご飯を食べる姿を眺める。


 ご飯を食べているときに触ると激しく怒るので触らないようにしているが、ときどきこうして眺めることがある。

 うちの猫はご飯を食べるのがとても下手だから、眺めていると楽しいのだ。


 首をちょっとひねりながら、カリカリを少しずつ口に運んでいく。

 カリカリの上にはうちの猫が好きなカツオ節もかかっている。


 見ていると、カツオ節がピタッと、うちの猫のピンク色の鼻に張り付いた。

 気づいているのかいないのか、うちの猫は首をひねり、食べにくそうにしながらカリカリをかじる。


「えへへーカツオ節がついてますよ」


 うるさいわね! という風に、僕を横目でにらんでうちの猫は鼻を鳴らす。

 カツオ節は鼻に張り付いたままだ。


「あ、もしかして、くしゃみしてたのってこれですか? 急にくしゃみをして、すぐにしなくなったし……! なんだあ……!」


 その後もうちの猫はカツオ節をつけたままカリカリを食べ続ける。

 僕はニヤニヤしながらそれを眺めるのだった。

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