二人だけの旅行
旅行の前日の日になった。二人は仕事を終えたあと家に帰りう荷造りなどをして旅行の準備をしていた。
「いよいよ明日から旅行だね。ちゃんと忘れ物ないようにしないとね。」
「恵那ちゃんちゃんと確認してね。忘れ物しそうだからね。」
「何それ。しないから安心して。颯太くんこそ忘れ物しないでよね。」
「大丈夫だって。」
二人は会話しながら準備をしていた。2泊3日の旅なので荷物もそこそこ多くなっていた。キャリーバックに服など色々詰めて準備を進めていた。
準備が終わると二人は夕飯を食べながら明日からの予定を再度確認していた。
「明日起きたらまず剣が祀られている神社に行ってお参りとそこでひつまぶしも食べようね。そこまでの運転は私がするね。その後の水族館までの道は颯太くん運転に運転任せるね。」
「うん。任せて。恵那ちゃんも朝早いから運転眠くなると思うけど気おつけてね。」
「そして水族館の後は宿に行って夕飯を食べてゆっくりして二日目になったら天照大神の神社外宮内宮両方お参りしようね。」
二人は予定をお互いに確認しながら話を進めていった。計画は比較的余裕を持ってプランを立てているため空いた時間はその時楽しもうと思っていた。
話を進めて晩御飯を食べ終えると二人は就寝の準備に入った。明日は朝早いので早めに寝る事にした。
二人はベッドに入り寄り添って寝る体制をとっていた。
「ねえ颯太くん。本当にありがとうね。いつも私がしたいことをしてくれて私颯太くんの彼氏で本当に良かった。」
恵那にそう言われ颯太は恵那の方を向く。恵那は嬉しそうな顔をしていた。
颯太はそっと恵那の頭を撫でた。頭を優しくさすりながら颯太も言葉を言った。
「俺こそ恵那ちゃんにはいつも感謝しているよ。恵那ちゃんがいてくれて毎日が楽しいよ。本当にありがとうね。」
颯太の言葉を聞いて恵那は颯太の胸に顔を埋めた。そして胸の中で小声で「大好き。」と言った。
颯太も恵那の耳元で「僕もだよ。好き。」と言った。
それを聞いた恵那は颯太の体に手を回し颯太にくっついた。そしてそのまま就寝に入った。
そして次の日になった。二人は目覚ましのアラームで起きて準備を整えた。恵那も颯太も服装から気合いが入っていた。服装にも今回の旅行の楽しみが
詰まっていた。
服を着替え荷物を車の中に積み込み出発をした。恵那の運転で車は高速道路のインターチェンジを目指した。
インターチェンジから高速に乗り込み車を走らせていた。高速道路の混みを心配していたが思いの外混んでなくてスムーズにいくことができた。
途中のサービスエリアにより二人は休憩を取る事にした。
「うーん。ここまでついたね。半分くらいまでついたかな。」
「恵那ちゃん運転ありがとうね。運転疲れてない?」
「うん。全然大丈夫。むしろ運転が楽しいくらい。やっぱり高速の運転は楽しい。」
恵那は高速での運転を楽しんでいた。信号で止まることもなく自分のペースで車を走らせられる高速道路が恵那にとっては爽快だった。そして車内で颯太と会話しながらする運転は本当に幸せだと感じていた。
二人はお手洗いに行きそのごサービスエリア内を探索した。
「ねえねえ颯太くんここに私たちが住んでいる県の名産が置いてある。」
「本当だ。これがあるってことは実質ここも俺たちの住んでいる県ってもとだね。」
「何それ。そんなこと言ったら結構広い範囲になっちゃうよ。」
二人は地元の名産品が他県のサービスエリアにあることが嬉しかった。この名産は全国的にも有名でその県のお土産と言ったらその名産品というくらいのものだった。
そのほかにも様々なお土産があり二人は見て回った。
「ねえ颯太くん。旅行の帰りにさ通る県のサービスエリアによってその県の名産品を買っていこうよ。そうしたらさいろんな県を回った印にもなって帰りの楽しみもできるじゃん。」
