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近所の猫と、シマシマちゃん

「今日もここにいるんですかー?」


和室の奥の座布団の上に、シマシマシッポを見つける。

最近はここがお気に入りの場所だ。


ここは普段使わないのでひっそりとしている。

どうしてこんなひっそりとした場所にシマシマシッポが来るようになったのかというと……たぶんうちの猫が追いやったからだ。


ともかく、シマシマシッポを見つけて、僕は撫でまわしていた。


「えへへ、嬉しいですかー?」


「フゴ、フゴッ!」


身体をくねくねさせながら、シマシマシッポが答える。

くねくねが止まらなくなり、あおむけになる。

お腹を完全に見せて、あごも見せて無防備な姿だ。

視線は僕のほうを向いている。


「その姿勢だと、なんか……下から見下ろされているような……。不思議な気分になるんですけど……」


「フゴッ」


「喜んでますよね……?」


首をひねりながら、僕はシマシマシッポのお腹を触るのだった。


***


庭をいじっていると、虎柄の猫がやってきた。

シマシマシッポよりも少し大きい。

がっしりとした体格の猫だ。


この猫は野良猫ではない。

近所に引っ越してきた家の飼い猫だ。

毛並みもすごくきれいだ。


「あら、こんにちは。遊びに来たんですか?」


「ミイ」


見た目からは予想できない、か細くてかわいい鳴き声だ。

飼い猫だから人に慣れている。

僕の手に向かって、頭をこすりつけてくる。


「あらまあそんなことされると、撫でちゃいますよ!」


「ミイ!」


そうそう、猫ってこういう生き物だよな、と思いながら、虎柄猫を撫でる。

この子と比べると、やはりうちの猫は猫っぽくはない。

本人は人間だと思っているのだろう。


そこへシマシマシッポがやってきた。

虎柄猫を見て、わかりやすくビクッと身構える。


「ミイミイ」


「アオウ……」


「遊びに来たんですよー。仲良くなってあげてください」


「ミイ」


「ウアーオ」


「え……?」


ちょっと雲行きが怪しい。

シマシマシッポはかなり警戒している。


「ミイミイ」


「アオーウ」


「ミイミイ」


「ナアーオ」


ケンカにはならないようだ。

ずっと会話している。


――まあ初対面なので、こうして仲良くしてくのかもしれませんね。


二匹を見守りながら、そんなことを考える。

ふと、ここへうちの猫がやってきたらどうなるだろうか。


目をギラギラ輝かせながら走ってきて、虎柄猫の顔面にパンチ。

「ミイミイ」と鳴きながら虎柄猫が逃げていく。


そんな光景しか思い浮かばない。


――近所の猫とは仲良くしてほしいんですけど……。どう考えてもパンチを喰らわせますよね……。奇跡的に仲良くなってくれないかなあ……。


先に謝りに行ったほうがいいかな、と僕はため息をつくのだった。

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