うちの猫の暖かい場所
寒くなってきたのでリビングにホットカーペットを出した。
シマシマシッポがすぐに気づき、クタッと横になって眠ってしまった。
「おー、寝てますねえ」
手で触っても、目をつぶったまま。
揺すってもグニャグニャとされるがまま。
すっかり気に入ってしまったようだ。
「気持ちよさそうですねえ……」
起きる様子はない。
ふと、気配がして振り返ると、テーブルの上からうちの猫がシマシマシッポを見つめていた。
トンッとテーブルから飛び降りて、近づいていく。
頭を低くして、獲物を狩る姿勢だ。
当然獲物はシマシマシッポ。
シマシマシッポのほうは気づいていない。
「ちょっとちょっと、やめてあげてください!? こんなに気持ちよく寝ている子に何しようとしてるんですか……!」
僕が声をかけると「ハア?」という顔をして、また近づいていく。
「待って待って! やめてあげて!」
手を広げて通せんぼする僕と「邪魔なのよね!」という顔で押し通ろうとするうちの猫との戦いが続くのだった。
***
その後ホットカーペットはどちらかというと、シマシマシッポの縄張りになったらしい。
いつもホットカーペットの上に座っている。
うちの猫が一緒に座っていることもあるが、落ち着かない様子で、しばらくするとシマシマシッポのお尻を叩いてどこかへ行ってしまう。
まだ寒さも本格化していないから、うちの猫はほかの場所で暖をとっているのだろう。
***
「さて、寝ますか」
とベッドにもぐりこむと、足の先に何かが当たった。
続けて叫び声。
「ギャー! クワ―!」
モゾモゾとうちの猫が布団から出てくる。
フンッと鼻を鳴らして、ブンと尻尾を振って、何度も僕をにらんでいる。
寝ているところを邪魔されたからなのかかなり怒っているようだ。
「いや、だって布団の中にいたら気づかないですよ……。こんなところで暖まっていたんですね……」
少し前から僕の布団の中にも電気毛布を設置していたのだ。
それに気づかれてしまっていたらしい。
ここならホットカーペットよりも暖かい。
「怒らないでくださいよー」
と声をかけるがうちの猫は無視して部屋を出て行ってしまった。
仕方ないので寝ることにする。
パチンと電気を消して目をつぶると、トットットッと足音がして、うちの猫が僕のお腹に飛び乗ってきた。
「おふっ。やっぱり布団に入りたいんですか? はい、どうぞ」
と布団をめくりあげるが鼻を鳴らすだけ。
まだ怒っているようだ。
「もう……寝ますからね……」
しばらくすると、足の先のほうからモゾモゾともぐりこんでくるのだった。




