表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/19

15.嵐


 葵山高校。午後一六時。火曜日。

 俺は涼子の精神が消耗されているだろうと考え、今日はコールドリーダー部の活動を中止することにした。

 直也と涼子に中止のメールを送り、帰り支度をする。

 ――そういえば、理科準備室の金庫はどうするかな。

 そんなことを考えた。


 それから昇降口を目指した。

「おっす~鷹狩。もう帰るの? おじさんと『モンスターモンスター』やってかない?」同級生だ。俺は疲れてるから、と言ってその場を離れた。

 昇降口で靴を履き替え、外へ出る。

 ――良い夕焼けだ。

 そして校門へ向かう。

 その時、俺の目は信じがたい光景を捉えた。

 心臓が高鳴る。汗が一気に噴き出る。手は緊張で硬くなる。

 俺はいっさいの緊張を隠して、校門に到着する。

 そこには――霧ヶ峰がいた。

 何故か、冬物のコートを着ている。

「先生......は......はは......すいません、来ちゃいました」

「朝から鳥が騒いでいたので、何かが来るとは感じていました」嘘だ。

 俺はにっこり笑う。そして言う。「ご足労おかけいたしました。どうかなさいましたか?」

「いやあ先生、実は相談したいことがあって......一緒に来ていただけませんか」

「構いませんよ」本当は逃げ出したかったが、不審に思われたくなかった。

 それから俺と霧ヶ峰は占いについての考えを交換しつつ、一五分ほど歩いた。

 到着した場所は知らない一軒家だった。大きなガレージがある。シャッターが半分ほど開いていた。

「ささっ。先生。シャッターをくぐってください」

 俺は――。

「霧ヶ峰さん。どうやらこの場所は相談をするのに向いてない土地のようです。私の先祖がそう言っています。誰にも話を聞かれない個室がある喫茶店があるので、そこで話をしませんか?」と言った。

「そんなことを仰らずに」

 霧ヶ峰は急に、強引になった。

 俺の腕を掴み、力尽くで体を引っ張ろうとした。

 その時、後ろに通りすがりの男性がいることに気付いた。

 俺は叫んだ。

「そこの男の方! 助けて下さい! 拉致されそうです!」

 男性は瞬くと、携帯電話を取り出した。



 その瞬間、男性の頭から血が噴き出した。

 何故?

 それは――。

 霧ヶ峰がコートの下に隠していた鉈を振り下ろしたからだった。

 呆然とする俺に霧ヶ峰は言った。

「先生......私の家には大きな金庫がありましてね......俺はいつも......閉めた後は番号を途中まで入力ししておくんですよ......誰かが開けた時、わかるようにね......それで今日の朝、金庫を開けようと残りの番号を入力したら、()()()()()()()()()()

 霧ヶ峰は俺の目を直視した。

 俺はズボンのポケットに手を突っ込んだ。


「先生......俺のこと、裏切ったな」

 俺はポケットから小石を取り出すと、霧ヶ峰の目に最小動作で投げた。

 そして俺は全力でその場から逃げた。

「先生待って~~~~!」

「待ちませーんッ!」

 俺は走りながら携帯電話を取り出し、直也にコールした。

「はい、もしもし?」

「直也、俺だ! 霧ヶ峰にばれた! 二〇分後に白草公園に向かうから、そこに警察官を呼んでおいてくれッ! それから昨日会った千住警察署の担当者に一報入れろ!」

「了解!」

 俺は人通りの多い商店街を目指して走った。

 そこでなら霧ヶ峰も暴れられまい。俺は時間稼ぎをするつもりだった。

 五分くらいの全力疾走の後、商店街に到着した俺は霧ヶ峰を待った。

「先生~。俺、疲れたよ~」

 霧ヶ峰が走って俺の元に到着する。

 しばし、無言で相対する。

「貴方は殺人鬼だ」俺は動揺を誘う目的で言ってみた。

「知ってますよ」残念ながら、大したダメージは与えられなかった。

 霧ヶ峰はコートの下から鉈を取り出した。

 おいおい、ここで? 正気か?

 周りを見渡す。

 ベビーカー連れの親子。若いお兄ちゃん。営業のサラリーマン。買い物袋を持った主婦。様々な人がいた。

「ここで暴れるんですか?」

「もう、俺は手遅れなんでしょ?」

 こいつ、刺し違える気か。


 ここでは死人が出る――。

 俺は再び逃げた。いつまで体力が持つだろうか?


読了ありがとうございます。


よろしければ、ツイッターフォロー、ポイント付与を

お願い出来るでしょうか。


今日中(2021/09/03)にまた、続きを投稿します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