周知の事実
次の日颯太は朝7時くらいに目が覚めた。横では恵那が気持ちよさそうに寝ていた。颯太はそっとベッドからおりシャワーを浴びるために浴槽へ向かった。
颯太は朝のシャワーのっ時間をとても大切にしておりシャワーを浴びている間に今日1日の仕事の流れとかを考えていた。
そんな中シャワーを浴びていると恵那の声が聞こえた。
「颯太くんどこー。どこか出かけたの?」
恵那は颯太を探しているようだった。寝起きの声で必死に颯太を探しているのが感じ取れた。それを聞いた颯太は風呂の中から恵那を呼んだ。
「恵那ちゃんおはよー。今お風呂にいるよ。」
颯太がそういうとリビングの方からドタドタと大きな足音が聞こえ浴槽の前まできた。そして浴槽のドアが開いた。
「ちょっ。恵那ちゃん。俺入ってるよ。」
ドアが開いて颯太は驚いていた。慌ててタオルで体を隠す。
「颯太くん何恥ずかしがってるの?颯太くんの裸なんてもう何十回もみてるよ。」
そう言われて颯太は頭がフリーズした。恵那は颯太のことをかなり知っているようで颯太の理解がおっつけなかった。
なぜ昨日会ったばっかりの人が颯太のことをこんなにも知っていて本当に恋人しか知らないようなことも知っているのか不思議だった。
「あ。ごめん。急すぎてびっくりしちゃった。そうだよね。かなりの数見てるよね。」
颯太は自分もあえて知っているかのように振る舞った。昨日から颯太は恵那の前では恵那のことを知っているように振る舞うように意識していた。
恵那にとって颯太は随分前から付き合っていると思っているので知らないと言ってしまうと恵那を傷つけてしまう可能性があった。
いくら自分が面識がなかったとはいええなを悲しませるのは自分の良心が許さなかった。だからできるだけ付き合っている感じを作り出していこうと意識していた。
颯太の言葉を聞いた恵那は笑顔になってそのまま台所へ向かった。颯太はお風呂に入りながら恵那が台所で作業をしている音を聞いていた。
颯太がお風呂から出ると机の上に朝食が並べられていた。朝からこんなに美味しそうなものが食べられると考えると颯太は嬉しかった。
恵那のことを知っているフリをしてる理由としては恵那と過ごす日々が楽しくて幸せだと思っているというのもある。昨日の買い物、味噌汁を作ってくれたこと、二人で食べた晩御飯、一緒に寝たのが全て幸せだと颯太は感じていた。
「颯太くんお風呂から出たのね。朝ごはん食べて仕事行こう。」
恵那がそういって朝食を二人でたべた。朝食はとても美味しく頭もいつもよりも回る気がした。
そして朝食を食べ終わり二人は着替えて仕事に向かった。
颯太は職場について仕事の準備をしていた。そこに上司である高野さんがやってきた。高野さんはこの前の飲み会に参加しておりそうたとも仲が良かった為颯太は高野さんにこの前の飲み会のことを聞くことにした。
「高野さんおはようございます。この前の飲み会のことで少しお伺いしたいことがあります。」
「颯太くんおはよう。この前の飲み会のことか。どうした。」
高野さんは颯太の話を聞いてくれた。
「いきなりなんですが私この前飲み会の帰りとかにナンパとかしてました?」
颯太の質問に高野さんは少し驚いていたがその質問に丁寧に答えてくれた。
「ナンパなんて颯太くんがするわけないよ。颯太くんだいぶ飲んで記憶ないと思うけど颯太くん彼女さんが可愛いってずっと言っていたよ。」
高野さんの答えに衝撃を受けた。恵那が来るまで社会人になってから女友達もいなかったのにそんな話をすることはないと思った。
そしてその彼女というのは恵那のことなのか恐る恐る聞いてみた。
「その彼女って恵那という方ですか?」
颯太の質問に高野さんが驚いていた。
「そうも何も颯太くんもう恵那さんと付き合っていることは会社の人全員が知っているじゃないか。約一年前に彼女ができたといって大喜びしてたじゃないか。」
颯太は開いた口が塞がらなかった。恵那と自分が付き合っているということは周りも知っておりそれに一年前くらいから付き合っていることになっている。頭の理解が本当に追いついていなかった。どうなったらいきなりこんな設定になっているのか謎でしょうがなかった。
颯太はとりあえず事柄を整理することにした。確かに恵那と初めてあったのは一昨日なのは間違いない。しかし颯太と恵那は付き合って一年近く経っているということになっている。事柄を整理しても余計に頭がパンクすることになった。