恵那の考えに颯太も賛同した。帰りとなると楽しかった旅行が終わると寂しさが来ると思ったので少しでもその寂しさを埋めるためにこの行動はいいと思った。
「うん。そうしよう。恵那ちゃん頭いいね。」
「でしょ。大卒を舐めないでよね。」
「俺も大卒だけどね。」
二人はそんな会話をしながら車に戻った。
再び高速道路を走っていると剣の神社がある県に入っていった。その県に入って進んでいくとだんだんと都会らしい大きなビルなが見えてきた。
「恵那ちゃんビルがいっぱいあるね。俺たちの地元では絶対に見られない光景だよ。」
「本当だ。こんなにビルが並んでいると本当に都会に来たって感じだね。今から行く神社も大都市の中にあるけど少し都心部から離れたところにあるから都会と自然両方を楽しめると思うよ。」
「それは楽しみだ。なんだかんだでビルに囲まれた風景よりそこそこ自然があった風景の方が落ち着くよね。」
「そうだよね。都会は遊びに行くところであって住むところではないかな個人的に。」
「そこは俺もそう思うよ。」
二人は高速道路から見える街並みを見てほどほどの田舎がいいなと改めて思っていた。都会には便利なももや遊ぶところがいっぱいあるが二人はやっぱり落ち着いたところの方があっているようだ。
そして高速道路から一般道に降りてしばらく走らせていると目的地の神社に辿りといた。
「ついたー。」
「恵那ちゃん運転お疲れ様。無事についたね。」
「うん。良かった。駐車場も混んでなくて良かった。そして周りに植えてある木とかみると神社に来たって感じがする。」
二人は車から降りて境内に入っていった。駐車場からすぐに本宮まで辿り着けるが二人は神社の正門まで行ってそこからちゃんと入ることにした。
正門の鳥居をくぐると長い参道が見えてきた。参道は木々に覆われていてところどころ小さなお社もあった。
「綺麗な参道だね。まずは本宮をお参りしてそれから摂社末社もお参りしようね。颯太くんにもわかるようにしっかり解説するね。」
「ありがとう。俺もそこそこわかる方だけど恵那ちゃんには負けるから解説頼みます。」
二人は参道の清らかな空気に包まれながら歩いていった。朝もそこそこ早いので人もまだ少なく神社の空気を存分に体感していた。神社に入ると二人はよくいつもの世界の空気とは違った空気を感じることがある。まるで異世界に入るような感覚だった。
颯太はその感覚を感じるとふとパラレルワールドを思い出した。ひょっとしたら神社の中にもパラレルワールドとの関係性があるのかなと頭の隅に思いつつ山道を歩いた。
参道を進んでいくと本宮が見えてきた。
「颯太くんあそこが三種の神器の剣が祀られてある本宮だよ。そして御祭神も剣を御霊代にした天照大神が祀られてあってほかにも素戔嗚尊や日本武尊が祀られているよ。」
「なるほどね。ここも天照大神が祀られているんだ。」
「そうだよ。天照大神は日本で一番尊い神様だからこの剣にも祀られているんだよ。」
恵那の解説を颯太は楽しそうに聞いていた。天照大神が日本で一番尊い神様なのが知っていたが三種の神器の一つである剣にも天照大神が祀られているのは初めて知った。とても勉強になることだった。
二人は本宮の前に立ちお参りをした。お参りしているといきは心が楽に感覚を二人は感じていた。剣が御神体であるので剣の勇ましいパワーも感じ取れた。
二人は本宮でお参りをした後本宮の周りを回った。そして本宮の裏側に来た。
「ここが一番パワーがある場所なんだって。ちょうど裏から剣を拝むことができるからパワーが強いんだって。」
「確かにパワーを感じるね。俺基本パワー感じやすいけどここは特に感じるなと思っていたよ。」
颯太も恵那も幽霊とかは見えないけれどパワーが強いところや心霊スポットとかにいくと空気感やパワーを感じ取ることができてきた。そのため二人とも少しだけ霊感があると思っている。
