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真実の目  作者: 小町小町・モンディー
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第一章(出会い)

 「うわああああああああああああ」

 少年は覚醒する。その目に光は無く、あるのは涙だけ。

 それから三年後、少年は旅に出た。長い長い旅の始まり。

 少年の目には光があった。


 「おい、いるか」

 「どこにもいません」

 「探せ。必ずどこかにもう一人女がいる」

 どこにでもある普通の家の中。食べていたであろう夕食は、机のうえにおかれたまま。座っているものは、誰もいない。

 さっきまで幸せだった家族は、見るも無残な姿で横たわっていた。そして、立っているものは、ならずものの男たち。手には、それぞれの武器を。

 少女は、自分の部屋に隠れていた。いつ奴らに見つかるかもわからない。

 「おい。見つけたぞ」

 少女の目には涙が流れる。見つけた男は家族のところに連れていき、倒した。

 「どうする。殺すか」

 「そうだな。殺せ」

 その瞬間、少女の目から光は消えた。

 何がきっかけだったかはわからない。家族の死体を見たからなのか、それとも自分の死が近づいたからなのか。

 数秒後、男たちは倒れていった。立っているのは少女一人。手には、男が持っていたナイフ。



 「本当にここで当たっているんだろうな」

 「ええ、そうですよ。……、もしかして俺のこと疑ってます?」

 「いや違う。少しびっくりしたんだ、こんな廃墟だとは思ってなかったからな。まあ、確認さ」

 満天の星空の下、寂れた町の中の廃墟の前で二人の男が話していた。

 一人は、この世界の警察の服を着た若々しい少年。

 もう一人は、数年間野宿しでもしたのか? と言いたくなるほどに、ぱっと見汚い男。しかし、よく見ると案外きれいなのがわかる。

 「じゃあ俺帰りますよ。ばれると俺やばいんで」

 そう言いながら、男は自動二輪車に乗った。

 「ああわかった。次あったときは何かおごるよ」

 「本当っすか。じゃあ、死なないでくださいね」

 そう言って、彼は帰っていった。

 

 「おい。何かわかったか」

 「いいえ。まだ何も」

 男が入ってきた廃墟の地下に、白衣を着た男と女たちがなにやら調べているようだった。

 話の中心となっている人物。それは、部屋の真ん中の機械に入っている、一人の少女だった。 

 「あくまで、生かしたままで研究したいからな。解剖は最後だ」

 そう言った数秒後、ものすごい大きい音の緊急音が鳴った。

 「侵入者か! 探せ!」

 白衣の男たちは、それぞれの武器を持ち部屋を出て行った。残った女たちも、銃を持ち、ドアを睨んでいた。

 緊急音がなって十数秒、ドアが開かれた。

 「撃て! 撃て!」

 女たちは自分が持っている銃をドアに向かって撃つが、そこに人はおらず。女たちは、白衣を赤く染めながら倒れていった。

 「…………」

 入ってきた男は、機械から眠っている少女と、いくつかの資料をとって部屋をでた。その廃墟には、死体と壊れた機械類だけが残った。



 男と少女は、宿に泊まっていた。少女はまだ起きず、男はテレビを見ていた。窓から差す光はやわらかく少女をつつんでいた。

 昨日あった惨劇があったことも忘れるぐらい、のどかな雰囲気だ。そんな雰囲気の中、少女が眠っているベットから音が聞こえた。

 「起きた?」

 「ここは…………、あなたは誰?」

 少女はベットから顔が上がったと思ったら、男のいる方向に顔を向けた。しかし、目は男の目にあわず、よくわからないところに向いていた。

 「ここは、君がいた場所とは離れた村の宿だ。……、で俺は松村雄治。目が見えないんだよね」

 少女は目を大きく見開いた。男は見ていたテレビの音を少し上げた。

 「あなたは、わたしについてどこまで知ってるの?」

 「名前は片岡桜。歳は16歳で、フィス学園に在学していた。魔力は乏しく、機械を専攻していた。ある事件をきっかけに目が見えなくなり、警察は君を社会から殺し、君が何故あの場で生きていられたのか調査を闇の会社に依頼した。ぐらいかな」

 「結構詳しいのね」

 少女はベットから完全に出て、男に近づいた。

 「で、私をどうしようっていうの」

 「いや、別に悪いようにはしないよ。警察の友達がいてだね、君の事件で不可解なところがあって調べていたところ、警察が隠蔽していたと友達が言ったんでね。君を助けたのさ。……、で俺が君をどうしたいかというと、君を救いたいんだ」

 「救い……、たい?」

 「そう。君の病状は突発性魔力覚醒病だと思うんだ。君の潜在能力が強引に覚醒して目が見えなったと考えられるんだよ」

 「突発性魔力覚醒病?」

 「うん。俺の友達が研究して発表したんだけどね。その潜在能力を引き出す方法が知りたくて警察は君を渡したんだと思うよ」

 少女は意味がわからないという顔でぽつんっと座っていた。男は、冷蔵庫からジュースをとり、少女に渡した。 

 「飲む?」

 「はい。……、それでわたしをどうしたいんですか?」

 「治したいんだ、君の病気を。……、だけどそのためには一年、俺と一緒に旅をしてもらわなければならない。そこで君に魔力の使い方を教える。そして、一年後君を俺の友達のところにつれていって治してもらう」

 少しの沈黙が部屋に訪れる。聞こえるのは、テレビの音だけ。そして、少し時がたち男は言った。

 「どうする? 一緒に来る? それとも、孤児院に引き取ってもらう?」

 少女は、目をとじ一分ぐらいたって男に向かって言った。

 「ついていきます」


 

 男と少女の旅が始まる。

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