1話 無からイチに成る?
何も無い光の空間から音が聞こえてくる。
とてもか細い、恐らく女性の声で。
「ガガガ... 初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった。
そして言は肉体となり、わたしたちのうちに宿った」
え?なに?
なんか怖い。よく分からないこと言われてる。
「天では、神に栄光があるように。
地上では、平和が、神に喜ばれる人々にあるように」
え?俺に言ってんだよな?多分?
意味のわからないこと一方的に言われるの本当に怖いんですけどー!やだー!
「すべてに先立って父より生まれ 天からくだり、
聖霊によって、母よりからだを受け、人となられ」
ちょ、待ってね。落ち着くから。
ん?どうなってんだこれ?
なんか空間に漂う周囲の大気が急に圧縮してきてる様な…
頭を動かそうとして・・・身体が反応しない。
それ以前に今ここに身体があるのか?
意識的にどこか痛むところはないか確認する。
痛みはない。
寒さも暑さも感じない。次に手足を確認。
指先どころか、手も足もそこに存在している反応はなかった・・・どういう事だ?
そもそも、目が開いているという感覚がない。
俺の心に、かつて感じた事もないものすごい不安が押し寄せてきた。
意識だけはあるが、幽体のような状態でこのまま、ここに閉じ込められるんじゃ無いよな。
いやいやいや、勘弁してくれよ!
その時、急な息苦しさを感じ、鼓動が高まる。
え、このまま無になるのなんなの?
こういう状況ってラノベでよく見るけど、
基本的に転生とかして楽しく生きれるんじゃないの?
やだー!全然いいことなかったし!
最後、こんなのやだー!
ここを最後に意識が途絶える。




