うちの要求が多い猫
バタン! バタン! という音がして、玄関へ向かう。
うちの猫が、するりとドアから入ってくる。
トコトコと歩いて、振り返ってチラリ。
「うん? なんですか?」
追いかけると洗面所へ。
「水を飲むんですか?」
と声をかけると、「ここじゃなかったわ!」というように急いで出ていく。
そしてまたチラリ。
「なになに? なんですか?」
リビングのドアの前で座る。
「まだなのかしら!」と僕をにらむ。
「いや、はい、開けますけど」
リビングに入るとタタッとエサ入れに駆け寄る。
「ああ、ご飯が食べたかったんですね」
だが口はつけない。
僕をちらちらと見て、棚へ飛び乗る。
「うん? 今度は本当にわからないですけど……?」
うちの猫が身体をくねくねさせてアピールしている場所を調べると、かつお節のパックが置いてあった。
「えっ……? これ? そういうことですよね……?」
カリカリにかつお節をかけると、「よくできたじゃない」というふうにシッポを振って、食べ始める。
「かつお節……わかるんだ……」
いつも以上に賢いうちの猫の行動に、僕はビックリするのだった。
***
食事を終えたうちの猫がホットカーペットで横になっていた。
ストーブとホットカーペットで暖まって、かなりリラックスしている様子だ。
「えへへ、おりこうさんですねー」
と指で鼻を突く。
うちの猫は目を細めてフンフン言っていたが、だんだんと瞳孔が開いてくる。
「えっ? 怒ってます? いまおりこうさんって言ったのに……。どうして……」
おでこを撫でると機嫌も直るかな、と撫でてみても、怒ったまま。
ウウーとうなったりしている。
「もう……。ちょっとくらい触ってもいいじゃないですか」
うちの猫がペチンと僕の足を叩いた。
ペチン!
ペチン!
「……?」
意味がありそうな動きだ。
ふり返って、ハッと気づく。
「もしかして、僕が邪魔でストーブが当たらなくなったから……?」
僕が場所を移動すると、「それでいいのよ」というふうに目を細めて、うちの猫は長くなるのだった。