そんな様子を見て高野さんが颯太に話しかけた。
「颯太くんどうしたの。彼女さんと何かあったか」
高野さんの質問を聞いて颯太は正直に話してみることにした。
笑われるのを覚悟で話してみたところ高野さんは真面目に話を聞いてくれた。
「なるほどね。確かにすごく非現実的だし事実として颯太くんと恵那さんは一年前から付き合っていると私を含め周りの人も認識している。あまり現実的な話ではないけど颯太くんか恵那さんがパラレルワールドに転生したと考えるのが一番納得がいくと思う。」
高野さんにパラレルワールドと言われてしっくりきた。そもそもそう考えるしかない展開だった。
「どっちがパラレルワールドに迷い込んだかはわからないが颯太くん自体はパラレルワールドに迷い込んだと仮定したらいろんな部分で変化があるはずなんだよ。しかし変わっていることは彼女ができていたと言うことだけ。そう考えると恵那さんがパラレルワールドに転生され我々の記憶が変化していったと考えるのが筋が通っていると思うよ。」
高野さんの考察を聞いて颯太も同じことを思った。非現実なことだけどそんなことが起きていると考えるのがこの場合しっくりくる。そう考えていこうと颯太は思った。
「高野さんありがとうございます。パラレルワールドから恵那は来たと考えることにします。とりあえず私は恵那には彼氏として振る舞うようにします。恵那がこのことに気づいたらえなが悲しい思いをするって考えると心が痛むので。本当にありがとうございます。」
「いえ全然大丈夫。むしろよくいってくれたと思う。俺も何か役に立てることがあったら気軽に声かけてね。恵那さんを悲染ませたくないって発言本当の彼氏みたいだね。あ、現に彼氏だったね。」
高野さんは冗談を交えながら話すと少しだけ笑った。
話を一通り聞いた颯太は仕事に取り掛かった。今日の仕事のプランを確認してできるだけ効率よく仕事を進めていった。普段通り仕事を進めているだけなのに今日はやけに仕事が捗るなと感じていた。
仕事を進めているとお昼になり颯太は昼休憩をとっていた。そこに一件のLINEの通知が入る。
そこには「えな」と書かれたLINEのアイコンが見えてそこにメッセージが送られていた。
「颯太くんお疲れ様。そろそろお昼休みの頃かな。午後もお仕事頑張ってね。」
颯太はその文章を見てなぜかやる気が出た。本当なら恵那とLINEを交換すらしてないのになんでメッセージが来るのかと疑問に感じるところだがパラレルワールドと考えると驚きも無くなっていた。むしろこんなメッセージをくれてやる気が出ないわけがない。
颯太は「ありがとう。頑張るね。恵那ちゃんも頑張ってね。」と返信をし昼食を食べるために食堂へ向かった。
颯太は食堂に行き日替わり定食を頼み席についた。定食を食べながらパラレルワールドについて考えていた。
パラレルワールドは近年実在生が高いと話題になったニュースがあったが身近にに感じる経験はなかった。しかし今現在パラレルワールドから来た恵那の存在でパラレルワールドが一気に短に感じていた。今後も恵那と関わっていく以上パラレルワールドの存在は切っても切り離せないものとなってくる。
そのため、今度パラレルワールドについて詳しく調べてみようと思った。最近とある学者がパラレルワールドについて書いた本があるのでそれを呼んでみることにした。
そんなことを考えているとスマホからLINEの通知が来た。もちろん恵那からだ。
「私も今ご飯食べてるよ!颯太くんもご飯食べてる?今日の夕ご飯颯太くんが好きなゴーヤチャンプルにするから楽しみにしててね♪」
颯太は恵那のLINEを見て今日の晩御飯がゴーヤチャンプルだと知ってテンションが上がった。
颯太は週に1回はゴーヤチャンプルを食べるくらいゴーヤチャンプルを愛してやまない男だった。大学生の時に沖縄で食べたゴーヤチャンプルの美味しさからゴーヤチャンプルにハマってしまった。
恵那はもちろんそのことを知ってた。颯太は恵那がそれを知っていた喜びとゴーヤチャンプルが食べれるという二つの喜びが混ざり合ってとても嬉しかった。
そして帰る楽しみがあると言うのもまた幸せだった。いつもなら帰っても一人で食事を摂りお風呂に入って寝るだけの生活だったから恵那がいてくれるだけでいつもの平凡な暮らしから幸せな暮らしへと変わっていっていた。
そんなことを考えているとお昼休憩が終わりに近づいてきた。颯太は急いで昼食を食べて仕事に戻っていった。
