うちのお引っ越し
急に引っ越しが決まったので、準備は慌ただしいものになった。
ーー向こうで買えるものは向こうで買うとして……。
とりあえずの生活に必要なものだけバッグに詰めこんでいく。
ーーまあこんなものでしょう。
意外と大荷物にならずに済んだ。
バッグひとつだけだ。
ーーほかにも持っていきたいものはあるんですけど……。まあ無理ですよね。いろいろ考えると……。
と家の中を見回してため息をついた。
「シマシマちゃん? どこですかー?」
と呼んでもシマシマシッポは現れない。
ーー午前中はいたんですけどね……。
数日分の下着やタオルを集めて回っている僕を、寝転んだまま眺めていた。
ーーこんなときに遊びに行くなんて、もう……。
一方、うちの猫は僕のベッドでくつろいでいた。
待っていてくれたのかもしれない。
「ふふふ、やっぱり賢いですねー」
指を鼻先に近づけると、目を細めてうっとりとした表情を浮かべていた。
機嫌がいいのかもしれない。
「あ、そうだ」
僕はドアへ向かう。
「何かの拍子に閉じ込められるといけないから、この部屋のドア、開けっぱなしにしておきますね」
と金具を固定する。
「あとは……シマシマちゃんをあんまりいじめないでくださいねー」
ベッドの上のうちの猫は、僕の話には興味がないようで、しきりに前足を舐めている。
「じゃあそろそろ行きますからね」
鼻をつんつんと突くと、ウウーンと甘えた声をだす。
「休みの日には帰ってきますからね!」
うちの猫は非常に機嫌がいい様子だ。
いまならいけるかな、と抱っこしようとする。
しかし背中に手を回そうとする途中で、「ウオーウ」と言う低いうなり声を出し始めた。
やはりそれはダメらしい。
「わかりましたよ……。じゃあ行ってきます!」
ということで、僕は引っ越しをしたのだった。
そういうわけで引っ越ししましたー。
更新はこれまでよりも不定期になります。
帰省時にしか会えないので寂しいですね……!




