うちの夏バテ猫たち
こう暑いと夜中に起きてしまう。
のどが渇いて目が覚めるのだ。
水を飲もうとリビングへ向かった。
ふと思いついてメダカの入っている発泡スチロールのほうを見ると、うちの猫がいた。
ちょこんと座って、何をするというわけでもなく、メダカを見つめている。
「そんなに気に入ったんですか……? 仲良くなれるといいですね」
と声をかけるのだった。
***
日中、猫たちはとにかく寝ているようだ。
僕が帰ってくると、まずうちの猫がドアの前で横たわっている。
うちの猫はこの場所が好きなようだ。
うっとりとした顔で、横になったまま、遠くを見つめている。
指を近づけても鼻をひくひくするだけ。
機嫌は良さそうなのだが、動いてくれない。
ドアを開くときにうちの猫にぶつからないようにして、わずかなすきまから家の中に入るのだった。
***
洗面所に向かうと今度はシマシマシッポが寝ている。
ちょうど手を洗おうとすると踏んづけてしまう位置だ。
「なんでこう……邪魔な位置にいるんですか……あなたたちは……」
斜めの角度から手を洗うことになるのだった。
***
食事が終わってゆっくりして、メダカにエサをあげようかと近づく。
すると、いつのまにか帰っていたうちの猫が待ち構えている。
「本当に好きですよね……」
このところ、うちの猫が家の中にいるときは、必ずメダカの発泡スチロールが見える位置にいる。
「監視してるのかな……? そのうち水から出てくると思ってるのかな……?」
シマシマシッポが執着しているのなら、食べたいんだなと思うだけなのだが、うちの猫がここまでこだわるのは不思議だ。
「そういえばシマシマちゃんはいなくなりましたね? どこに行ったんでしょう?」
と首をひねるのだった。
***
そろそろ寝ようかと自分の部屋に向かう。
すると僕のベッドの上に、シマシマシッポが寝ているのだった。
「もう……メダカに夢中になっている隙に、二階を占領したってことですか……」
シマシマシッポはまくらに頭を乗せて寝ていた。
ちいさなおじさんが寝ているようだ。
「ちょっと……起きてくださいよー。僕のベッドですって!」
シマシマシッポは幸せそうに目をつぶったまま、モゴモゴと口を動かして、寝返りを打つのだった。