本宮の周りを回った後二人は摂社末社を回った。摂社末社も多くあり一つ一つ回っていった。
摂社の一つである本宮の神様の荒御魂を祀っている摂社にお参りもした。
「颯太くん。ここはね荒御魂と言って神様の荒々しい部分を祀っているところだよ。」
「荒々しいってなんか怖いイメージあるんだよね。」
「荒々しいって言うけどそんなことはなくて神様の強いパワーを祀っているからお願い事などは荒御魂にお願いするといいらしいよ。」
「なるほどね。その分パワーが強いってことか。」
「そう言うこと。」
二人はそんな話をしながら荒御魂のお社にお参りをした。二人は感謝の言葉とお願いをそれぞれ言ってお参りをした。
「颯太くん何お願いしたの?」
「内緒。」
「えー。なら私も教えない。」
「お願いは自分の心のうちにとどめてくもんよ。」
「それもそうだね。」
二人の願いはきっと神様にも届いただろうと二人は思っていた。
摂社末社を回って境内を回っていると剣の宝庫と呼ばれる様々な日本刀が展示されているところについた。
「日本刀か。俺気になってきた。恵那ちゃんここ見ていい?」
颯太は日本刀が気になってきたのでここを見たいと思っていた。
「いいよ。日本刀って綺麗だから私も見てみたい。」
恵那も颯太の意見に承諾して二人は宝庫に入っていった。
宝庫の中には様々な日本刀が展示していおり歴史的価値が高いものもあった。
「日本刀って日本の美が詰まっているんよね。武器としての役割間もちろんだけど昔から美術的な価値もあったから神社とかにも奉納されたりしたんよね。」
「なるほどね。確かに神社に奉納される刀って結構聞いたことあるかも。こうしてみると美しい曲線描いているよね。颯太くんが言っている通り本当に美を感じさせられるよね。」
「恵那ちゃんわかってくれて嬉しいな。家にも一本欲しいくらいだよ。」
「もしも買ったとしたら神棚の下に置くしかないね。」
二人は日本刀の美を楽しみながら回っていた。様々な日本刀があり刀の美しさ。そして刀の歴史や使われ方などとても勉強になるものだった。
日本刀を見て回っているとだんだんと二人はお腹が空いてきた。ある程度境内も見て回ったので二人は神社の近くにあるひつまぶしのお店に行くことにした。
神社を出て少しだけ歩いたところにひつまぶしのお店があった。二人は店内に入りひつまぶしを頼んだ。
「ひつまぶし楽しみ。やっぱりここにきたらひつまぶしだよね。普通の鰻重もいいけどひつまぶしはあっさりと食べられるし普通の鰻重とはまた違った味楽しめるよね。」
「そうだよね。お昼前の時間にちょうどいいよね。旅行初めにこんなに美味しいもの食べられるの俺幸せだよ。」
二人は会話を楽しみながらひつまぶしを待っていた。
しばらくするとひつまぶしが二人のもとにやってきた。ホカホカのご飯の上に鰻が敷き詰められており出汁の香りが漂っていて二人の胃を刺激していた。
「美味しそう。」
恵那は笑顔でひつまぶしを見つめていた。まるで小学生が新しいゲーム機を買ってもらった時のような目をしていた。
そんな恵那の様子を颯太はじっと見ていて楽しんでいた。
「恵那ちゃんの喜び方って本当に純粋だよね。」
「だって純粋に嬉しいんだもん。冷めないうちに食べよ。」
そう言って二人はひつまぶしを食べ始めた。
一口食べると口の中にうなぎと出汁の風味が広がっていき口の中が幸せになっていた。
「美味しい。口の中が幸せ。うなぎの味がしっかりしているのに出汁の味があっさりだから口当たりもいいしいくらでも食べてられる。」
「本当にそうだよね。本当に五臓六腑に染み渡るよ。うなぎってこんなに美味しいんだね。」
「うなぎは美味しいよ。颯太くんうなぎあまり食べなかったっけ?」
「あまり食べないかな。けどこうして食べると改めておいしいと思ったよ。」
