うちのお盆休み・帰省
お盆休みが一週間ほどあったので、実家に帰ることにした。
うちの猫たちとの久々の再会だ。
***
家についたのは昼すぎ。
リビングの床にベタリとお腹をつけて、うちの猫が座っていた。
「あらー、待っててくれたんですね!」
と手を伸ばすと、無言でギュッと首を縮めている。
「ん? どうかしましたか?」
鼻を突いても、固まったままだ。
「ええっ、何その反応……? 忘れてないですよね……? 僕ですよ……?」
うちの猫の態度に不安になってしまった。
どうやら暑さでバテてしまったのか、最近はいつもこんな様子らしい。
おでこを指で撫でると、グルグル喉をならしていた。
「おとなしいですねー。もうちょっと歓迎してくれてもいいんですよ?」
手のひらをあてると、うちの猫の頭は片手にすっぽり収まりそうだ。
「こんなにちいさかったでしたっけ? 夏バテであまり食べてないんですか?」
包み込むようにして、手のひら全体で頭を撫でると、うちの猫は迷惑そうに「ンニャン、ンニャン」と鳴く。
だが僕は全然足りなくて、両手でうちの猫を撫で回す。
「ン……ニャーン!」
ついにうちの猫が怒って、パンチをして走り去ってしまった。
それからも撫でたいという衝動が抑えられなくて、うちの猫を撫で回しては怒られるという行動を繰り返してしまった。
ーーでもこれって本当は怒ってないですよね?
威嚇するときの「クワー!」という声は出していない。
なんだか甘えた声で怒っているように感じる。
ーーやっぱり寂しかったんですね!
都合のいいように解釈して、僕はうちの猫を追いかけまわすのだった。
***
一方シマシマシッポは特に変わらないようだ。
「変わらないというか、むしろ太りましたよね?」
抱えるとかなり重い。
お腹もぽっこり膨らんでいる。
僕が帰ってきたことよりも、ご飯のほうが気になるようだ。
なんとか腕から逃れてカリカリのところへ向かおうとしている。
ーーいや、もうちょっと何かあるでしょう……。
皿にカリカリが入ってないのを確認すると、僕を見つめる。
ーーあ、ご飯補充係が来たことはわかっているわけですね……。
仕方なく、僕は係の業務を遂行するのだった。
***
懸念されていたうちの猫とシマシマシッポの関係もうまくいっているようだ。
上下関係は変わらないが、うちの猫が追いかけまわすということもあまりないらしい。
僕が見ているときも、一メートルほどの距離に座っておとなしくしていた。
シマシマシッポのほうはビクビクしていたが、まあ思ったよりは仲良くやれている。
ーーうちの猫がバテているだけなのかもしれませんけど……。
たまに帰ってくるので、仲良く元気にしていてくださいね、とうちの猫を撫でると、ペチンと優しくパンチをされてしまうのだった。




