古書13 ~表紙・エイジング~
「革装丁っぽい布装丁」を実現するために! (挨拶)
……とは言え、今でもいい感じなんですよね。
完成時の質感も好きなのですが、布装丁も優しくて好きですよ。
前回のエイジングは、中身オンリーだったので、表紙を畳むと、見た目は変化がありませんね……。
……布装丁&金具なしで、A6~A5サイズの方が、作業がはるかに楽で、後、読みやすいと思います。
ただ、読みやすさなんて考えてたら、本文を執拗に汚したりしてない。
なので、そういうのは度外視して突き進みましょう。
基本は、「ニス塗り」です。
布装丁本に、コーヒー液をブレンドしたニス(乳白色)を塗るだけ。簡単。
……この『簡単』にはそんなに落とし穴はないので安心して下さい。
ごく普通の作業難易度です。
『ごく普通の作業難易度』という言葉を信じられなくなってきているかもしれませんが……。
前回の「古書12 ~本文・エイジング~」は、振り返ってみると、全工程の中でも、三指に入るしんどさでした。
(※冷たいコーヒー液塗り&アイロンがけ四百本オーバーで、ツーカウント)
ちなみに、ニスのカラーを「ウォールナット」にしたらもう少し濃くなる……のですが、実は意外と差が少なかったり。
・下準備
とりあえず、表紙に金具用の穴を開けます。
基本は、穴をパンチその他で開けているので、開け直すと言う方がしっくりきます。
布と見返し紙を、目打ちで貫通させ、細い円筒形の何か……今回は丸いわりばしで穴を整えます。
この穴は、鋲を打つための穴。
リベットは、以前ガントレットを製作した時の残り。
なんで、ガントレットを製作して鋲打ちした過去があるのかは、私にも分かりません。
ちゃんと穴に通るかチェック。
……そんなに大変な事はないのですが、大リベットと小リベット、共に8個ずつあるので、穴あけも地味に大変。
でも、作業が予定通りに進むだけで幸せ……。
……それが幸せと感じるという事は、予定か計画に深刻な問題があるのでは? という気が、今さらしてきました。(本当に今さら)
・書名なぞり
この段階で、一応、インクの切れたボールペンでガリガリと書名をなぞって、一段と深く彫り込んでみる……。
……ニスを塗った後にやるのが本番なので、この工程は、もしかしたら要らないかもしれないのですが、大事だった気もするので迷い所。
次回があれば、この工程は飛ばしてみたい……。
怖いから飛ばせないかもしれない……。
・コーヒーニス
コーヒー液とニス(乳白色)をブレンドして作ります。
コーヒー液は、また新しく作っていますが、コーヒーを淹れた後の粉を煮出した物。比率なども特に変わらず。
ニスは百均です。ダイソーにて購入。
写真は混ぜる前。ニスが乳白色なのが分かりやすいようにです。
水性ニスは、塗りにくい場合は水を混ぜてもいい、と言われています。
でもその濃度は人によって言う事が違う。
やれ、5%だ、10%だ、20%だ30%だと……何を信じればいいのか分からない。
今回は、水分が50%。コーヒー液:ニスの割合は、1:1です。
今まで、適当に水を混ぜていたのですが、今回はデジタルスケールで測ってみる。
まずニスを注いで、コーヒー液もほぼ同量入れる、という流れ。
水分が多いのは……塗りやすいのが好きなので。
倍量だと計算も楽ですしね……。
・見返しにコーヒーニスを塗る
見返しもエイジングしつつ補強します。
今回は、面積が広いのでハケで塗っていきます。
コーヒーニスは、たとえるなら、カフェオレみたいな色ですね。
↑塗る前……。
↑塗った後……。
濡れているので、色合いはもう少し落ち着きます。
ニスでだいぶしっかりするので、何度か破れて、不安が残っていた見返しも、かなり安心感が増すのも嬉しい所。
ハケ塗りも楽しい……。
……トム・ソーヤ的なやつじゃないですよ。
・アクシデント
コーヒーニスの容器とハケを手に、座って作業を開始しようとした時の事。
聞こえた「ひうっ」という声が自分の物だと気付いた時には、ガクンとなっていて……。
ぶちまけた……。
呆然としながら事態を把握すると、この時は、こたつ机と、低い椅子で作業していて……。
座ろうとして、椅子に座り損ねたんですよね。
思った所に、椅子がなかった。
……本にぶちまけなくてよかった。
……それと、養生しててよかった。
……後、怪我しなくてよかった。ちゃんとしりもちつけた。
転び方からして、頭からひっかぶって、シャワーを浴びたりするラブコメ王道パターン(※ただしラブはない)に突入してもおかしくなかったので、本当に運が良かったらしいです。
ニスも、見事に全滅したかと思われたのですが、新聞紙の上にぶちまけた分は、何割か回収に成功。そーっと持ち上げて、容器に流し込む……。
……必然的に起こるような、一種の関所めいた技術的ミスと、単におっちょこちょいなだけのアクシデントが入れ替わり立ち替わり襲ってくるんですけど。
気を取り直して、コーヒー液とニスを追加でブレンドしたら、表紙にハケで塗っていきます。
・表紙 (&裏表紙)のニス塗り
いよいよ本番!