二人はひつまぶしの味を楽しみながら会話も楽しんでいた。ひつまぶし自体他の場所でも食べられると思うが名産の地で本場の場所でそして二人で食べれると言うことが二人とも嬉しくてたまらなかった。
そんな楽しい雰囲気の中食事を楽しんだ。
ひつまぶしを食べ終わった二人は駐車場に移動して次の目的地である水族館へと向かおうとしていた。
「ここからは俺が運転するね。任せて。」
「うん。任せた。」
二人は車に乗り込み神社を後にした。
都会の街並みを楽しみながら高速に乗っていると海がまじかに見えるところまできた。海の方をみるといろんな船などが走っており海も青く輝いていた。
そして少し走ったところに遊園地が見えた。
「あ、ここが行こうとしてた遊園地だね。今回は時間がなかったけど次来る時があったらここにも寄ろうね。」
恵那は遊園地の方を見ながらつぶやいた。今回は時間と日程の都合上断念したけど次こっちに来る時があったら是非とも寄ろうと思った。
その後も車を走らせ水族館がある県に入っていった。
「そういえば颯太くんって魚とか好きなの?」
「魚は好きな方だよ。いろんな色の魚とかいてかわいい魚もいるから見てて飽きないよ。」
「確かにかわいい魚とかもいていいよね。たまにブサイクな魚とかもいてお魚にも個性があって楽しくなるよね。」
「本当にそう思う。魚にも魚なりの個性とかあって飽きないんよね。だから水族館に行くの楽しみ。」
「うん。私も楽しみ。」
魚について語りながら高速を走っていると側面に大きく「魚」と書かれたトラックが見えた。二人はそのトラックに興味が惹かれた。
「あのトラックすごい。どんだけ魚アピールしてるの。面白い。」
「俺も一瞬目を疑ったよ。何を運んでいるのか一目でわかるね。」
「確かに。いかにも魚は混んでますよーって言うのがわかるね。」
魚と書かれたトラックは高速道路上で存在感を放っていた。中には魚がたくさん運ばれているのだろうと二人は想像していた。
二人は途中サービスエリアによって休憩をとっった。こまめな休憩は自己を起こさないためにも重要であった。
「私トイレ行ってくるね。実は漏れそうだったの。」
「それなら早く言ってくれればよかったのに。急いで行ってきな。」
「我慢できそうだったからあえて言わなかったの。ちょっと言ってくるね。」
トイレに行く恵那を見送りながら颯太はサービスエリアから見える景色を見て一人で考え事をしていた。
今の所この旅行も順調に進んでおりとても楽しい空間が広がっていた。この後も楽しい旅行が続いていくことは目に見えていたのだが今日の恵那との会話で一つ思ったことがあった。
恵那は会話の中で颯太のことを聞く時疑問系で聞いてくるようになっていた。前々は颯太はこうだったでしょ的な雰囲気な言い方であったが今回の旅行から確認のために聞いてくるような言い方になっていた。
もしかしたら恵那自身も何かに気づいているのかそれとも本当に自分がパラレルワールドから来たことを知っているから聞き方を変えてきているのかと様々な推測が浮かんだ。
そのおかげで颯太もあまり気にしないで恵那と話せるようになっていった。これはいい兆候だなと思いつつ外の風景を見ていた。
外の風景を見ていると大量の鳥が空を飛んで空を埋めていた。渡り鳥か何かかなとぼけっとみていると恵那が帰ってきた。
「お待たせ。」
「おかえり。間に合った?」
「少しちびっちゃった。」
「え?本当に?」
「嘘に決まってるじゃん。大丈夫よ。」
「なんだ。本当に信じちゃったじゃん。」
「24歳になってちびるのは流石に恥ずかしいから本当だったとしても黙っているよ。」
「そこはちゃんと伝えて欲しいかな。」
二人は外の風景を見ながらしょうもない会話をしていた。そのおかげで颯太の頭の中がスッキリした。
そして再び車に乗り込んで高速道路を走らせた。
