始まり
「こいつは、ダメだ、こいつは、頭が良いがブサイクだな。」
「教授、こいつはいい遺伝子してますよ、でも、…」
ベットの上で、神山輝生は、目を覚ます。「今日も退屈だな。」輝生には、親がいない。身の回りの世話は、召し使い数人に行ってもらえ、生活も申し分なく国から提供される。輝生が、この生活に違和感を感じ始めたのはいつ頃からだろうか。
「輝生様、今日の朝食です。残しても構いません。 食事が終わったら、お薬をお飲みにきてください。」
「わかってるよ、高城、うまい飯は、もう飽きたんだよな。」
輝生は、薬を飲み、学校へ行く。学校といっても特別な学校らしいが、輝生には、何が特別なのか分からない。輝生のクラスは男8人女8人の16人クラス。
教室に着いた途端、佳織が、輝生に声をかける。
「あなた、今日はなんだかげんなりしているわね。ゆだんしているのかしら、一週間後の能力試験、わたしあなたに負けないから。全員があなたに闘争心を燃やしているのに気づかないのかしら。」
井上佳織、腰あたりまで伸びている長い髪に高い鼻、日本人にしては西洋的な顔つきだ。彼女はどことなく悲しげな表情をしている。いつも俺にライバル心を燃やし、勝負事には貪欲。まるで、獲物を見つけた、鷹のような目付きでいつも俺を見てくる。輝生は、佳織の前では、気を付けない。
「お二人さんまた喧嘩してるの?試験が迫ってるからねー」
輝生が、試験では常に学年一位で佳織が次いで二位だ。蒼井ひなたは、2人の関係を羨ましくも思っていた。
ひなたは、佳織とは対極的にふんわりとしたアイドル顔で彼女に好意をもってるクラスメイトは少なくない。このバチバチとしたクラスの中では、珍しい存在だ。
輝生は、外の世界について深い興味を持っていた。自由になりたい。そのためには、この学校の能力試験で一位を取り続け認められれば。
輝生の学年は16 16歳の学年である。学年は、18まであるが、この先どうなるかは分からない。輝生は、空さえ見たことはない。
「大臣、このプログラムで過去最高の優秀な子供が生まれたそうです。」
「そうか、もうすぐ終わる。」