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24話 無意識な救済3

24話 無意識な救済3



「小僧ッ、それで守ったつもりか?!」


 鼻で笑う山賊A。


「…悪いのは、先に得物えものを手にしたあなた方ですよね?」


 低く言うジャスティス。剣はまだ抜かない。



「言うじゃねぇかッ! 小僧から先にってやるよ!」


 山賊Aが切っ先を向け突進してくる。それと同時に左右から山賊CとBも剣を振り上げてきた。


 ジャスティスはようやく双剣を抜き、山賊達の太刀筋を二つの短剣で受け止める。


 ――ギイィィン……ッ!


 鈍い金属音が辺りに響く。


 ジャスティスは双剣をひるがえして刃をスライドさせつつ受け止めていた三つの刃から離れ間合いを取る。双剣を逆手に構え――『柄』の先端を握り手の内側に持ってくる。しばしの膠着こうちゃくが訪れる。



「ーー俺、もう行ける……ッ」


 緑髪の男が、大荷物を持って小屋から出てくる。それを確認したジャスティスが地を蹴って動いた――


「ーーッ?!」


 山賊達が何事かと身構える刹那せつなにジャスティスは彼らの懐まで移動していた。


「……我慢して下さい」


 端的に一言告げたジャスティスは柄の先端で山賊達の鳩尾みぞおちに当て身を入れる。


「……ぅぐッ?!」

「ーーなん……ッ?」


 山賊Aが膝から崩れ落ちる。続けて、山賊CとBがそれに気付く頃には――彼らは鋭い衝撃と共に地に倒れていた。



「……行きましょう」


 沈黙した山賊達が動かなくなったのを確認したジャスティスは双剣を収め軽く溜息をはき、緑髪の男と共に逃げるようにその場を後にした。




 緑髪の男が森の中を先の進む中、ジャスティスは彼の後をついていく。


 どんどんと鬱蒼うっそうとした景色が続きこのまま森に吸い込まれて行きそうになって――


「あ、あの……『逃げる』って言ったんですけど」


 数歩先をを歩く緑髪の男の背中に言葉を投げるジャスティス。そうすると男はようやく立ち止まりこちらを向く。


「……だから逃げている」

「あ、はい……」


 男に端的に言われジャスティスは反射的に俯いてしまう。


「……ごめんなさい」

 

 小さく謝れば男は目を丸くして、

「なぜ謝る?」

「え。だってあの……逃げたけど、その……先の事考えてなくて……とにかく逃げなきゃって思って、でも……」


 いくら助けるためとは言え、後先考えずに行動してしまった自分を恥じたジャスティスが俯いて言えば、


「……俺、道知ってる。だから平気」

「はい。すみません……」


 ジャスティスが再度謝ると緑髪の男も再度目を丸くし、

「お前、なぜ謝る?」

 不思議そうに首を傾げた。


「お前、俺を助けてくれた。だからもう謝るな」


 口調はぶっきらぼうで片言ぽい喋り方だが悪い印象は受けな い。「それにーー」言いつつ辺りを見やる。


 ジャスティスも同じように辺りに目を向けると、


「……もうこの森にはいられない」

「え……?」


 ジャスティスがきょとんとすると緑髪の男は静かに続けた。


「この森は昔から、『世界の秘宝』を護るドラゴンの縄張りだった……」

「ドラゴンの?」


 おうむ返しで聞き返すジャスティスに頷く緑髪の男。


「でもハンター達の乱獲でドラゴン達は姿を消した。だけど、世界の秘宝を聞きつけたハンター達や山賊がこの森を荒らした」


「……」


 緑髪の男の言葉にジャスティスの胸がチクリと痛む。



 自分が産まれる前から、平和に見える世界の至る所では小さな綻びがいくつかあって、それに気付かず暮らしている自分に対して微かな罪悪感を覚えた。


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