表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
108/215

朝のシマシマシッポ

 朝起きて、暗いなかをキッチンへ向かう。するとシマシマシッポがトコトコトコッと足元をかけていった。


「わっ、足元は危ないんですよー。暗くてほとんど見えてないですからね。気をつけてください」

「アーオウ」

「だいたいどこから入ってきてるんですか……。いつもいつも……」

「アーオ! アーオ!」


 朝からシマシマシッポのテンションが高い。こうしてあんまりうるさく鳴いていると、家の中とはいえ近所迷惑なんじゃないかという気もしてくる。


「ちょっと静かにしましょうか」

「アーオウ! アーオアーオ!」

「アーオじゃないです。ニャッと鳴いてみましょう」


 お手本のようにして「ニャッ、ニャッ」と鳴く僕を見つめて、シマシマシッポがピタリと立ち止まる。そして、「ナッ、ナッ」と鳴き返した。


「えっ、賢い! ニャッ、ニャッですよ」

「ナッ、ナッ」

「あはは、ニャッ、ニャッ」

「ナッ、ナッ」


 ふたりで鳴きあって、結局うるさくなっているんじゃないかという気もした。



 外から帰ってくると、玄関の前にボスがいる。ちょうどドアを塞ぐように横になっていた。


「あら、また待っててくれたんですか?」


 このところ、こうしてボスが待っていてくれることが続いていた。猫同士でケンカをする時期から、甘えたくなる時期に変わったのかもしれない。近所でケンカをする声も聞こえない。

 お腹を見せてアピールするボスの相手をしていると、だんだんとテンションが上がってきて、


「フニャー」


 と鳴きながらトコトコ走っていく。

 そうして、ようやく家の中に入ることになる。



 うちの猫とシマシマシッポも、あまりケンカをしなくなった。といっても、仲良しになったというわけでもない。ちょうどいい距離感を見つけて、お互いその距離を保っている様子だ。

 うちの猫は、ストーブの前のソファー。シマシマシッポはテレビの前のソファーに寝転んでいる。

 最近はそれぞれのソファーが決まってきたようだ。いつも同じソファーでくつろいでいる。

 二匹ともだらりと力が抜けて長くなり、リラックスして目をつぶっていた。


「うーん、気持ち良さそうでいいんですけど……」


 と二匹の様子を眺める。


「僕の座る場所がないですよね……」


 つい先程、洗濯物を取り込んだところで、それをソファーの上に置いていた。座れそうなスペースはうちの猫とシマシマシッポが占領したので、僕は床に座るしかない。


「まあいいですけど……」


 床に座ったまま洗濯物を畳み始めると、うちの猫が、


「何かやってるわね。どれどれ」


 といった感じで前足を伸ばしてタオルに爪を立ててきた。


「ちょっと! 邪魔しないでくださいよ」


 うちの猫の顔を見ると、爪を立てたまま目を閉じている。眠たいけれど、邪魔だけはしたかったようだ。


「もう、本当に……。なんですかそれ……」


 タオルから爪を抜いて、うちの猫にそのタオルをかけると、モソモソと動いてタオルにすっぽり包まってしまった。


「はい、おやすみなさい」


 と声をかけて、僕はまた洗濯物を片付け始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