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20話 幻の村1

20話 幻の村1



 ――ジャスティスは目を覚ました。


 目に映ったのは木造の板で出来た天井のようで起きようと半身に力を入れた途端、



「ー…ぃったッ…!」


 右の脇腹に身をえぐるような激痛がほとばり続けて腕やもも、背中までもがズキズキと脈打ち痛み出した。



「…ぅ、ぐぅぅ…ッ」


 口内で小さな呻きを漏らしつつ脇腹を庇うように抑えて何とか半身を起こした。身体のあちこちが傷により痛み悲鳴をあげているのが分かる。


 ジャスティスは自分の左腕に目を向けると、狼(山犬)によって噛み付かれた部分には誰かが手当をしてくれたのであろう麻の布が巻かれていた。



「お、目が覚めたのか?」


 隣から声をかけられジャスティスがそちらを向くと、男性がが一人、木皿を両手で抱えていた。



「あ、はい。……あの」


 ジャスティスは小さく頷き、お礼を言おうと口を開きかけたが、


「助けたのはオイラじゃねーよ」


 ジャスティスの言葉尻を遮るように男性が口を開く。



「……え?」


「助けたのは、俺」


 ジャスティスが少し驚いて目を瞬くと奥の部屋からもう一人男性が顔を覗かせて親指で自身を指差した。


 少し緑がかった金髪で長身の男性。



「俺、イークって言うんだ」


 自らイークと名乗る男性は、ジャスティスが横たわる簡易的なベッドの傍らに膝をついてしゃがみジャスティスに握手するべく手を差し出す。


「……あ、ありがとうございます」


 ジャスティスはイークの握手に応えつつ軽く頭を下げた。



「ほら、お前これ飲め」


 最初に声をかけてきた男性が持っていた木皿をジャスティスに差し出した。ついでに、「俺はササライってんだ」と言いつつにやりと笑う。



 ジャスティスが礼を言い木皿を受け取るとそれに連動したようにお腹が小さなうめきをあげた。身体の痛みには耐えれるが、お腹が空くのは耐えれない。


「……す、すみません」


 恥ずかしくなって身をちぢこませると、イークとササライに声をあげて笑われる。そんなジャスティスも次第におかしくなって苦笑しつつ差し出されたスープを口にした。





「お前、なんだってあんな所にいたんだ?」


 ジャスティスが一息ついたのを見計らったのか、ササライがそう聞くと、


「そうだった!」


 ジャスティスは思い出したように急に声を張り上げた。


「あのッ!」

 痛む身体もそこそこに立ちあがろうとするジャスティス。


「おいおい。急に動くと傷口開くぜ?」


 ジャスティスの身を案じて止めるイークに、


「側に小さな男の子いませんでしたか?! ー…パシューっていう子なんですけどッ」


 ジャスティスは食ってかかるように聞いた。

 


「……」

 ジャスティスのあまりの剣幕けんまくに少し眉をひそめるイーク。

「いや……、お前以外は誰もいなかった」

 地に倒れ伏し山犬おおかみに取り囲まれていたジャスティスの姿を思い返すイークだが、この少年以外は人の気配すらなかった。



「……え」


 ジャスティスは目を見開いて唖然とする。


「じゃあ、パシューは……?」



「なあ。さっきも聞いたけど」

 それまで奥にいたササライが今度はミルクの入ったカップをジャスティスに渡す。

「お前、どうやってあそこまで来た?」



「え、シエンタ村からだったと思います」


「『シエンタ村』? モルファルじゃなくてか?」



 戸惑いにも似たササライの言葉に、ジャスティスはシエンタ村での出来事を簡単かんたんに話したのだった。

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