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ちょっと甘える猫たち

「ンナアー! ナアー!」


自室で本を読んでいると呼ばれたので、ドアを開ける。

うちの猫はするりと入ってきて、部屋の中を一周する。


「フルル、ンニャー!」


のどを鳴らしている。

機嫌がいいようだ。


「うん、どうかしましたか?」


落ち着かない様子だ。

すっとうろうろ歩き回っている。


「へへへ、これは……触ってほしいんですね!」


「フルルルウ、ウアーオ!」


のどを鳴らしながら怒って離れていく。

触ってほしくはないらしい。


怒ったり、のどを鳴らしたり、器用なことができるなと見ていると、うちの猫は部屋を出ていこうとする。

ドアをひっかいている。


「えっ、もう行っちゃうんですか」


ドアを開けて見送り、閉めようとすると、ダダダ! と走ってもどってくる。


「いや、危ないでしょう。挟まっちゃいますよ?」


「フルルルウ!」


また部屋の中へ入ってきてしまった。

おでこをこすりつけてくるので撫でようとすると、「クワッ!」と威嚇して、僕の手を軽くかむ。


「もう! どうしたいんですか!」


うちの猫は、たまーに、この甘えているのかなんだかよくわからないモードになる。

どうしたものかな、と考えていると、うちの猫はしきりにドアを気にしている様子。


「いや、部屋から出ても、すぐに戻ってくるでしょう?」


うちの猫が部屋から出て、僕がドアを閉めようとすると駆け込んでくる。

そしてまた、部屋から出ようとする。

ドアを開けっぱなしにすると、部屋の前でうろうろしている。


「わけが分からないんだから……」


ふと思いついて、僕も部屋から出てみる。


「ンニャ! ンニャア!」


うちの猫は僕を見上げながら、隣の部屋に入る。

ついてきてほしいようだ。


「そっちの部屋は真っ暗なんですけど……」


電気のスイッチをつけようとすると、僕の足をカッとかむ真似をする。

僕には動いてほしくないようだ。

仕方なく、しゃがむ。


「でも、真っ暗なんですけど……?」


暗闇の中で、うちの猫の特大のゴロゴロが聞こえている。

どこにいるのかはわからない。


「なんなんですか……この状況は……」


よくわからないまま、しばらくの間、どこにいるのかわからないうちの猫の好きにさせるのだった。


***


一方、シマシマシッポは玄関マットの上で転がっていた。

あお向けになってCの字の姿勢で寝ている。


「そんなところで寝てたら、踏まれちゃいますよ。ちょっとは警戒心を持ってくださいね」


と足の先でちょんちょんと突くと、「キュウ」という鳴き声で返事をした。


「えへへ、何ですか? その鳴き声」


のぞきこんでも起きようとしない。

薄目は開けているのだが、動かない。


「寝てるんですか……? 寝たふりじゃないですか……?」


指でつんつんとつくと、また「キュウ」と鳴く。


「うーん、なんか、これ、わざとじゃないかなあ……? かわいい猫っぽく振る舞っているような……? 起きてるっぽいし……? どっちだろう……?」


首をひねりながら、僕は「キュウ」と鳴くシマシマシッポを突き続けるのだった。

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