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夢幻の姫君  作者: 紘仲 哉弛
第1章 インフィニタの夜明け
23/150

23.レオナルドの驚き

 店から出ると、レオナルドはラウダと並んで街を見て歩く。エレクトロは昼は殺風景だったが、夜になると華やかに変わった。ネオンがキラキラと光かり、着飾った女性達が店の前に立つ。昼間の肉体労働を終えた男達が吸い込まれるように、会食店に入っていく。フロアでは、酒と肴が振る舞われている。


「道あってるのか?歓楽街に入ってきてるぞ」


「ガリに貰った地図の通りだ。今日は祭りでもあるのか?凄い騒ぎだな?」


「え?マジで言ってんの?歓楽街だっつーの!」


「え?飯食うとこだろ?」


「……いや、男が遊びに来るとこだよ」


「賭け事でもするのか?」


 ラウダは横の男を信じられないと言う目で見た。


「男がやりにくるんだよ」


「なにを?」


 ラウダの口からはそれ以上は言えなかった。王子様が横を歩いている……。


「あーやりたいことをだよ。人それぞれだ」


「へぇ、趣味の集まりなんだな!凄いな!」


 ラウダは頭を抱えていた。兵士なら普通に来るところだ。何者なんだこの男は……。


 特に意識していなかったが、周りの人々の動きが艶かしく。ラウダは居心地が悪くなってきた。


「ラウダ、俺から離れるなよ」


 レオナルドの表情が厳しくなった。そして、ラウダを傍に引き寄せた。


「なっ!なにすんだよ!!」


 ラウダは顔を真っ赤にした。胸が動悸を打った。


「しっ!尾けられてる……」


 レオナルドは三カ所に神経を集中する。ラウダも我を取り戻した。確かに異様な視線を感じた。


「とりあえず、人混みに紛れるぞ」


 レオナルドはラウダの腕を掴むと、人が集まる中をかき分けていく。美しい娘達が男を取り囲んでいた。


「お兄さん達!寄ってかない?綺麗な顔してるから、安く相手してあげるわよ!」


 化粧が濃い女がレオナルドの肩を掴んだ。レオナルドは和やかに笑いかける。


「俺はとくにやりたいこともないので、断る。趣味も特にない」


「はぁ?」


 ラウダは苦笑いをする。2人は間をぬって先を進む。


 ガツ!


 ラウダはレオナルドと反対側の腕を掴まれ、路地の間に引っ張られた。


「ラウダ!」


 レオナルドは一瞬手を離してしまった。慌ててラウダを追いかける。


 そのレオナルドの声に1人の男が反応した。白いローブを被った男だ。その男はラウダの姿を確認すると、その後を追った。


 ラウダは捕まれた手を振り解くと、路地を奥へと駆け抜ける。


 表通りとは違い、裏道は暗くてジメジメしていた。緩い坂道を必死で駆ける。それの傾斜は徐々にきつくなった。そして、後ろから3〜5人の男が追いかけてくる。


(何者だ?アイツらアクア語で話している……軍人か?)


 ラウダは走りながら、目に入った長い棒を手に取った。それを持ちながら走り抜けた。


 ひたすら走り抜けると広場のような場所に行き着いた。その先は崖だった。


 つまり、行き止まりだ。


「ラウダ!」


 レオナルドは男達に蹴りを入れると、ラウダの傍に並んだ。


「お前はインフィニタの軍師だな?我々と来てもらおう」


 男の1人がアクア語で話した。


「何者だ?」


 レオナルドはラウダを後ろに隠す。


「お前には関係ない」


 男達は懐から拳銃を出した。レオナルドも懐から拳銃を出す。


「お前が一発撃つと、俺たちが何発撃つと思ってるんだ?」


 レオナルドは和やかに笑う。


「あんたらの銃、いい銃だよな?最新の電子自動充填式。打てたら速いだろうな?打ってみろよ」


 男が手元を見ると、エラーが出ていた。それに慌てて他の者も確認する。


「お前!何やった!!」


「あんたら懲りないな?あ!学ばないってやつか?」


「磁気か?」


 ラウダの言葉にレオナルドは頷く。走りながら、一人一人に試しに磁気を当てていた。その冷静な動きに、ラウダはレオナルドを見上げた。月の光でレオナルドの瞳がとても綺麗に見えた。


 男達は拳銃を捨てると、腰の剣を一斉に引き抜いた。


 パン!


 レオナルドは1人に向けて発砲した。しかし、瞬時に交わされた。レオナルドは拳銃を懐に戻すと、腰の剣を同じく抜いた。


「お前ら、あの金髪は殺してもいい。赤毛はダメだ!生かして御前に届けろ!」


 1人の男が叫んだ。一斉に切りかかる。レオナルドは交わしながら切り付けていく。ラウダも棒を握ると男達と戦う。2対5では分が悪い。


 スーッ


 ラウダの横に白いローブの男が並んだ。レオナルドはしまったと焦った。


「心配するな。敵ではない」


 そのローブの男は静かに答えると、軽々と男の1人を交わし、胸に剣を突き刺した。それは余りにも優雅な動きだった。ラウダは目を見張る。


「ラウダ姫、お迎えにあがりました」


 ローブの男は、ラウダだけに聞こえるように耳元で囁いた。ラウダは大きく目を見開く。


(姫だと!)


 別の男が、ローブの男に切り付けた。ローブの男はラウダを後ろに隠し、軽く身を交わした。そして、その男の首を掻っ切った。躊躇は全くなかった。その反動で、男のローブが肩に落ち、その顔があわらになった。


(銀色の髪と瞳、神々しい美しさだな……)


 ラウダは思わず見惚れてしまった。うっかりして、崖から足を踏み外した。レオナルドは瞬時に走り、ラウダを抱き寄せてた。何とか崖から離れる。そこに男の1人が切り付けてきた。レオナルドはとっさに腕で受けようとする。


「やめろ!」


 ラウダはレオナルドを突き飛ばして、正面にでた。


 ザクリ!


 ラウダの胸が切り付けられた。

 

「お前!何やってるんだ!!」


 リーダーらしき男が怒鳴った。


 ザクリ!!!


 レオナルドはラウダを受け止めると、相手の男を思い切り刺した。


 ローブの男は振り返ると、目を見開いた。その瞳は怒りに燃えている。


「お前!その子を連れて逃げろ!!私が後始末をしておく!早く手当をしてもらえ!!」


 そう言うと、凄い速さで男を切っていく。応援で次々と男が来ているが、ローブの男には敵わなかった。


「あんた!こっちに来な!!」


 近くの家の扉が開いた。そこから女が手招きをしている。レオナルドはラウダを抱えると、その女の元に走った。


 それを確認すると、銀色の髪を靡かせながら男は冷ややかに微笑んだ。


「よくも私の姫を傷つけてくれたな?報いは受けてもらわねばな?」


「お前は何者だ?」


「卑しい奴らに答えてやる必要はない」


 銀色の瞳は真っ直ぐに男達を見据えている。それは冷ややかな怒りだった。


 アウロラ区の次期主力、ファミリアだった。



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