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うちの勘違いさん

ーーたまにはコーヒー以外も飲みますか。


とスーパーで買ってきたスティックカフェラテの袋に手をかける。


こんなものを買って飲めば、明らかにコーヒーを飲むよりもコストがかかってしまう。

だが、たまには無駄遣いをしたくなるときもある。

贅沢というほどではないけれど、ああ無駄だなあと思いながら買い物をしたいのだ。

そしてスティックカフェラテはちょっとした無駄遣いにちょうどいい値段だったのだ。


ーーまあこれがめちゃくちゃ美味しくてドはまりすることもありますからね。


おしるこにはまっていた時期のことを思い出しながらマグカップを用意する。


そこへうちの猫がやってきた。

タタッとテーブルに飛び乗って、僕の目の前に立つ。


「フウーウン」


ちょっと珍しいくらいの甘えた声を出す。


「うん? どうしたんですか?」


おでこを撫でると、ゴロゴロと喉をならしながら「それじゃないのよ」と僕の手を振り払う。


「何でしょう? まあとりあえず僕はカフェラテを飲むので……」


とスティックの先をパチンとハサミで切ると、うちの猫が身を乗り出してくる。


「ええ? なんですか?」


「フウーン。フーン」


「どうして? カフェラテですよ? カフェラテ好きなんですか?」


マグカップにスティックの中身をダバッと出すと、うちの猫はマグカップに顔を突っ込むようにして、においを嗅いでいた。

そして僕の顔を見上げて、「フーン?」と鳴く。


「いや……ちょっと待ってください」


僕はカフェラテのスティックを確認した。

スティックはそこそこ太い。

チューブのおやつと似た形をしているといえばしている。


「これ、おやつじゃないですよ?」


「フーン?」


うちの猫はティッシュの箱に首をこすりつけて、僕を振り返る。

まだかしらね、という顔だ。


「いや、違うんですよ」


「ウウーン?」


今度は前足を揃えてちょこんと座る。


「わかりました……。そんなに楽しみにしてるんならあげますよ。おやつばっかりじゃだめですよ? カリカリも食べましょうね」


「ナッ!」


とチューブを手にした僕の膝の上に飛び乗ってくるのだった。


***


ーーそれにしても最近機嫌がいいですよね。


うちの猫は塩対応が基本なのだが、このところ僕の相手をしてくれるようになっている。


ーーおやつをあげてるから? いまさらそんなことで……? これまでかわいがってきたのにおやつに負けるの……?


お腹を見せてご機嫌な顔で寝ているうちの猫を眺めて、僕は首をかしげるのだった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 騙してないのに、なぜか感じる騙しちゃったような罪悪感! おやつは強し……!
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