暑さでぐったりな日、イライラなうちの猫
「うう、暑いですねえ……」
僕がソファーでぐったりしていると、うちの猫がひょいと僕の肩に乗ってソファーを飛び越えていった。
「元気ですね? 暑くないんですかあ……?」
と振り返ると、しきりに窓の外を見つめている。
「あ、はいはい。お出かけですね。いま開けますよ」
手を伸ばして窓を開ける。
いつも開ける窓とは反対側の窓だ。
立ち上がって移動するのが面倒だったので、手の届くほうの窓を開けたのだ。
「フウーン」
うちの猫が窓の下を見つめて鳴く。
なかなか飛び降りようとしない。
「うん? どうしたんです?」
「ウウーン」
見ると窓の下は地面だ。
高さは1メートルほど。
一方いつも開けている窓は、すぐ下にクーラーの室外機が置いてあるので、直接地面に飛び降りなくて済む。
「いや、でもいけるでしょう? この高さ……猫なら……。そもそもこれくらい、テーブルとあんまり変わらないんじゃないですか?」
「ウーン!」
うちの猫はいつもの窓を開けない僕に腹を立てたのか、くるりと振り返ってソファーで爪とぎを始めた。
バリバリ! バリバリ!
「わかりましたから……。あけますよ……。そんなにイライラしないでください……」
いつもの窓を開けると、うちの猫は僕を振り返りもせずに庭へ飛び出していくのだった。
***
最近のシマシマシッポは床に転がってぐったりしていることが多いのだが、気分次第で僕の相手をしてくれることもある。
「あー、また玄関マットで寝てますねー。最近お気に入りですよねー」
「フアーオ」
大きくあくびをしながら返事をする。
「えへへ。そんなところで寝ていると、触っちゃいますよー」
「ファウ」
「うーん、ちょっと痩せましたかね?」
「フルル」
シマシマシッポがゴロンと身体を転がして、あおむけになる。
「おっ、自分からお腹を見せるとは、触ってほしいんですね! それそれ!」
「ファウファウ」
こうして触っていると、猫は突然怒り出すことがある。
うちの猫だけでなく、シマシマシッポもそうだ。
僕が触りすぎなのかもしれない。
そんなときでも、シマシマシッポの怒り方はひかえめなので、慌てなくて済む。
「フゥーウ! ワーウ!」
「あはは、もうやめときましょうか」
おでこをツンツンと突いて、リビングへ戻る。
ちょうどそこへ、うちの猫が飛び込んできた。
「あら、もう帰ってきたんですね。やっぱり外は暑かったですか?」
と声をかけて、ふと思いついて、手のひらを差し出す。
「ほーら、シマシマちゃんのにおいがついた手ですよー」
うちの猫はスッと鼻を近づけると、
「ウウ……ギャーアー!」
毛を逆立てて怒り狂ったのだった。
そして僕はびっくりして飛び上がったのでした……!