高速道路を降りて少し走らせると目的地の水族館に着いた。休日の午後なのでそこそこ車の台数もあった。
この水族館は海のすぐそばにあり車から降りると海の香りが漂ってきた。
「着いたー。海風が気持ちいい。」
「運転ありがとうね。お魚さん見るの楽しみー」
「この水族館は魚だけでなくて色々な海の生物もいるからゆっくり見ようね。」
「うん。たくさん目に焼き付ける。」
二人は水族館の中に入っていった。
二人は水族館の中に入って最初に日本の海にいる生き物コーナーを見た。そこには様々な魚やエビなどが展示されていた。
「颯太くん見てみて。伊勢海老がいるよ。美味しそう。颯太くんエビ好きだっけ?」
「うん。エビ大好きだよ。けど生きている伊勢海老の前で美味しそうって言ったら伊勢海老かわいそうだよ。」
「だって美味しそうなんだもん。あ、この魚可愛い。こっちにきた。」
恵那は小学生みたいに水槽に張り付いて様々な生き物を見ていた。そのはしゃぐ姿がまた可愛くてしょうがなかった。
「このお魚さん私に懐いているみたい。このお魚さん見る目あるね。」
「確かに懐いているみたいだね。魚も人を選ぶのかね。」
そう言って颯太は恵那と場所を変わってみた。そうしたら恵那のもとによっていた魚が急に方向を変えて奥の方へ行ってしまった。
「颯太くん逃げられてるじゃん。やっぱ私じゃないと嫌みたいだね。」
「俺魚に人気ないのかな。」
颯太は少しだけ落ち着いた。いくら魚とはいえこうもわかりやすく逃げられるのは少しだけ悲しくなった。
そんな颯太の要素を見ていた恵那はそっと颯太の手を握った。そして耳元で「お魚さんに嫌われていても私はずっと颯太くんのこと好きだよ。」と一言つぶやいた。
颯太は恵那の言葉でテンションが戻った。耳元で言われるのは反則でしょとか思いながら再びウキウキで水族館を回っていった。
その後も色々な魚や生き物見て楽しんでいる二人の耳に館内放送が聞こえてきた。
「10分後にアシカショーを行いますので多くの方のご来場をお待ちしております。」
この放送を聞いて恵那はすぐに反応した。
「アシカショーみたい。ねえ行こうよ。」
恵那は颯太の返事を聞くまでもなく颯太の手を引きアシカショーが行われる会場へ向かっていった。颯太もアシカショーを見たかったので恵那に引っ張られるがままに足を進めた。
アシカショーの会場には多くの人が集まっていてアシカショーが始まるのを待っていた。
颯太たちはちょうど見やすい位置を発見してそこで見る準備をしていた。
そこに子供づれの家族がやってきた。家族は颯太たちの後ろに立ちアシカショーを見ようとしていた。
「お父さん。よく見えないよ。」と後ろから少女の声がした。
「しょうがないな。お父さん抱っこしてあげるからこれで見えるかな。」
と父親と思われる男性は少女を抱っこしていた。
その様子を見た恵那と颯太はその家族に声をかけた。
「もしよかったら場所変わりますよ。その方がお子さんも見やすいですし。」
颯太は少女の父親に声をかけると父親は申し訳なさそうに答えた。
「大丈夫ですよ。お二人が先にいたのですから。」
その返答を聞いて恵那が父親にさらに答えた。
「大丈夫ですよ。私たち少し後ろでも見えますから。それよりお子さんがよく見えた方が私たちも楽しいですよ。」
「本当にいいのですか。」
「はい。大丈夫ですよ。」
父親は恵那の言葉に甘えて場所を変わってもらった。
「わーいここならよく見える。お兄ちゃん。お姉ちゃん。ありがとう。」
「本当にありがとうございます。」
少女と父親は二人にお礼を言ってアシカショーを観る準備をした。
そしてアシカショーが始まった。アシカたちが曲と共に入場してきて様々な芸を見ていた。
恵那と颯太は場所を譲った少女と仲良くなったのか三人で会話をしながらアシカショーを見ていた。
「アシカさん風船割ったよ。すごい。」
