明希と利成君の。
フローライト第十話。
専門学校二年目。明希は二年のコースを選んでいたので今年で卒業だ。でもその前に二つの国家試験があった。
(あー・・・どうしよう・・・)といつものように悶絶する。
でも今年で卒業して何とか独り立ちしたかった。明希は家を早く出て一人暮らしをしたかったのである。それというのも、父が近頃再婚した。新しい女性は父の妻としてはとても相性が良いらしいが、明希とは最悪だった。
夜にスマホが鳴った。利成かと思ったのに翔太からだった。
<こんばんは。何してる?>
翔太と再会してからこうやってしょっちゅうラインがくる。来て欲しい時は来なくて、来なくてもいいとなるとこうやってしょっちゅうくるとはこれ如何に・・・。
翔太はすごく好きだったけど、それ以上に今は利成が好きだった。翔太に返信しようとしたら利成からラインが来た。
<近くにいるよ。出てこれない?>
(え?)とすごく嬉しい。でもと鏡をみたら酷い顔だった。<行けるよ>と返事してから急いで準備をした。玄関で父の妻と会ったので「ちょっと出かける」とだけ伝えた。この女性に言えば父にも伝わるだろう。
表に出ると少し離れたところに利成の車が止まっていた。急いで車まで行って中をのぞいたら利成が中から助手席のドアを開けた。
「ごめんね、急に」と助手席に乗ると言われた。
「ううん、全然」
「夕食はもう済んだ?」
「うん、利成は?」
「俺はまだ」
「じゃあ、どうする?」
「適当に買って帰るよ」
「そう?」
スーパーに寄って利成と一緒に買い物をしてからアトリエに行った。利成がスーパーで買った総菜をテーブルに並べてからキッチンに入った。
「明希、ワイン飲む?」
「あ、うん」
利成がグラスとワインを持ってきてテーブルに置いた。
「ワイン、買ったの?」
「いや、貰い物」
「そうなんだ」
二人で乾杯をする。そういえば今年で二人共二十歳だ。
「利成って誕生日いつだっけ?」
「三月だよ」
「え?三月?何日だったの?」
「十日」
「え、そうだったの?何もあげれなかった」
「いいよ」
「でも・・・」
「明希の誕生日は十一月でしょ?」
「うん、何で知ってるの?」
「幼馴染だから」と利成が笑っている。
「えー・・・私は忘れてたのに・・・今からでも何かあげるよ。何がいい?」
「んー・・・大丈夫」
「大丈夫って?」
「今日明希からもらうから」
「何を?」
「明希自身」と言われてハッとした。あれから少しずつ確かにリラックスできるようになってはいた。利成はいつも優しいキスと、優しく触れてくるのでだいぶトラウマも解消できた気はする。
だけど・・・とまだ不安はあった。
「大丈夫だよ。無理にはしないから」と利成が言う。
(あー・・・どうしよう・・・)
でもそうだよね、やってみなくちゃわからないよね・・・。それにこうやって変に緊張するのがいけないんだとも思う。軽く考えなきゃ・・・。
シャワーを浴びてベッドに入るとやっぱり緊張してきた。利成が部屋に入って来てベッドに入ってから照明を少し落とした。
「あんまり暗くしない方がいいと思うから」と言う。暗い方が発作が起きやすいと利成が以前言っていた。
ドキドキと心臓が鳴って来た。心では全面的に受け入れているというのに、何で身体だけ違うんだろうか?と素朴な疑問が湧いた。
利成が口づけてくる。しばらく優しいキスだけ繰り返してくるので、だんだんうっとりしてきてしまった。
今日は実はスカートを履いたまま下着だけ先に脱いでいた。どうやらズボンと下着を脱がされるとスイッチが入るのでは?と自分で勝手に思ったのだ。だからスカートはそのままにしてと頼んだ。
時間をかけてゆっくりと利成の身体が明希の下半身に移動していく。スカートをめくられて利成の唇が明希の敏感な部分に当たった。口でというのは利成が考えた。指や手だと刺激が強すぎてトラウマが発動しやすいのではと・・・。
(あ、でも・・・別な意味で・・・)と足をモジモジとした。
しばらく利成の舌が明希の敏感な部分を刺激した後、利成が布団の中でズボンを下ろした。それも見えない方がいいと利成が考えた。
ゆっくりと利成が明希の中に入って来た。
(あ・・・)と別な意味で声が出そうになった。
「大丈夫?」と聞かれる。
「大丈夫・・・」とつむっていた目を開けたら利成の顔が近くにあって恥ずかしくなってまた目を閉じた。
恐怖心はなかった。別な意味での緊張はあったけど、少なくとも前のような感じはなくなっていた。
(あ・・・何だか・・・)
ちょっと感じてしまう・・・。
手を伸ばしたら利成がその手に口づけてくれた。だんだん利成の動きが早くなっていって明希の上に射精した。
「明希、大丈夫?」
少し息を切らした利成が言う。明希は目を開けて利成を見て「大丈夫」と答えた。
「良かった」と利成が口づけてきた。
その日は利成と手をつないで寝た。すごく幸せだった。




