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うちの軽い猫

「あついですねー! 体調くずしてないですかー?」


 とうちの猫を持ち上げる。

 思ったよりも簡単に、ひょいと持ち上がった。

 本当に、「ひょい」だ。


 ――うわっ、明らかに軽くなってる……!


 痩せたというのがハッキリとわかる軽さだった。

 びっくりして下ろすと、トコトコトコと走っていく。

 元気がないというわけではなさそうだった。


 ――でもご飯は食べてるはずなのに……。


 お腹が空いた様子なら、すぐにカリカリを用意しているし、最近はむしろその頻度が高いような気がしていたのだ。


 ――食べているはずなのに痩せる。いったいなぜなんでしょうか?


 と僕は首をひねった。


***


「さて、犯人を見つけました」


 階段の下で寝そべっているシマシマシッポを見下ろして、僕は言った。

 シマシマシッポは首を傾げている。


「うちの子のご飯を食べてますよね?」


 うちの猫はカリカリを用意してもいっぺんには食べない。

 ちょっと食べて、残して、また気が向いたときに食べるタイプだ。

 うちの猫がカリカリを残したタイミングで、シマシマシッポが食べていたんじゃないかと思ったのだ。


「いい子にしてると思ったのに……!」


 僕が見ている間は、カリカリを食べようとする素振りも見せなかった。

 だから安心して、自由に出入りさせていた。

 だが、怪しい。

 シマシマシッポはいつも通りに、「どうかしたの?」という顔をしていた。


 ――ふむ。まあいいでしょう。いずれシッポを出すはずです。


 僕はキッチンへ向かい、うちの子のエサ入れを手に取った。


「よーし、カリカリを用意しよう! 今日はいっぱい入れておこう。あーカリカリ美味しそうだなあー」


 カリカリをかきまわし、音を立ててアピールする。

 そして、テーブルの上に置いた。


 しばらくすると、シマシマシッポがゆっくりと歩いてきた。

 伸びをして、あくびをして、リラックスしている様子だ。

 テーブルの上を見つめて、ぴょんと椅子に飛び乗った。

 首を伸ばしてエサ入れに顔を突っ込もうとする。


「ほら。すぐにバレてるじゃないですか! やっぱり食べてましたよね」


 シマシマシッポのオデコをペチンと叩くと、「えっ?」という顔で僕を見て、またカリカリに首を伸ばす。


「もう、ダメですよ」


 ペチンと叩くと、一瞬首を引っ込めるが、すぐにカリカリへ向かう。


「うーん、もう、しょうがないですね……」


***


 結局シマシマシッポの分のカリカリも用意することにした。

 うちの猫はテーブルの上、シマシマシッポはキッチンと分けてある。


「うちの子の分は食べないでくださいね」


 とオデコを叩いて言い聞かせると、シマシマシッポもわかったようだ。

 もともとテーブルの上はうちの猫のテリトリーで、滅多に登ることはない。

 上手く住み分けられそうだ。


「だいたいそういう素振りも見せなかったのに。隠れて食べるからややこしくなるんですよ」


 と言うと、カリカリを食べたシマシマシッポは満足げに口の周りを舐めていた。


 ――こうなると流石にうちの子ですね。今度病院に連れていきましょう。


 と僕は思った。



 ちなみにうちの猫には、体重が減った分、カリカリとは別に、猫用のおやつも食べさせることにした。

 チューブ状の袋に入ったおやつだ。

 嬉しそうに食べるのはいいのだけれど、カリカリを用意しても、「これじゃない……」という顔をするのはやめて欲しいと思う。

もともとうちの猫みたいなものでしたからね……!

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