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やっぱりメダカが気になるうちの猫

「さて、今日もメダカにエサをあげておかないとですね」


 とメダカの発泡スチロールの場所へ向かうと、うちの猫が静かに座っていた。

 水面を見つめている。


「あー、やっぱり気になるんですねー」


 と僕が近づくと、「なんのことかしら?」という顔でトコトコ走り去っていくのだった。


***


 別の日に発泡スチロールに向かうと、やはりうちの猫がいた。

 1メートルほど離れて床に寝転んでいる。

「わたし毛づくろいがしたかったのよね」と毛づくろいをアピールしている。


「そんなに気になってるなら堂々と近くで見ればいいのに……」


 僕がメダカの餌を手に取ると、うちの猫が起き上がった。

「なにそれ!? なんなのよ!」という顔だ。


「これはメダカの餌です。ほら、寄ってきますよ」


 とエサを落とすとメダカがビチャビチャと寄ってくる。

 うちの猫もテンションが上がったようで、水面を見たり、ぐるぐる動いて僕の持っているエサのにおいを嗅ごうとしたりする。


「やっぱり気になってたんじゃないですかー」


 とからかっていると、「別に気になってないんだけど」という顔で、発泡スチロールに背を向けて座ってしまった。


***


 メダカを飼うときには、空気が噴き出す機械もヒーターもいらない。

 熱帯魚ではないのだ。

 だが、水の入れ替えは、やはりやらないといけないらしい。


「そろそろ替えておきますか」


 とポンプを持って外に出る。

 ポンプで水を汲みだして、外に置いてある水を入れて。

 こうやって数日おきに水を少しずつ変えてあげればいいらしい。

 やたら説明したがるメダカ業者の人に教えてもらった。


 水を汲みだしていると、うちの猫が近づいてきた。


「いまメダカの水を変えてるんですよー?」


 ポンプの先から出てくる水を見つめて、僕を見つめる。


「気になりますか……って、ちょっと!」


 うちの猫が僕の背中をよじ登って、家の中に入ろうとする。


「痛いですよ。はい、家の中に入っててください。ポンプにメダカを吸い込んじゃうと大変ですからね。いまは邪魔しないでおとなしくしててください」


 家の中に入ったうちの猫は、今度はポンプに興味を持ったようだ。

 ポンプを触ったり、ポンプの周囲に身体をこすりつけようとする。


「もう、気になるのはわかったから! こういうときは無駄に積極的なんだから……!」


 うちの猫に邪魔されながら水を入れ替える。

 ひと通り終わってしまえば、うちの猫は落ち着きを取り戻して、スンとした表情で水面を見つめるのだった。

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