うちの鳥が来る庭
「フンー、ウーン」
何か音がすると思って目を開ける。
寝ている姿勢のまま、視線を横に動かす。
ちょうど目が合う位置に、うちの猫がいた。
僕を凝視している。
ーーうーん? なんで?
寝ぼけたまま視線を合わせていると、「なんなのよ! もう!」という雰囲気で、うちの猫は「フーン」と鳴きながら去っていった。
***
二度寝をして朝ごはんを食べているとまたうちの猫がやってくる。
「フーン、フーン」
と落ち着かない様子だ。
「なんですか? ご飯でもないみたいだし」
と僕が近づくと、タタッと窓へ駆け寄る。
そして空を見上げて「フーン」と鳴く。
「うん? 何が……あっ」
庭の木のどこかで、鳥が鳴いているのだった。
「あー、そういえば鳥がいますね。こういう音は聞き流してしまうものなんですねー」
暖かくなって、鳥の鳴き声が多くなってきた気もする。
うちの猫はしきりに「フーン」と鳴いていた。
「えっその鳴きかたは、おねだりの鳴きかたですよね。僕におねだりしても鳥は用意できませんよ……。僕じゃあどうにもならないです。僕は大きな猫じゃないんです……」
少しすると僕の言ったことが伝わったのか、僕を無視して鳥がいるらしき方向を凝視するようになった。
そして、
「クッ、カカカ。カッカッカ」
と鳥の鳴き声に合わせてうちの猫も鳴き出した。
鳥がいるときは、こういう鳴き方をすることがある。
一生懸命、鳥と会話をしようとしているようにも見える。
ーー鳥さんとお友達になりたいんですねー。とか思ってたら、瀕死の鳥を咥えてきたりしますからね……。掃除が大変だし、そういうのはやめてくださいよ……。
という僕の気持ちは伝わっているのかいないのか。
うちの猫は一生懸命鳴き続けるのだった。
***
庭で作業をしていると、シマシマシッポが通りかかった。
ーーそういえばシマシマシッポは鳥にあんまり反応しませんよね。
と思っていると、庭の木にとまった鳥が鳴き始めた。
シマシマシッポが立ち止まる。
「えっ?」という顔で、周囲を確認する。
「えっ?」という顔で僕を見つめる。
そして、トコトコと去っていくのだった。
ーーあー、シマシマちゃんはそういう感じですよね。
と納得したのだった。