お昼を食べ終わると颯太は仕事に戻った。午前中にある程度仕事を終わらせていたので午後はゆっくりと仕事を進めることができた。
途中市議とをしていると同期の武史が話しかけてきた。武史は颯太と同タイミングで入社してそれからずっと仲の良い関係だった。
「颯太お疲れ。仕事はどう?」
「今日は順調だよ。」
「なら良かった。ところで颯太この前の飲み会で彼女さんのことめっちゃ褒めてたけどちゃんと彼女さんにも伝えたか。」
武史からも恵那のことを聞いてやっぱりみんなの記憶も変わっていると感じた。けれどもう慣れてしまったため驚きはなかった。
「そうらしいね。俺めっちゃ恵那のこと褒めてたらしいね。俺は酔いすぎてて覚えていないけどちゃんと一緒に寝たよ。」
颯太は一応事実を伝えた。内心これは嘘じゃないかと思ったけど恵那と出会った時にベッドに一緒に寝ていたのであながち間違いではないと心の中で思っていた。
「それはいいね。やっぱ二人は幸せそうなのがたまらないね。これからも幸せでいてね。」
武史はそういうと顔をにこやかにして仕事に戻っていった。颯太もそれを聞いて少しだけにこやかになっていた。
仕事を進めてると就業時間になった。颯太はちょうど仕事を終わらせ帰る準備をしていた。
颯太の会社は定時に帰るのが当たり前のような会社なので残業もほとんどない会社だった。そのため大体は定時で帰れる。
颯太は帰る準備をして会社を後にした。帰って恵那が作る料理を食べるのが楽しみで仕方がなかった。
ウキウキしながら帰路についていてしばらくして家に着いた。
家に帰ってしばらくリビングでくつろいでいると恵那が帰ってきた。
玄関のドアが開くと同時に「ただいまー」と恵那の大きな声が聞こえてきた。
「おかえり。お疲れ様。」と颯太が返答すると恵那は颯太に飛びついた。颯太はいきなりすぎて一瞬よろけたが体勢を立て直して恵那を受け止めた。
そしてしばらく二人はハグを交わした。恵那の体の暖かさが颯太の体に伝わってくる。久しぶりに人の温かさを肌で感じた颯太は懐かしい感覚と何か甘酢っぱい感覚が同時に襲ってきた。
二人はしばらくハグをした後一緒に台所に向かった。二人でゴーチャンプルを作るために料理の準備をした。
「颯太くんのために帰りにゴーヤもちゃんと買ってっきたからね。美味しいゴーヤチャンプルになると思うよ。味付けは颯太くんに任せるよ。」
「うn。ありがとう。味付けは任せて。」
「さすがゴーヤチャンプル専門家。さすがだね。」
「そこまで言わなくても。だけど一般人よりはゴーヤチャンプルに詳しい自信はあるよ。」
二人は会話をしながらゴーヤチャンプルを作っていった。具材切り炒め味付けをしゴーヤチャンプルができた。そして元から長けていたご飯とゴーヤチャンプルを盛り付け二人はリビングの机に向かった。
「いただきます。」と二人の号令を合図に夕飯を食べ始めた。
「うん。美味しい。ゴーヤのにがさとその他の食材の味が本当にいい味出している。」
恵那は美味しそうにゴーヤチャンプルを味わっていた。
「本当に美味しい。自分で言うのもなんだけどこの味付けは神だと思ってるよ。」
颯太も自分の味付けにご満悦のようだ。それもあるが一番は恵那に味を褒めてもらったのが嬉しかった。ゴーヤチャンプルを極めて本当に良かったと思う瞬間だった。
二人はゴーヤチャンプルを楽しみ食事を終えて後片付けをしてそれぞれお風呂に入り寝室へ向かった。
寝室に入ると二人は少しだけ談笑をした。
「颯太くん今日も1日お疲れ様。お仕事本当に頑張ってるね。私もお仕事頑張ったよ。頭撫でて欲しいの。」
「うん。本当にお疲れさま。少しだけだよ。」
「ありがとう。嬉しい。」
颯太は恵那の頭を撫でた。恵那は懐いている犬のような嬉しそうな顔をしていた。その顔は本当に可愛くていつまでも見てられた。颯太は最初こそ戸惑いもあったがパラレルワールドのことを考えるとなぜかすんなりなんでも受け入れられた。
しばらく恵那の頭を撫でていると恵那は眠りについた。寝顔も可愛くて颯太はしばらく恵那の寝顔を見ていた。そして髪の毛から漂うシャンプーの心地よい匂いが颯太の嗅覚も癒していった。
本当に幸せな時間を颯太は味わっていた。この幸せがいつまでも続けていたいと思った。それと同時にパラレルワールドについて調べて恵那が転生された原因など恵那のことをもっと知りたいと思った。
そんなことを考えていると颯太も眠りに着いていた。二人の寝息だけが暗い静かな部屋に響いていた。