少女の嬉しそうな声がした。
「アシカさんすごいね。ほら見てみて。あっちのアシカさんはヒレをパタパタさせているよ。」
恵那も少女の言葉に応えて一緒にアシカショーを楽しんでいた。
「本当だね。すごいね。アシカさん賢いねー。」
「うん。賢いね。そして可愛いね。アシカさんたちみれて楽しいね。」
「うん!楽しい。」
恵那と少女の様子を颯太と父親はそっと見守っていた。
「本当にありがとうございます。娘も楽しそうで。彼女さんですよね。本当に言い方ですね。」
「こちらこそありがとうございます。彼女も娘さんも楽しそうで何よりです。」
颯太と父親はそんな会話をしながら二人の様子を見守りつつアシカショーを見ていた。
アシカショーが終わり人は各々の場所へ移動していった。
「お兄さんお姉さんありがとう。ばいばーい。」と少女がこちらに手を振って挨拶をした。
二人も手を振りながらそれに応えてそれを見送っていた。
「あの子本当にいい子だった。子供って本当に可愛いね。すっごく楽しかった。」
恵那は本当に楽しそうな表情をしていた。子供が楽しそうな表情をしているのは二人にとっても幸せだった。アシカショーでとても幸せになった二人は再び水族館の中を見て回った。
水族館にいる様々な生き物をみてははしゃいでいた恵那を見て颯太は和んでいた。恵那は少し子供っぽいところのあるがそこがまた可愛いと改めて感じていた。水族館の生き物たちも二人の様子をそっと見守っているようだった。
そして一周し終わった頃恵那がもう一周まわりたいと言ったのでもう一周見て回ることにした。その中でも恵那はあしかが気に入ったそうでアシカを長い間見ていた。
「アシカさん本当に可愛い。家で飼いたいくらいだよ。」
「アシカはさすがに飼えないよ。可愛いのは間違い無いけどね。」
「えー頑張れば飼えそうなのに。」
「絶対に無理。」
アシカの前でアシカを飼いたい論争をしていると足利近くに寄ってきて首を傾げた。まるで二人の話を聞いているようだった。
「アシカさん寄ってきた。超可愛い。こっち見てる。本当に可愛い。」
恵那は年齢や周りの目線関係なくはしゃいでいた。恵那が喜んでくれてよかったという思いと少しながら恥ずかしさを颯太は感じていた。
水族館をもう一周して二人は売店にはいった。そこにはアシカのぬいぐるみが目に入った。
恵那はアシカのぬいぐるみの元に駆け寄り即座にそれを手に取った。
「颯太くんこのアシカさん買っていい?これなら家にも置けるしさ。」
恵那はアシカのぬいぐるみを抱きながらニコニコしてた。そんな顔されたら断るわけにもいかず颯太は「いいよ。」といった。
「やったー。本当に嬉しい。ありがとう。アシカさん我が家にようこそ。」
「よかったねアシカさん。うちの恵那は少し騒がしいけどよろしく頼むね。」
「誰が騒がしいの?」
「なんでもないよ。」
二人はその後も売店を見て回りアシカのお揃いのキーホルダーも買うことにした。二人のお揃いのものを持っていなかったのでこの際お揃いのものも買う流れになった。
売店を見て二人はさっき買ったキーホルダーを携帯に取り付けた。
「お揃いだね。アシカさんのお揃い。」
「意外に携帯電話に合うねこのアシカさん。」
「でしょでしょ。私のセンスってやっぱ神がかってるね。」
「本当に神ががかってたよ。さすが恵那ちゃん。」
アシカのキーホルダーを見て二人は上機嫌になっていた。お揃いのアシカのキーホルダーが二人の中をさらに深めていくようだった。
二人は水族館を出て今日から泊まる宿に向かった。海沿いの道を通ると海に夕陽が反射して海を赤色に染めていた。
恵那はアシカのぬいぐるみを膝に乗せながら夕陽を眺めていた。
颯太はその様子をチラ見する。まるで絵画のような美しさだった。いつまでも見ていたいが運転をしているので前を見ることにした。
