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うちのアオアオ……ピャーオ!

 夕食を食べているとうちの猫がやってきた。

 餌入れの前に座り、ちらりと僕を見て毛づくろいを始める。

「私、別にお腹なんて空いてないんだけど。ただここに座っているだけなんだけど」という態度だ。

 僕がご飯を食べているのを見て、自分も食べたくなったのかもしれない。


「あはは、一緒にご飯食べましょうか」


 とカリカリをひとつかみお皿に入れる。

 うちの猫はすぐさまお皿に飛びついた。


「食欲があるのはいいことですねー。相変わらず量は少ないですけど……」


 とお腹を触る。


「あれ? でもちょっと太りましたね。いいですよー。いままで痩せすぎでしたからね」


 こんなことを定期的に言っている気がする。

 太ったと思ったら、いつのまにかまた痩せているのだ。


 さらに触ろうとすると、うちの猫は皿に顔を突っ込んだまま、じりじりと僕の手から距離をおこうとする。

 皿を中心にした時計回りの回転運動だ。


 ――食事中にあんまり触ろうとすると怒られますからね……。


 12時から7時の場所へ移動したくらいで、諦めることにした。



 ***



「アウアウ!」


 朝、かなりはやい時間に起きると、リビングでシマシマシッポが待ち構えていた。

 まだ外は暗いのに、シマシマシッポのテンションは高い。


「あ……おはようございます……」


 僕のテンションはもちろん低い。


「アウアウ?」


 シマシマシッポは僕の足もとをウロウロしていた。

 遊んでほしいようだ。


「ん……遊ぶのは今度です。足もとにいると踏んじゃいますよ」

「アオンアオン……ピャーオ!」

「あはっ、いまのなんですか? 変な鳴き声ですねー!」

「ンピャーオ」


 シマシマシッポが突然高い声を出したので笑ってしまう。

「変な声ー!」とお腹を突いていると、ゴロンと床に横たわる。

 僕もしゃがみ込んで、しばらく夢中になって撫でていた。


 ――あれ? これっていつのまにかシマシマシッポの思い通りになってませんか?


 当の本人はいつものように、「どうかしたの?」という顔をしていた。



 ***



 庭の草を刈っていると、お隣の奥さんがやってきた。

 植物を数本握っている。


「あのね、これ、パイナップルセージ。庭に植えるといいわよ」

「えっ、パイナップル……?」


 お隣の奥さんが手に持つ植物は20センチほど。

 大きめの草のような見た目で、木ではない。


「あのね……あなたね、これはパイナップルじゃないのよ。当たり前でしょ。パイナップルセージっていうハーブなの。嗅いでご覧なさいよ」

「えっ、はあ……。わっ! すごいにおいですね」


 いままで庭で見つけたどのハーブよりも強い、甘いにおいがしていた。

 パイナップルセージを庭に埋めて、世間話をしていると、トコトコトコとシマシマシッポが通り過ぎていった。

 挨拶のつもりなのか、「ナウナウ」と声を出しながら歩いている。


「うふふ、あの子人懐っこいわよねー」

「そうなんですよー。かわいいですよねー」


 ふたりでシマシマシッポを眺めていると、うちの猫が走ってきた。

 シマシマシッポはビクンと反応して、慌てて駐車場の車の下に隠れる。


「おたくの子は気が強いわねー」

「そうなんですよ……」


 うちの猫は走ってきた勢いのまま、ダンダンッと車の上に飛び乗った。

 天井の部分から、キョロキョロと辺りを見回し、耳をしきりにピクピク動かしている。

 たぶんシマシマシッポが車の下から出てくるのを待ち構えているのだろう。

 一方のシマシマシッポは、車の下で居心地悪そうにお尻を動かしていた。

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