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第13話. 真紅に赫く銀の焔

(オ・・・オルサス、だよな?──あいつは、元の武器を失って、団長の武器を受け継いだが・・・そう直ぐにあの異常な武器を使いこなせるもんなのか!?アレを団長以外の人がマトモに使えるとは思えねえが・・・しかし、今見せたもんは、人間の力じゃねえ!)


 そこに立つのは、ガルフィス騎士団 永久欠番の1位である団長に次ぐ戦闘ランク、2位の“砕けざる墓石オルサス“……オルサス=グレイブロックに違いない男だ。

 が、目撃したその力は彼とは明らかに異なるものであった。

(誰かいるのか!?他に・・・?)

 ピエトロは辺りを見渡す……が、ここにいるのは“すね砕きのトレロ“、彼自身である“のこぎり頭のトレロ”、新たにやって来たオルサス、

 それ以外にはどうやら誰も見当たらない。


 ただし、あくまで目には映らない、というだけで彼女、そしてゴブリン商人は確かにそこに存在する。そして祭壇の裏から支援するべく、両手をあやとりのように向かい合わせ、能力を発揮させていた。


形作る血麗石の透明繭ブラッディナイト・インビジブルコクーン”──


 シーネの王家の血筋の能力、支え抜く血嶺(ブラッディナイト)石の立体魔法(・フレームワークス)陣の応用。

 きめ細やかに編まれた光を屈折するシートでその身を覆い隠すことで、内部の者の姿を示す光は散らばり、外には正しく像が結ばれなくなる。

 もっとも、対象が多数の場合はその観測する位置によってぼやけたように微かに見えてしまい、その技単体では完全なものではない。

 ──が、シーネはその上に更に隠密魔法を自身に重ねがけすることで、より精度の高い隠密効果を実現させていた。


 同様に、魔法を会得しているゴブリン商人も感覚による認識を拒む技を有している。

(あれは、ピエトロさんにトレロさん……直接会ったことはないけど、あの人たちのことは、お兄ちゃんからよく聞いている!。3人の力なら、支えればきっと──)


「く・・・来る!!」

 トレロが斧を構えつつ、叫ぶ。


 三者に対し、大小様々、そして各々が武装するヴェスパが総攻撃をかけんとする勢いで迫り、一斉に息の根を止めるべく襲いかかる。

 更にその後方からは巨体、オークハンターが完全に体勢を立て直している。その巨体からは想像もつかぬ怒涛の勢い──そして破壊と殺戮を現実のものとすべくハンマーを叩きつけんとしている。


(くそっ、ダメ押しみてぇにまたあのバケモンもきやがる!対処法がねえ!!)


 死を告げる軍勢が眼前に迫り来る。


 その時──


張り巡る血麗石の晶髄ブラッディナイト・マロウ


(この礼拝堂そのものを支える!!)


「!!?」


 騎士たちの前に広がる光景。

 床から天井にかけて、突如出現した、分厚い紅の結晶の柱──

 それは網目の様に張り巡らされ、その攻撃が届くことを阻むと同時に、魔物達は張り巡らされる結晶の網目を通過できず、捕らえられた形となる。


(これは・・・魔法か!?誰かが王女様を起こしたのか・・・!?いやそんなわけねえ!!それだけは絶対にできねえ!!!)


「ピッ、ピエトロ!!!チャンスだ!この状況では、お前が頼りだ……!あるだろう?残弾が……!」


(!!)


 祭壇の下に隠れていたもう1つの“シルバーポット”。

 それは“風“を受け、何者かによりピエトロの前に差し出されたかのように転がる。


「お、俺たちは支え合って強くなる!い、いつもそうだった、だろ?」

 トレロはそう言い、魔物が捉えられる紅の結晶の柱から織りなされる網に向かい、シルバーポットを放り投げた。


「そう・・・だな!!」

 "バックラーグレネード"──!


 "ドゴオオオオオォォッッ"


 ピエトロのギミックシールドから射出される、小型の丸盾バックラーを改造した“盾爆弾”。

 それはシルバーポットに命中し、圧縮されていた高出力の焔が爆音と共に炸裂する。


 煌めく焔は総攻撃を仕掛けんと集塊となり捕えられた魔物の軍勢を覆い包む。

 その輝く様はオルサスたちが見知った物とは異なる、真紅と銀が入り混じるようにして、赫くしたたかな焔──


(これは・・・銀の焔なのか・・・?)

(いや・・・今までのものとは違う!なんだコレは・・・・・・!!!?)


 ヒトの骨格を有する蝿の魔物、ヴェスパとガルフィス王国との戦い。

 その戦いの在り方によっては、より早い時期にこれにたどり着いていたかもしれない。

 だが、戦局や偶然が重なった事に加え、これの実現には更に未だ見知らぬ願いの主への親密な想いが必要となる。彼らにとってそれは、いまだかつてはっきりとは目にしてきたことのないものであった。


 その中で、王家の血筋を持つシーネが、直感としてこの場で起こっている事態を読み取る──


(この焔・・・!)

(“銀の焔”これを生み出した人には、私は会ったことがない。だけど、わかる。あのあたたかさ……あれを生み出した人とは、私は友達になれる・・・!)


(シーネの能力・・・あれは“願い”、そして“能力“は違えど、王女様が持つような王家の力に違いない。それが、どうやらこの焔の意思は──)


 そして、両者は同時にその解答を導き出した。

((意思が混ざり合っている・・・!))


((きっと、“銀の焔“は、別の“願いの力“・・・能力と交叉クロスオーバーする・・・・・・!))


 通常、瘴気が濃さを増した状況では魔導士はポジティブな願いを動力源とする魔法の使用が困難な状況に陥る。

 ただし、シーネの“支える“意思──願いは、その性質上、ネガティブな空気(マナ)に対する耐性があり、この状況下にも関わらず能力が使える例外的な立場にあった。

 その特性は焔に混ざり、本来の決定的な弱点を支えるものとなる──


 軍勢の大半はすでに灰と変わり果て、残った魔物には本来すぐ消えてしまうはずの焔が尚も燃え続けている。


(やはり・・・!この特性!)


「ピエトロ!トレロ!戦うぞ!この焔は“支える意思の力”によって瘴気に耐性がある!詳しい説明は後だ!」


「!?・・・おう!」

「りょ、了解した・・・!」


 再び武器を構える3人。

 焔と入り混じったことで“張り巡る血麗石の晶髄ブラッディナイト・マロウ”による結晶の網は中央が欠けた状態となり、まっすぐな道が形成されている。


 すでにヴェスパの多くは灰へと変わり果て、その奥には、真紅の銀焔を浴びたオークハンターの巨体が見据えていた。


「そして、ヤツは・・・俺がやる・・・!」

 オルサスは古の竜の巨剣“ドラゴニス”を手に、巨躯の魔物を屠るべく、礼拝堂の中央を突き抜けた。

AI非使用

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