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うちの猫と謎のゴソゴソ

ゴソゴソ……と音がする。

窓の外から。


このところ、夜中になると聞こえてくるのだ。

生き物が何かをひっかいているような音。

うちの猫がいたずらをしているのかと、懐中電灯を持って庭を一周してみたこともあるが、異変は見つかっていない。


――何なんですか、毎晩毎晩……。


パチンとライトをつけると、床の上でうちの猫が「んんー!」という顔で伸びをしていた。


「あれ? いたんですね? じゃあやっぱりこの音は……何なんでしょう?」


「フーン」


後ろ足までしっかり伸ばして、「何なのよ!」と僕をにらみつける。


「いや、音がするんですよ……? 僕だけに聞こえるのかな……?」


窓をゆっくり開けると、やはりゴソゴソと音がする。


「いや、やっぱり聞こえる。それに……」


どうも窓のそばの雨戸の中から聞こえているような気がする。

しかし雨戸の中、と言ってもたいした空間はない。

雨戸と雨戸の隙間、指が入るくらいのスペースくらいだ。


――もちろん指を突っ込む勇気はないですけど……。


どう考えてもここからだよなあ? と雨戸を見つめていると、うちの猫が僕を押しのけて、窓枠に乗った。

雨戸をじっと見つめている。


「やっぱり何かいますよね?」


「フウーン」


鼻をひくひくさせて、首をかしげている。

獲物を見つけたときの表情だ。


そうするうちに、謎のゴソゴソに対する不安のようなものもなくなってきて、うるさいからどこかに行ってくれないかなあという気持ちだけになる。


「フンフン」


「やっつけられますか?」


うちの猫は雨戸をちょんちょんと前足で触ってみたりしている。


「フウーン……」


「ダメですか。これ以上深追いしようとすると落ちそうですね」


僕の部屋は二階。

当然雨戸も二階にあるので、自由に調査することはできない。

確認できるのは窓から届く範囲だけだ。


「さあ、寝ましょう……って危ない!」


「ウーン……」


うちの猫が落ちそうになるのを慌てて支える。

どうしても雨戸が気になるようだ。


「わかりますけど、しょうがないですよ」


「フウーン、フーン……」


うちの猫をなだめてなんとか部屋の中に入れるのだった。


***


しばらくして思い切って雨戸をずらして、そのまま放置していたところ、謎のゴソゴソは聞こえなくなった。


「ということは、小動物が雨戸の間に数日閉じ込められていた……? あんな所に……? それが出て言った……?」


謎は深まるばかりなのだった。


いざというときには頼りになるかもしれないと期待していたうちの猫だったが、放っておくと落ちてしまうことが判明した。


「着地できるんでしょうけど……気をつけてくださいね」


「フーン」


うちの猫は「何の話?」という顔で、毛づくろいをするのだった。

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