うちの寒くなると動かない猫たち
庭の片づけをしていると、シマシマシッポが部屋の中で長くなっているのを見つけた。
「あっ、シマシマちゃん! 僕ですよ?」
窓の外からアピールすると、寝ようとしていたらしいシマシマシッポがぼんやりと目を開く。
スゥーと視線が移動する。
「ほらほら、僕ですよ?」
視線は僕を通り過ぎて、遠くへ行ってしまう。
それから、おおきなあくびをして、シマシマシッポは眠るのだった。
***
寒くなってきたので、リビングにホットカーペットを出した。
さっそくうちの猫が見つけて、「私の場所!」というふうに、デンと座ったまま動かなくなった。
一方、シマシマシッポは少し前から動かなくなっている。
寒くなると、猫は動かなくなるものらしい。
窓際がお気に入りの場所だったが、ホットカーペットは気になるようだ。
寝転びながら、横目でチラチラと様子をうかがっていた。
うちの猫はなるべく多くの面積でホットカーペットに触れようと、前足を思い切り前に伸ばして、ベタッと平たくなっていた。
ちょっと不思議な格好だが、本人は満足しているらしい。
上機嫌な顔をしている。
うちの猫たちが寝てばかりで相手をしてくれないので、僕は若干不満だった。
「ねえねえ、あったかいですね?」
僕もホットカーペットに寝転び、うちの猫のお尻をツンツン突く。
うちの猫は「面倒くさいのが来たわね」という顔で、ほふく前進をして、僕から離れていく。
「ちょっとくらい相手をしてくれてもいいじゃないですかあー」
と言いつつ、せっかく暖まっているのに邪魔するのも悪いか、とカーペットから離れた。
コーヒーを入れることにする。
カップにお湯を注いでいると、シマシマシッポが動き出すのが見えた。
ジワジワと移動していく。
先ほど、僕が寝転んでいた場所。
うちの猫がほふく前進して離れて行ったので、ちょうどスペースが開いているのだ。
慎重にうちの猫の様子をうかがいながら、近づいていく。
うちの猫は耳をピクピク動かして警戒していたが、面倒くさくなったようで、あくびをして目をつぶってしまった。
シマシマシッポもジワリと身体を横にして目をつぶる。
リラックスしているような、ピリピリしているような、不思議な光景が繰り広げられたのだった。
***
「まあでも、近くで寝られるようになったのは進歩ですよね」
うちの猫たちが少し仲良くなれたのは嬉しい。
「ホットカーペットの魔力ですね。僕も電気毛布を使うことにしましょう」
と押し入れから電気毛布を引っ張り出して、自分の部屋へ運ぶ。
ベッドの上にセットして、スイッチオン。
「中くらいにして、しばらくすればあったまっていますよね。楽しみですねー!」
僕は電気毛布が大好きなのだった。
あれこれ用事を済ませて、布団にもぐりこむ。
「うわあ、あったかい……? 何これ?」
足に異物が当たった気がする。
布団をめくって中を確認すると、うちの猫がもぐりこんでいたのだった。
「いつのまに……なんでこんなに早く気付くんですか。僕よりも先に入って……!」
「ウウー」
「私の場所よ!」というふうに僕を見つめている。
「いや、僕の場所ですよ……。半分こでいいから使わせてくださいよ……」
こうして、せっかくの電気毛布も半分しか使えないのだった。




