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うちの心配性

ちょっとネガティブになるようなことがあったのでした。


***


最近天気が悪い日が多い。

ゴウゴウという風の音を聞いて、「今日は雨も降っているのか」と思っていると、ペタリと窓にシマシマシッポが張り付いた。

いつもよりも悲しそうな顔で家の中を覗き込んでいる。


ちょうど落ち込んだ気分だった僕は、「はいはいいま開けますよ」と窓へ向かう。

体が重いのでゆっくりだ。


窓を開けるとシマシマシッポが飛び込んでくる。


「アウアウ! オアウ! アウ!」


といつもより余計に鳴いている。

しきりに何かを訴えかけている。


「何ですか? うーん、あ、濡れてますね」


タオルを持ってきて身体を拭いてやると、シッポをぴんと立てて、おとなしくなる。

ひと通り拭くとブルッと身体を震わせて、また「ナウナウ!」と鳴く。


「今度は……この鳴き方はご飯ですね」


はいはい、と台所へ向かうとシマシマシッポは僕の足にまとわりつくようにしてついてくるのだった。


***


ガタン!


玄関から音が聞こえる。


「もう、今度は……」


何ですか、とは思わなかった。

この音は玄関のドアノブを引っ張っている音。

うちの猫はこうやって、僕をおびき寄せるのだ。


「はいはい、いまいきます」


待ちきれない様子で、ドアノブがガチャンガチャンと音を立てる。


「はい、お待たせしました」


とドアを開けると「ンニャンニャンニャ」とうちの猫が何かをしゃべるように鳴きながら入ってくる。

こういう鳴き方はうちの猫にしては珍しい。


――とりあえずご飯でしょうか?


とリビングへのドアを開けて待つと、僕の足元で見上げて首をひねっている。

どうやらご飯は食べたくないらしい。


「まあ開けておきますから、食べたくなったら食べてください。僕はちょっと横になってますからね」


と階段を上がると、うちの猫もついてくる。

ときどきナッナッとつぶやいている。


――どうしたんでしょうね?


と放っておくと、部屋の中までついてくる。


「もう寝たいんですよ?」


と僕が布団にもぐりこもうとすると、ダン!とベッドに飛び乗ってくる。

そして布団を押しのけて、無理矢理おでこを僕に押し付けてくる。


「もう……」


おでこに手を当てると、のどを震わせながら、「ンナアアアア」と鳴いている。


「なーんで、わかっちゃうんですかね……こういうとき」


一生懸命にのどを震わせながら、うちの猫はンニャンニャと鳴き続けている。


猫たちのおかげで僕の気分も少しは晴れたのだった。

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