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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

隠れんぼ

作者: 猫鷹

その日は、いつもと同じ近所の神社で仲の良い近所の友達数名と鬼ごっこをして遊んでいた。


お昼過ぎに学校が終わってから、家に帰らずそのまま遊びに出かけていた子供達も、空がだんだんと暗くなりお腹減ってきたのもあり、これが最後の勝負だと、ジャンケンで鬼を決めることにした。


鬼も決まり、10秒数える間に残りの子供達は鬼から一斉に離れていく。


鬼から逃げる子供達のうちの1人は、絶対最後まで残ってやると意気込みながら神社の側に植えられている大きな御神木の裏へと回り込んだ。


そこから鬼の様子を観察しながら逃げる作戦だ。


少年は、ここから絶対見つからないね。くすくす笑いながら追いかける鬼と逃げる友達を眺めていた。





「ね゛え゛…き゛み゛」


突然後ろから声をかけられ、少年がふり向くとそこには大人の人が立っていた。


「なぁに?…おじさんだれ?」


時間は、黄昏時。

顔真っ黒に染められ見えることはない。服だけは少しだけ見えるくらいだろうか。遊び回った自分達の着る服と同じくらい服が砂などで汚れている。この大人の人も何処かで遊んできた途中なのか?


あと少年が、分かるのは声がしゃがれているが男性である事だけは理解できたので、知らないオジさんだと認識した。


「ね゛ぇ゛…く゛…れ゛…ほ゛…よ゛」


「なぁに?聞こえないよぉ?」


聞き取りにくい言葉に、少し近くにいって話を聞くべきなのか少年は、悩んだが両親から言われている。「知らない人には近づかない」という言葉を思い出し近づくのはやめた。


「か゛…く゛……れ゛…ん゛………ほ゛……し゛…よ゛」


「えぇ…僕今鬼ごっこしてるから嫌だよ。」


「か゛…く゛…れ゛ん゛…ほ゛…し゛よ゛…き゛み゛

…か゛…お゛…に゛…」


「だから嫌だよー。鬼もしたくないし。」


自分の言うことを全然聞いてくれない一方的な男の言葉に少しずつ不気味さを感じてきた少年は、少しずつ男から距離をとるように御神木を盾にするように、後ろへと下がっていった。





「か゛…く゛…れ゛…ん゛「おぉい○○君〜もう鬼ごっこやめて帰ろう〜よぉ」………」


「あっ!うん!分かったぁ!」


不気味な男から逃げる理由と友達の近くにいれば安心だという考えから、少年は一気に友達の所へと駆け足で向かっていった?



…鳥居を抜けるとき、少年は少しだけ、御神木へと目をやった。


…男はそこにはいなかった。



その夜、少年は両親達に友達と遊んでる時に、知らないおじさんに声をかけられた事を話す。


両親は、少年が話す内容に驚き、それはどんな男だったかを出来るだけ詳しく聞くと、学校の先生に連絡。


学校から、通う生徒達の親に変な男が出たから気をつけるようにと注意喚起してもらう事にした。

その日から、その男の目撃談が次々と出てきた。


それは、子供だけではなく、男女、大人問わずに目の前に現れた。遭遇した人の証言は大体一致している。


主に神社の周りに現れる。


「隠れんぼしよ。君が鬼。」という言葉を繰り返し話し続ける。


話をかけられた相手が少し目を離すと男は姿を消す。


被害は出ていないが、男の不気味さにもしかすると幽霊なのでは?と噂が瞬く間に広がっていった。


あまりの目撃者の多さと、幽霊なのではという噂に、事態を深刻に見た役所、警察、消防団が動く事になり、最初目撃された神社の御神木を中心に捜査を開始する事になった。






捜査開始から、数時間…事態は思わぬ方向に展開する事になる。


御神木の裏は木々に覆われた森になっている。

その奥で…死体が発見された。


死体は、男性。

地面に身体を隠すために上から土を被せて埋められていた。

首にはロープが巻きつけられていた事から窒息死と断定。

見つかった死体の近くの木には、自殺の為に括りつけたロープはなく。首を吊った後、ロープが切れて地面についたということは考えられない。

その変死体、警察は殺人事件として調査を開始することにした。



この死体発見は、瞬く間にニュースを通じて近隣に知れ渡ることとなる。


恐らく、男は幽霊になって自分を探して欲しいと助けを求めたのだろうと、

相手を「鬼」にして「隠れんぼ」をして自分を探してくれと助けを求めていたのだろうと。


その根拠として、その当時捜索に携わっていた消防団の男が語っていた。


「死体の発見のされ方がね、どう考えても不可解だったんですよ…誰かに埋められたのなら、犯人は見つからないように死体を埋めるはずでしょ?でもね、私達が見つけた時はそうじゃなかった。地面から生えるように右腕だけが地面から出ていたんですよ…。まるで俺はここにいるんだと主張する様に右手を大きく開いてね。」



消防団の男性は、語りながら当時の様子を身振り手振りで形に表す。誰かを呼ぶ時の仕草は、当時の不気味さと怖さ悲しさが伝わってきた…。






ーーこの殺人事件に関してはまだ解決していない。

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