そんな時恵那が話しかけてきた。
「ねえ颯太くん。今日1日とっても楽しかった。こっから旅館に行って美味しいもの食べて一緒にお風呂入って一緒にねれるの本当に楽しみ。まだまだ楽しもうね。」
夕陽を見ながら話す恵那は本当に美しかった。この瞬間をカメラに撮りたいくらいだった。
「うん。俺も本当に楽しかったしこれからも楽しみ。恵那ちゃん。好きだよ。」
「うん。大好き。颯太くん大好き。」
夕陽が入っていく車内に二人の言葉がこだましている。それを温かく見守るかのように緋色の海がゆらゆらとゆらいでいる。
旅館についた二人は荷物を下ろし受付で手続きを済まして案内された部屋に向かった。
部屋のドアを開けるとそこには畳のほのかな香りが漂い窓の外には海と露天風呂が見えていた。
「めっちゃいいお部屋。露天風呂から海も見えて気持ちよさそうだね。」
「うん。落ち着くしゆっくり疲れも癒せそうな部屋だね。」
「颯太くんこの旅館見つけてくれてありがというね。本当に幸せ。」
「ありがとう。旅館の人が料理持ってきてくれるから荷物置いて待ってよう。」
二人は荷物を置いてテーブルがあるところに座って料理を待っていた。
少し経つと料理が運ばれてきた。伊勢海老にお鍋に茶碗蒸しにこの地域の海と山の幸を使った料理に二人の胃袋が喜んだ。
「美味しそうだね。いただきます。」
「いただきます。」
二人は料理を一口食べた瞬間感動した。美味しいを通り越して言葉で表せないほどの感覚だった。
「美味しいね。颯太くん水族館で伊勢海老食べたいって言ってたから伊勢海老出てきてよかったね。」
「うん。やっぱり本場で食べる伊勢海老は美味しい。水族館の伊勢海老には申し訳ないけどやっぱ伊勢海老は食べるのに尽きるよ。」
「伊勢海老さんごめんなさい。私も食べます。」
出てくる料理全て美味しくどんどん箸が進んでいく。月明かりがほのかに反射している海を見ながら二人は料理を全部食べ切った。
料理を食べた後二人は露天風呂に入っていた。二人でお湯に浸かりながら空に広がる星と月を見ていた。
「温泉気持ちいいね。今日は楽しかったけどはしゃぎすぎて疲れちゃった。」
「いっぱい遊んだしね。恵那ちゃんはしゃいでたもんね水族館で。」
「誰だってはしゃぐよ。大好きな彼氏と水族館で可愛い生き物見れるんだから女の子なら誰でもはしゃぐよ。」
「まあ言われてみれば確かにそう思うよ。はしゃいでいる恵那ちゃんとっても可愛かった。」
「なんか恥ずかしけど嬉しい。」
恵那の顔がちょっとだけ赤くなった。
「うん。とっても可愛かった。本当に世界一可愛い。子供っぽいところもだし子供に優しいところも全部可愛い。」
「これ以上言ったら本当におかしくなっちゃいそう。」
「おかしくなってもいいんだよ。」
「やだ。おかしくなんないもん。」
「恵那ちゃん。好きだよ。」
恵那の顔がさらに赤くなった。そして口元までお湯に浸かり始めた。颯太の口撃で恵那の頭は沸騰していた。嬉しい気持ちを抑えきれなくなっていた。
「颯太くん。頭撫でて。」
恵那は嬉しい気持ちをどうしたらいいのかわからず颯太に甘え始めた。
颯太はそっと恵那の頭を撫でた。恵那の髪の毛がほのかに濡れているのが伝わってきた。恵那も颯太の手を握りもっと近くに寄り添った。
「恵那ちゃんあったかいね。」
「颯太くんもあったかいよ。」
二人はしばらく見つめ合っていった。そしてそのまま両方の唇を合わせた。お風呂の温かさが唇にも伝わるような気がした。そして二人は温泉を楽しんだ。
温泉から上がり二人は布団の中に入っていた。
「今日は本当に楽しかったよ。明日も楽しもうね。」
「うん。明日も全力で楽しむよ。今日も一日ありがとう。恵那ちゃん。好きだよ。」
「うん。大好き。」
二人は布団の中で手を繋いでそのまま眠りについた。
波の静けさが二人の眠りを深くしていく。




