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14.警察へ報告


 東京都。北千住。駅前の喫茶店にて。

 俺は涼子にメールをした。

『月曜日の昼休み、会えるか?』

『はい』

『では理科準備室で』

 待ち遠しかった。

 今すぐにでも会いたかった。だが、殺人鬼の家で一晩過ごした涼子の体力が気がかりだった。

 俺は注文したパフェが来ると、がむしゃらに口の中に入れた。


 帰宅すると、親父とお袋が外出するところだった。

「翔洋、私たちデートだから」お袋が言う。良いことだ。

「わかった。メシは用意してくれてるのか?」

「冷蔵庫の中にあるからレンチンピッして」

「フッフフ......! レンチンで良いだろ......ピッはいらねえな」

「まあとにかくそんな感じで、何かあったら連絡して」

「わかった。いってらっしゃい」

 俺は部屋にこもって宿題を片づけた。

 時刻は夜。

 冷蔵庫にあった夕飯を片づけて、親父の書斎に入った。

 棚をざっと見る。俺の興味を引いたのは――。

『シリアルキラーとは何か』

『連続殺人鬼の思考』

『なぜ人は嘘をつくのか』

『人を殺す時の心理』

 俺はどれを読もうか迷ったが、結局やめて自室に戻った。

 最終奥義を発動した時の疲れがまだ残っている。

 ベッドに横になりながら、俺が霧ヶ峰だったらどうするかを考えた。

 やはり――。

 占い師を完全に信頼することをやめるだろう。

 俺は月曜日の夕方に警察にタレ込むことを決めた。

 もう俺たちにするべきことは無い。

 ベッドから立ち上がって風呂に入る。

 無心で。

 何も考えず。

 寝る準備と翌日の支度を済ませて、俺は寝た。


 葵山高校。午前一二時、四〇分。

 俺は涼子と直也を呼び出し、現状の確認を行った。

「涼子、背骨はあったんだな?」

「はい。写真も撮ってあります」

「でかした。金庫の番号も控えてあるか?」

「もちろんです。先輩」

「いいぞ。金庫の前で番号を忘れたとか言い出されたら敵わんからな」

「そんじゃ、放課後になったら警察っすか?」直也が言う。

「ああ。それで、問題は解決だ。霧ヶ峰は死刑で、ハッピーエンドさ」

 俺たちは解散した。


 東京都。北千住。千住警察署。

 俺は涼子と直也を伴って窓口に向かった。

 そして、連続殺人事件の情報を提供したいと言い、担当者を待った。

 担当者はごつい体格をした人間だった。

 一見、荒々しさを感じるが、典雅な声をしている。

 俺は録音データ、金庫の中身の写真、金庫の番号を提出した。

「この金庫の中身の写真はどうやって手に入れたんですか?」担当者が言う。

「霧ヶ峰が僕を自宅に招いたんです。その時に中身を見せてもらいまして。隙があったので写真を撮りました」

 俺は嘘八百を並べる。罪悪感は無い。

「金庫の番号は?」

「そりゃあ目の前で金庫を開けるのを見てましたから、後でメモしたんです」

「そうですか。ふむ。録音データを聞かせてもらいましょう」

 担当者は携帯電話で録音データを再生する。

「うん......被害者に関連すると思われる発言をしているね。なるほど」

「金庫の中身の骨らしきものを調べれば、騙りかどうかわかるはずです」

「そうですね。早急に動きましょう。ところで......」

 担当者は区切った。

「君たちは学生だよね」

「はい」

「危ないよ。もう、自宅に招かれたからといって向かうなんて、してはいけない。大人に任せるんだ」

「すいません。でも、被害者のことを考えると許せなくて......!」俺は言った。

「うん。気持ちはわかる。でも、約束してね。もうやらないって」

「わかりました」

 俺は嘘をついた。また同じ事態になった時、どうするかはその時の状況次第さ。

 担当者は俺たちの帰りを見送ってくれた。

「先輩、終わりましたね」涼子が言う。

「ああ。涼子、助かったぜ」

「先輩~俺の出番は?」

「直也......お前の出番はどうやら無いらしいぜ......フッフフ」

「あーあ、俺も活躍したかったなあ。子孫に自慢出来たっしょ」

「フッフフ......! 涼子が味わったことをお前にも味合わせろってか!? そりゃ無理だな」

「そういえば先輩、最終奥義って何だったんですか?」涼子が言う。

「ああ、それか。()()()()()()()()()()。今日はもう、疲れた」

 俺たちは和やかに解散した。

 もう――終わりだ。


 ......と、言いたいところだったが、物語はまだ終わらねえ。

 アンタなら気付いてるな!?

 涼子にとっての地獄は終わったが、俺と直也にとっての地獄はこっから始まるのさ......!

 フッフフ......!


読了ありがとうございます。


よろしければ、ツイッターフォロー、ポイント付与を

お願い出来るでしょうか。


明日中(2021/09/03)に続きを投稿します。

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