一応、装丁の際の端切れでテストはしていますし、見返しの所でも確認はしています。
……しかし、広い面を塗った時、同じようになる保証はどこにもない。
しかも今回は『短剣をくわえた蛇』部分は立体なのでー……。
……やってみるしかないんですよね。
とりあえず↓がニスを塗る前。
裏表紙なので、穴が開いている以外は「普通に布装丁をした未来」とも言えます。
やっぱりこれはこれで好き。
少し起毛した布なんですけど、撫でた時の感触の優しさが素敵です。
しかし、革装丁風にしたい。
人の欲望に限りはありませんね。
塗った直後は、こんな感じ。
写真の右は、さいばしを溝に押し当ててます。いい感じにへこめ。
少し乾燥してから……。
本の厚みで、ちょっとピントが怪しいですが……。
コーヒーニスを塗った裏表紙と、布そのままの表紙を比べて撮っています。
質感が全く違うのが、伝わるでしょうか?
表紙の塗りはじめ……。
上下、それに背表紙側が少し塗られていますが、中央の『短剣をくわえた蛇』は、まだ塗られていない状態です。
水分もありますが、やはりコーヒーニスは、一段暗くなりますね。
(※水分も入れると二段ぐらい暗い色になるので、そのあたりはテストをして)
とりあえず全部塗り終わった状態。
今は本当に濡れていますが、乾いても、どこか濡れたような雰囲気のある光沢が出るのがニスのいい所ですね。
ちなみに写真左にあるのは、再びさいばし。頑張れ。
ニスが乾く時にくっつくのが怖いので、こういう時の理想の素材はステンレスとかなのかもしれません。
そんな都合のいい金属棒は見つからなかったので、乾燥中、何度か様子を見て、外したり、また押し当てたりしています。
乾燥終了!
これは、日をまたいでいます。
よくある。
明るいので、色合いがまた違う。
……理想を言うなら、他の光が入らない所で、ライトの角度や位置も決めて、定点撮影するべきなのでしょうが。
それはちょっと難しいので、心の目で補正して下さい。
まだまだ先は長いですが、ひとまず、ニスが落ち着いても『短剣をくわえた蛇』部分が変な風になっていないのに一安心。
開いてみるとこんな感じ……。
背表紙は、撮影の機会が少なめなので、割と貴重な写真。
『紐』のディテールが、微妙に等間隔になってないのは気のせい。多分そう。きっとそう。むしろそうであれ。
・二度塗り
色合い、浸透率、強度……全てにおいて、私は一度塗りのニスを信用していません。
なので、二度塗りをします。
やっぱり塗り立ては、色合いが暗い。
左側、裏表紙にハケ跡が残ったりしていますが、消えます。大丈夫。
でも、こうして写真を見返して、気が付く事もあるものですね。
次回は「古書14 ~金具(設計・鋲打ち)~」です。




